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第30話 人違いの真相。

「それにしたって、なんでかーさんは俺を産もうってなったの」

 いや、無粋で無意味な質問なのは自分でも、判ってる。


 でも流石に、これは今聞いといたほうがいい、そう思うんだ。


「子供の時からずっと言っていたでしょう?人違いで手違いなのよ。

 本当はあの方じゃなくて、その時に城砦に来ていたナイトホークの若様狙いだったのだけど」


 は?


 やだもうこのかーさんどういうことだよ!

 今日の俺、どれだけ心理ダメージ受けたらいいのこれ!


「な、ナイトホークって、旧王家ではないでしょうか」

 思わず丁寧語になって聞き返す。


 ナイトホーク家は現在では子爵家だけど、元をただせば、セレバンディアの初代王家だ。

 確か本家と、それに近しい当時の公爵家が皆男児が居なくて、公爵家の更に傍系でしかない、今の子爵家の祖先以外残らなかった家だという話。


 そのあとを引き継いだのが、これも二人しかいなかった当時の王女の一人を娶っていた、当時のグロウス侯爵家、今の王家だ。

 これもなんか、当時の当主がやりたくないって逃げ回ったという、笑い話のような逸話が付いている。


 まあこの国そういうとこも呑気系、らしいんだな。伝統の呑気。


「そうよー。子爵家の神官職に就いた庶子の子が天人族なの」

 神官職。


 なんかその人、知ってる気がしてきたぞ、なんでだろう。


「ほら、貴方のスキルを見てくれたシシェーリス確認官。あの人狙い、だったんだけどねえ」

 う わ あ 。


「あ、シシェーリス確認官様には内緒よ?この件は知られてないから」

 はい?


 ああ、人違いかまして夜這い失敗したから、当の本人にはばれてない、把握。


「でも今思えば、男爵閣下で良かったわぁ。

 いい小遣い稼ぎのクチができたし、カークはとってもいい子に育ったし」

 どうやら、かーさん的には、以前俺たちの前でもやってみせた、石投げて一隻撃沈、小遣い稼ぎの一環であったらしい。マジかよ。


「……俺の育ち具合に親父はあんまり……いや、まあまあ関係あるか、学校にも行かせてくれたし、おかげでいい仲間と出会えたし」

 そうだなあ、流石に俺も、あの綺麗な確認官様の子に産まれる想定自体が、できない。


 それに、ぶっきらぼうな人だけど、コルモラン前男爵は、俺にもいい親父だったと思う。

 結構目は掛けて貰えたからなあ。


 多分それには、天人族への期待とか、そういったものは、案外と含まれていなかったんじゃないか、そんな気がする。


「そりゃそうよ、混血で天人族になる可能性、せいぜい二割くらいだもの」

 そしてそれを口にしたら、恐ろしい現実を聞かされた。そんなに確率低いのか。


(寿命が長く丈夫な種族故な、あまりに増えすぎるのも困るのじゃよ)

 そしてコトンからは、神様視点での事情がポロリする。

 確かに、丈夫な長命種って、扱いが面倒そう……


(面倒そう、ってお主も今やその一員なんじゃが?)

 いや、まだそんな自覚ないんで!

 俺、昨日どころか、今日の夕飯前まで一般人類のつもりでいたんで!!


 だいたい、現状の俺、そこまで人間離れした能力は持ってないよ?

 スキルこそ破格だけど、これはあくまでも俺自身の理由で得た神授スキルと鍛錬の結果だし。


「不思議顔ねえ。天人族の身体能力は、選んだ一つなら、鍛えれば鍛えるだけ伸び続けるから、一般人みたいに生きたいなら、無理に鍛えないって方法もあるわよ。

 長生きするうちに不便に感じるようになりがちだから、あまりお勧めしないけど」

 そしてかーさんの解説で納得した。


 成程、今からまだ伸びるって訳だ。


 それ以外にも、いくつか注意事項を聞かされた。

 これは成人した天人族には必ず伝えねばならないことなのだ、と念押しもされた。


 そしてその中に、以前コトンに言われた、スキルが必ず子供に発現する、という話はなかった。

 そりゃそうだ、かーさん自身がスキルは所持してないもんな。


(うむ、其方のそれは、天人族かどうかではなく、神授スキルであるが故、だな。

 但し、子に発現するスキルは原則として完全ランダム故なあ……我らにすら、見当がつかんのじゃ)

 あれ、出やすい傾向とかあるもんかと思ったのに、違うのか。


 いやでも、言われてみると男爵家のスキル持ちのスキル内容も割とバラバラだなあ。


 前男爵のそれは〈すなどる者〉、という水中行動が少しだけしやすくなるスキルだし、ネース兄上のものは〈鳥使い〉、実は結婚はしていたサスキア姉さまは〈剣の閃き〉、だもんな。


 サスキア姉さまが親元に居るのは、夫が結婚からほんの三か月ほどで事故で亡くなってしまい、出戻ったからだという。


 子供もできなかったそうなので、どうするかなあ、なんて言っているらしい。

 スキル持ちの時点でそれなりに再婚話も舞い込んでくるようだけど、現状全て蹴っている、とは本人談だ。


 というのも、この世界にも喪中という概念はあり、夫または妻のそれは、親同様に一年だ。

 それがまだ明けてもいないのに縁談を持ってくるとか鬼か?っていう……どっちかというと礼儀の問題って奴だな。


 これはもう全面的にサスキア姉さまに賛同だ。

 政略結婚だったとはいえ、それでも事故のその当日まで普通に新婚生活を営めていた相手である以上、悪感情はないだろうし。


 ただ、どうも家を継ぐのがサスキア姉さまの子になる可能性も微レ存、らしい。

 弟のファスライドはスキルを持っていないし、兄夫婦には現状子供ができる気配がないというか、それを回避中だそうで。


 神授スキルには確実な次世代へのスキル発現、という影響しかないけど、そうではないタイプの、虚弱体質を引き起こすレベルのスキル持ちって、子供ができにくくなることもあるらしいんだ。


 エランなんてそのせいで結婚自体をもう諦めているフシがある。

 スキル持ち同士でなら発現も出生確率も上がるみたいだけど……流石にないよなあ。


 でも男爵家、割と自由恋愛主義なとこあるから、案外どこかから好きな人連れてきそう。

第2話でそういう素振りがミリも見えないのは、流石に子育て中はそういうアクションを起こさないようになってるせい。仕様。

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