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第23話 第二次帝国軍遠征。

 流石に海が荒れる冬の間は、何事も起こらなかった。


 春になったら前回の倍の船団が寄ってきたってんで、また緊急招集かかったけどな!!


 しかも、今回はモスクモロルから事前に情報が飛んできた。

 文字通り、鳥に括りつけられ飛んできた文書によって、だ。


 去年まで日和見してたというモスクモロル曰く、うちの国の沖の大島砲撃の件で、彼の国の神獣様達まで反帝国に転じたんだそうで……


 前回、海賊たちが身をもって集めた大砲の情報も、かなり細かいところまで送ってきてくれた。

 ……って、やっぱあの国、海賊どもを飼ってるんじゃねえか!


 文書を運んできたのは、伝書鳩とかじゃなくて、とても大きな沖ノ太夫(アルバトロス)だったんだけど、どうも神獣様であるらしく、真冬の荒海をも悠々と飛び超えるのだという。


(うむすー。キミ、聖獣様の御友人なんだって?)

 駆け付けたコルモックの城砦にいまだ留まる、小首を傾げた白っぽいでかい鳥は、意思疎通も可能らしい。

 俺の思考に反応して、話しかけてきた。


 にしても、コトンと俺が、友人?

 どっちかというと後見人みたいなもんだと思うんだが。

 子供の頃に、同僚のやらかしの尻拭い、とか聞いた気がするし。


(我々としては、どちらでも大差はないな)

 そして今度はコトンの声だ。ってどっちでもいいのかよ。


(確かに仕事のようなものではあるが、それはそれとして、輪っかに入る遊びは我としては大変楽しいのでなあ!)

 あっはい。最近やってなかったから、今度手が空いたらやろうか。



 そういえば待機を言い渡されてここにいるけど、俺のスキル〈囲い〉は、海とは相性が悪いんだよなぁ。


 そう、海や船の上には囲いを出せないのだ。

 実はこのスキル、『生成物が接地していること』って制限があるんだよな。

 

 多分海底には出せるだろうけど、それでは船には意味ないからなあ、多分。

 ……いや、待てよ?やれなくは、ないな?


 アレがやれるなら、もっと単純な形状にすれば、あるいは?

 でもまあ、そこはやってみないと分からない系だ。積極的に提案すべきではないな、今は。


 ともあれ、俺たちがパーティごと招集されているのは、基本的に俺じゃなくて、エランが当てにされている、そんな気配。


 何故かって?

 エランのスキル〈天与の魔砲〉なら、大砲の射程の外から船を狙い撃ちできてしまうから。

 これに尽きる。


 まあ成人近くまでスキル封印が必要だったせいで、【内なる力】が俺より少ないから、所謂ガス欠も早い、使いどころが難しいスキルではあるんだけどね。


 コルモラン男爵個人からの召集状ではあるけれど、実際に我々が参戦するこれは、このセレバンディア国そのものの防衛だ。


 うちのパーティは全員セレバンディア人だからね、祖国防衛戦ってことになる。

 当然全員やる気満載だ。


 モードゥナなんて、船上訓練まで受け始めている。

 またこいつ、そっちも才能があるらしくて、現状では結構モノになりそう、だそうだ。


 アル兄と俺も一応付き合いで訓練は受けたけど、アル兄はともかく、俺はさっぱり向いてない、らしい。


 これは俺の要領が悪い、とかではなく、接地系スキル持ちの特性なんだとコトンが言っていたので、諦めた方がいい奴らしい。


 スキルにそんな弱点があるなんて知らなかったよ、俺。

 とはいえ、この特性って奴はスキルを所持さえしていれば発動するものだそうなので、鍛えないという選択肢はやっぱりないそうな。



 そうこうしていたら、何故かクレトス村から、コニーかーさんがやってきた。


「そろそろ敵軍が沖合に現れる頃だとお聞きしまして」

 にこやかにそう述べるかーさんに、前男爵が重々しく頷く。

 ネース兄上の方は怪訝な顔だ。俺も多分そんな顔してそう。


 それにしても、かーさん、本当に変わらないなあ。

 流石に俺のほうが背は高くなったけど、丸顔で、長身で、力持ちで、俺よりちょっとだけ濃い色の髪で、『若いお母さん』の、顔。


 フィリスねーさんといい、かーさんといい、クレトス村の色白女性は老けにくいとかいう法則でもあるんすかね?


 ……あ、でも居酒屋のおかみさん、つまりフィリスねーさんの母さんも、子供の頃の記憶と比較しても、老けた感じしないなあ、今も。



 やがて、沖の大島を慎重に回避しながら現れた大船団は、まさかの人力で漕ぐタイプの、所謂ガレー船が大半だった。

 マストも一本か二本ずつ立っているけど、多分補助的な役割しかしていなさそう感。


「……えぇ?ああいう人力船って遠洋航海には向いてないんじゃないの?」

 そもそもレジュメイア大陸では、海の上の船舶といえば帆船だ。

 嵐や余程のベタ凪でもなければ、それで事足りる。


「人力で船を漕ぐなんて、川船じゃあるまいし……」

 アル兄も似た意見だ。ってそうか、川だと人力船なんだ。遡る必要もあるからかな?


「フェ・ダが陥落したという噂は聞いておらんが……」

[してないねえ。停戦条件にあの船団をこちら側に通すよう便宜を図れって案を押し付けられたって話だけど!]

 諜報役でも兼任しているのか、沖ノ太夫(アルバトロス)氏はそんな情報をぶん投げてくる。


 ヴァンレン帝国からこちらのレジュメイア大陸に来ようとすると、絶対に五島のどれかの領海を通らないといけないからなあ。


 敵対しているテルメルエンケルの領海近くはそちらに侵攻するのでない限り、流石に避けるだろう。

 なのでフェ・ダの北を通るってセンは、基本的にない。


 そしてモスクモロルの南を回るルートは、海が比較的荒れやすいうえに、海賊の根城があるんで、カモられるの確定コースだ。


 だから、フェ・ダを弱体化して、モスクモロルとフェ・ダの間の海峡を通ることにしたようだけども……


 ……そもそも、何のために?

 あちらの大陸も統一できてなんかいないのにな?

何でですかねえ……

なおこの第二回侵攻は純粋に前回のリベンジらしいですよ。

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