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第22話 村に帰省する。

 幸い、それ以上新たな船団が現れる事はなかったので、いったん召集は解除された。


「どうせ此処まで来たなら、ちょっとクレトス村が見てみたいな」

 などとアル兄が言い、他のメンバーも同意したので、七人でクレトス村に立ち寄ってから帰ることになった。


 そう、なんかフィリスねーさんも一緒なんですよね。


「ねーさんだと自分の足で歩いた方が早いんじゃ」

「それはそうだけど、ひとりで歩くの割とつまらないのよ?」

 そう言われると、否定できる部分もあまりない。

 俺たちも人数が増えると楽しいってのは判るからなあ。



 コルモックの町から、馬車で半日と少々。

 朝イチに出たので、おやつ時までには到着だ。


 村の様子は、特に変わりない。

 相変わらず、うちと居酒屋一家以外は、みーんな茶髪茶目の集団だ。


「おう!カークじゃないか、久しぶりだな!」

 農作業勢は忙しそうだったこともあってか、最初に声を掛けてきたのは、村の猟師のひとり、プーリーさんだった。


「あ、お久しぶりですプーリーさん。

 今日は皆で帰ってきたんでトーテルもミーティスもいますよ!」

「何?!ミーティス!!このおてんばが!!」

 それを聞きつけたのは、よりにもよって村長、つまりミーティスの父さんだ。


「おてんばとは何よおてんばとは!今や一家の稼ぎ頭よあたし!」

 怒鳴り声に反応して、ミーティスも馬車から飛び出すように声を張り上げる。


「うっそれはそうだが!いい加減!結婚とかだな!」

「あっはい紹介するわ!こちらのアルタニク様と正式に婚約します!」

 わあ、村長おとうさんカワイソウ……売り言葉に買い言葉状態でそれは、ダメージがえぐすぎるんじゃ?


「……は?????」

「どうもはじめまして。ミーティス嬢の現在は同僚のアルタニク・トラゴパンと申します」

 そして、ミーティスの隣から身を乗り出したアル兄が姓も名乗ったので、お父さんの方は鳩豆顔からの、完全に絶句状態になった。


 そう、この世界、基本的に姓を持ってる時点で貴族かその係累だからね!


 ……いやマジかわいそう。

 村の娘が貴族の息子の嫁になるって、歴代の村長を務める家とはいえ、所詮平民にすぎない親としては絶対断れないやつだし。


 とはいえ、栄達の道に完全に乗っかってるとも言えるから、これを断ろうって人もそうそういないと思う。


 なんてったって、本人たちが完全に乗り気のノリノリだし……


 そんな感じで、初手から村長一家(というより、ほぼ村長さんだけ)に心理的大ダメージを与えた帰省だけど、居酒屋一家とうちのかーさんは、完全に平常進行だった。


 久々にかーさんに抱きしめられたけど、やっぱりこの人、腕力おかしい。

 既に成人、もうすぐハタチの俺がギブしました。解せぬ。



「ねえ、なんで私は結婚しろとか言われないのかしらね?」

 急な帰省だったんで、どの家も俺たちのメシの準備はできないっていうんで、夕食のために集合した居酒屋のカウンターで、フィリスねーさんが首を傾げている。


「だってお前に縁談なんて持ってきたって、首を縦に振るわけないでしょ」

 居酒屋のおかみさん、つまりフィリスねーさんの母は、その疑問を一刀両断だ。


 というか、フィリスねーさんの縁談ってめちゃくちゃ難しいんだよ。

 ほら、母が平民の庶子とはいっても、侯爵家の係累だからさ。


 俺なんて男爵家の平民の庶子だから、地位なんてそもそも縁がないからどうでもいいけどさ。

 ぶっちゃけ現状の俺だと、Bランクの冒険者、ってほうがよほど社会的地位は上だ。


 フィリスねーさんの方は国内でも数人しかいないAAランクなので、これまた実は木っ端貴族程度じゃ手も足も出なかったりするんだけども。


 おまけに、庶子なうえに母親が平民で、しかも侯爵閣下を『正式に』振っている。

 この時点で、庶民からも貴族からも、正規手段では手出しがしづらい案件になっちゃってんだよね、ねーさん。


 非正規手段?AAランク冒険者に?無理だよそれ。

 実父ですら、結局どうにもできなかったんですよ?このねーさん。


 まあ本人に結婚願望なさそうなんで、今のところ何事もないっちゃそうなんだけど。


 俺ですか?結婚願望自体はないこともないけど、まだまだ先かなあ。

 とりあえずAランクは目指すことになってるし。


 これも、ミーティスの結婚予定が理由だ。

 流石に結婚した程度ならいいけど、子供ができたら冒険者業は無理だろうからね。


 それまでにAランクになれれば、AAのフィリスねーさんを代替メンバーにするのが、もうほぼ本決まりなんだ。


 男メンバーを探すのでもいいんだけどさ、このくらいのランクになると、パーティプレイをするタイプの人はもう自分の居場所や仲間が定まってるからね。


 フィリスねーさんは俺らが冒険者になった当初から、ソロ飽きたからうちに来たい、ってずっと言い続けてたからなあ。

 うん、俺らが根負けしました。


 そんな感じで、里帰りは村長さんを除いて、平穏に終わった。

 村長さんも最終的には諦めの境地に至ってたけど。


 そりゃそうだよね、アル兄は俺から見ても優良物件だもん。

 複雑そうな顔の村長さんをよそに、ミーティスの母さんも兄弟姉妹も、皆大歓迎していたからねえ。


「そういえばカー君は誰それが好き!とか言ったことないわねえ?」

 そしてかーさんに痛いところを突かれる俺です。


 転生者でちょっと最初っからスレたところがあったせいだと思うんだけど、どうも同世代に興味が湧かないっていうか……


 というか、女性とそういうお付き合い、前世でも経験ないんすよ、俺。

 どうするのがいいんだろうな?

きーさーまーもー!鈍感かー!!(なに

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