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第24話 コニーかーさんが、謎。

無双するのはだーれだ?

 大砲と思しき、黒々としたぶっとい筒が、船の舷側から数本ずつ突き出しているのが、物見塔からも良く見えるようになってきたところで、ヴァンレン帝国の船舶は、やっぱり何の宣言もなく、港に向かって第一射をぶっぱなした。


 まあ当たりはしないんだが。

 目測の、しかも曲射でそう簡単に命中させられるような武器じゃないよね、大砲って。


「あらあらまあまあ、野蛮ですねえ」

 コニーかーさんが言う通り、野蛮としか言いようがない。


 宣戦布告すらしないで砲撃とか、流石にこの世界でも十二分に横紙破りだ。


「では先手を撃ったあちらが悪いということで、まずは一隻、どうぞ」

 そして前男爵が謎の台詞。


 いや、前半は判らなくもないけど、一隻?


「ではお言葉に甘えまして!」

 そして、コニーかーさんはにこやかにそう述べると、城壁の内側にごろごろ転がる、子供の頭くらいある大きな石を、片手で手にした。


 え、それ、結構重くない?

 と思う間もなく。


「えい。」

 気の抜けた掛け声とともに、かーさんが石を片手で、軽々と投擲した。



 ずどん!


 その音が聞こえるまで少し間を置いたのは、距離のせいだろう。


 ……いやまって、俺は、俺たちは、何を見せられたんですかね?


 かーさん、直射で敵船のどてっ腹に石で穴開けませんでしたか今???


 更には、穴の開いた船から、ボカン!!と派手な爆発音。

 あー、火薬の保管場所に直撃して、石と何かがぶつかった火花で誘爆したんだな、あれ……


「ええ……?なんで、爆発?今投げたの、いつもの石ですよね?」

 流石に爆発は完全に想定外だったようで、かーさんも、首を傾げている。


 ってかいつもの石?

 こんなこと、しょっちゅうやってたの?マ?


「……ねえカー君や、君んちの母君、どうなってるん?」

 モードゥナがガチめの真顔でこっちを見てるけど、俺が聞きてえよ!!


「初耳、じゃないや、ガチの初見だから、なんともいえない」

「あーでも、カークの母さんって力持ちではあったわよね」

 答えたら、そういえば、と、ミーティスが事実をほじくり返す。


 確かにかーさん、力は強いんだよな。

 こないだの帰省の時ですら、抱きしめられて絞め落とされるかと思ったし。


 なお息子である俺の方は、力に関しては普通の同世代の平均よりちょい強いかな、くらいだ。

 これは冒険者としては標準的、程度のはずだ。


「そういやカークはそこまでじゃないよねえ、腕力」

 トーテルもそこは把握しているので、首を傾げている。


「とはいうが、コルモラン男爵領の人間は、全体的にフィジカルは他地域より優れている傾向が強いというぞ。特に茶髪の村、って聞いたことがあるから、クレトスの事だろう?」

 アル兄からは補足情報。

 そういえばそんな記述を図書室で見た気がしないでもないな。


「そうかなぁ?カークの母さんは流石に例外な気がする、あとフィリスねーさん」

「私まであのレベルだと思われるのは心外よ……私の売りは力じゃなくて敏捷性と技術なんだからー」

 トーテルが改めて名を挙げたところで、当のフィリスねーさんからツッコミが来た。


「だが敏捷性と速度の維持にはある程度の力も必須だろう?」

 アル兄はやや懐疑的な顔だけど、流石に今回の話はフィリスねーさんが正解だ。


 うちのかーさんの方が、力に関しては完全に外れ値なうえに、フィリスねーさんち共々、クレトス出の地元民じゃないって意味でだけど。


 結局そのあと、かーさんがもう二隻に穴を開け、エランが〈天与の魔砲〉でこれも二隻を沈めたところで――敵船団は突撃体制に入った。


 うわあ、ホントになんだよあの集団!

 中途半端に反撃されてキレた?軍隊でやるこっちゃなくない?!


「じゃあ足止めすっかー……〈囲い〉、超特大!」

 流石にもうこれは、俺の出番だろう。


 俺が発動させた〈囲い(スキル)〉は、緩やかな円弧を描く、ぱっと見は薄いけど巨大な壁として、船団の前にそそり立った。


 【内なる力】の節約で、前はあちらのマストが見えるくらい、後方の高さは限界まで下げて海面のずっと下だ。

 今や、そのくらいの芸当はできるようになっている。


「……マルしか書けないんじゃなかったのかお前」

 近くで見ていたネース兄さんがガチの真顔でこっちを見ている。


「子供の頃はほら、【内なる力】が全然足りてなくって」

 俺の言い訳はこうだ。


 言い訳っていうか、実際に足りなかったんだけどな!


 さて、海底から壁を突出させた結果のほうだけど……


(これは、なかなか、ひどい)

 城壁からふんわりと飛び立った沖ノ太夫氏が、空からそんな言葉をくれました。


 うん、どっかんどっかんぶつかる音がしてるからね。

 勿論それを狙って、船団の真正面、可能な限りの至近距離に壁を立てたのは俺だし。


「あの壁、強度はどのくらいなのだ?」

 気を取り直したようにネース兄上が質問してきたので、首を傾げる。


「サイズが大きいというか、海底から生やすしかないスキルなんで、厚みはそんなにないんですが……強度に関しては、アレがぶつかっても壊れない、くらいのイメージしかしてないですね」

 ごめんなー、他の人はどうか知らんけど、俺のスキル、割とアバウト指定でいけちゃうんだ。


「ナニソレ便利」

 そして、そう即答したのは、超強力な術持ちだけど、発動までに何やら手間暇がかかるタイプだったりするエランだった。


 なんか〈天与の魔砲〉って、空気をレンズ状に圧縮して、光を集約してレーザーのように射出する魔砲らしくてですな……

 工程をきちんとイメージするのが結構面倒、だそうだ。


 そして、この原理のせいで、実は夜間には使えないという制約が付いてるんだよね。

 強力なスキル程、制約が多いそうなんで、これは多分世界の仕様って奴だろうけど。


 そういや俺の〈囲い〉も、角を作れないって制限、あったな。

 それと、あくまでも〈囲い〉、なので、生成物は円であり、きちんと閉じている必要がある。


 だから俺の〈囲い〉って、実はかなり強力なスキルだったって訳?


(そりゃあそうじゃろう、転生者のそれは、神授スキルである故な、特別製じゃよ)

 コトンの解説。


 あー、そういえばそんな話だったなぁ。過程が酷いんで完全に忘れたけど!

美味しいところは持っていく系主人公?

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