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第29話 衝撃?の告白。

 そういや俺も二十歳になったんだよな。

 と思っていたら、ある時、極めて珍しいことに、コニーかーさんから手紙で呼び出しを受けた。


 ちょうど依頼も受けていないことだし、と、村に向かう。

 今回はトーテルだけが一緒で、シンプルに時期外れの里帰りといった体だ。


 なんで暇だったかといえば、モードゥナがお兄さんの結婚式で不在なんすよ。

 で、万年新婚さんにも水入らずタイムを提供って訳ですよ。



 今回は二人だけなので、馬車は置いて徒歩の旅だ。

 うん、俺らも十分鍛えられましてね、そのくらいの距離を徒歩移動するのも、もはやへっちゃらだ。


 フィリスねーさん?

 今月は確かずっと居酒屋の手伝いするって言ってたから、村にいるはず。

 跡を継ぐ予定のロヴァルタにーさんのお嫁さんに、子供ができたから人手が足りないんだってよ。


 そんな感じでのんびりと、とまではいかないが、ごく普通に歩いて村に戻ったら、今回も第一村人になったプーリーさんに、なんで徒歩なんだよ!と言われたけど。解せぬ。


「中古馬車より歩く方がケツが楽」

 端的に理由を述べたら、あー、という顔になったので、どうやらプーリーさんも不本意な馬車移動は経験があるらしい。


 俺たちが中古を漁ってまでして馬車を導入したのは、戦利品の運搬に必要だから、だしなあ。


 そう、この世界にマジックバッグとか収納魔法なんて便利なものは!ありません!


 実は俺だけなら、コトンに預けるっていう反則技が使えないこともないんだけど、基本的には自重している。


 そもそもコトンにしたところで、収納魔法を持っている訳ではなく、知っている場所に届けることができるだけ、だからね。


 うん、たまにズルしてかーさんにお土産を持って行って貰ってる。

 そのくらいなら、許される、よね?


(むしろもうちょっと頼ってくれてもいいんじゃが?)

 えー、スキル上げでは全力でお頼り申し上げておりますがー?



 村の中の広場で、自分の実家に顔を出すトーテルとは別れて、自分の家に戻る。

 トーテルの家はこの村の東側を流れる川沿いなので、西の森の手前に住む俺とは完全に反対方向だからな。


 そういえば、西の森にも随分長いこと入ってないなあ。

 前回帰省した時も、薪拾いくらいしようか?と言ったけど、必要ない、って回答だったし。


 実際家の裏手には、きれいに乾いた薪が山と積まれている。

 かーさんの仕事内容的に、そんなに集める暇はないような、そんな気はするんだが。


「ただいまー」

 と、声を掛けたら、かーさんはちょうど夕食の支度をしているところだった。

 といってもどうやら鍋の中身は、居酒屋で買ってきたお惣菜のシチューの気配だ。


「おかえりカー君、早かったわねえ!」

「そうかな?今回はトーテルと二人だったんで歩いてきたんだけど」

 珍しく、今日のかーさんは速攻で俺を抱きしめに来ることはしなかった。


 いつもだとギューッと締め上げられてギブするまでがお約束なんだが。


 ちょっと手持ち無沙汰にしていたら、ふふっと笑うかーさんは、やっぱり子供の頃とちっとも変わらない顔で。


「カー君もとうとうハタチになったからねえ、流石に大人の男にハグはだめでしょう?」

 あれ、この世界の成人は十八のはずだけど。


「国の定める、ヒト族の成人は十八だけど、私たち天人族の成人はハタチなのよ。

 おめでとう、カーク」


 ……なんて?


 てんにんぞく?なんですかそれ、初耳なんですが。

 いや、図書室の資料に……あったような、なかったような?


(あー、其方まだ知らされてなかったのか。まあ致し方ないが)

 コトンまでなんか言ってるけど、なんだって?



 その後、夕食の後でキチンと説明を聞いた。


 かーさんの本名はコニファー・ハイドランジアという、天人族なのだそうだ。

 あ、天人族は人類とは交雑できるけど、確率で人類百パーセントか天人族百パーセントにしかならない、そんな種族だそうだよ。


 で、どっちに傾くかは、成人しないとほぼ判らない。

 なので、成人して、天人族に成長したと確認できるまで、告知をしないのが慣例なんだそうだ。


 無論、天人族同士だと、百パーセント天人族になるので、物心ついた段階で告知を受けるそうだけど。

 ただ、そういうケースは稀だそうだ。

 人類よりかなり長命なせいか、人数が凄く少ない種族らしい。


 つまり、今日告知を受けた俺は、成長しきった段階で天人族に種族チェンジした、って訳だな……


「……まさか、フィリスねーさんも」

「そうねー、あの家だとジェリナとフィリスだけが天人族ね」

 ジェリナとはフィリスねーさんの母だ。


 ってことは以前から漠然と思っていた、歳を取ってる気がしない、は、種族特性って奴だったんだな……


 寿命が長いと、当然のように一般人類から浮くので、基本的に天人族は住所を転々としている者が多いらしい。


 この村の人たちは他人の外見が変わらない事にあまり興味ないみたいだから、つい長居しちゃったけどねえ、とかーさんは述べる。


 つまり、そろそろかーさんは何処かに旅立つ予定、なんだろう。

 そのことに、思いのほかあっさりと納得している俺がいる。


 ちなみに父である前男爵には、他言無用としてその件は教えてある、らしい。


「あれ?じゃあ学校時代にフィリスねーさんが父方の実家にちょっかいかけられたあれは」

「あら、そんなことあったのね。

 多分御父上本人じゃなくて、周囲の誰かが余計な気を起こした奴じゃないかしらね」

 どうせフィリスちゃんだし、さっくり相手を成敗して帰ってきたでしょう?と、見てきたようにかーさんは述べる。


 かーさんの怪力も、フィリスねーさんの俊敏性も、種族特性の一つであるらしい。

 それぞれ、自分が扱いやすい部分を伸ばした結果、だそうだ。


 うーむ、せっかく自分の居場所を自分で作れたのに、種族特性でまた周囲から浮くのが確定したぞ?どーすんだこれ。

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