第18話 いざ、冒険者ライフ!
新たな秋の入り口で、学校は無事卒業した。
入るまで知らなかったけど、初等部は原則四年制だそうだ。
飛び級もできる。サスキア姉上がそのクチで、二年で出てきている。
結局、全員で、という訳には行かなかったけど、ほぼ在学時のパーティのまま、冒険者組合に正式登録することになった俺たちです。
流石にね、レメディア嬢はね、もう縁談も決まってるそうでね。
卒業と同時にお嫁に行くのだそうだ。
なのでメンバーは、俺、アル兄、モードゥナ、ミーティス、トーテル、エランの六人だ。
フィリスねーさんが私も混ぜて!と言ってきたけど、貴女、一人だけランクが違いすぎだから無理だよ!
在学中に教官たちのご厚意で、俺とアル兄は剣術と槍術の訓練も受けさせてもらった。
アル兄は上背があるんでどちらもソツなくこなしていたけど、どうも俺は剣はそもそも才能がないらしく、最終的に槍を持った中衛、って感じになりそうだ。
まあ俺の本領はスキル〈囲い〉だからね……槍を持てる術師、というべきらしい。
実を言うと、熟練度を上げすぎた〈囲い〉、【内なる力】が足りた時点で魔進化しちゃってんだけどさ。
今はあんまり使いどころがないんで、主にモンスターの足止め用に使っている。
剣を結構使えるようになったモードゥナと、足止めによるフォローは必要だけど、火力は結構高いミーティスが前衛、俺とトーテルが中衛、エランが後衛。
アル兄は前衛もやれるけど、〈モンスター検知〉による斥候役のほうに比重を置いてくれている。
というのも、実はアル兄、不器用なんだ。
戦闘はともかく、採集系でまったく戦力にならないので、そういうことになりました!
エランも無事成人して、スキルの負荷を気にせず済むようになったので、封印を解除したんだけど……
なんすかその〈天与の魔砲〉って。
完全攻撃型魔術師だったよこいつ!かっこいいなあ!
ただ、スキルが強力すぎたせいで、幼少時から完全虚弱体質だったこともあって、エランは今も細身の儚げな雰囲気のある美青年、だ。
知り合った頃からまあまあガタイがよく、今はさらに綺麗に筋肉をバランスよくつけたアル兄をよく羨ましがっている。そしてそれに関しては俺も同感だ。
俺はこの世界の平均値程度なんですよ。
育ちきったら丸顔、とまでは言えなくなったから、ちゃんと青年には見えるようになったので良しとするけどさ。
ミーティスとトーテルはよく兄妹に間違われるようになった。
まあこの二人は又従姉弟くらいの親戚同士だから、そんなもんだろう。
二人もちゃんと成長したから、俺たちはいっぱしの新人冒険者、って感じにちゃんとなっている。
学校にいる間の小遣い稼ぎで、無事に装備を整えることもできたしな!
「しかし、なけなしだったとはいえ、貯蓄が全部飛んだなあ」
「中古でも大丈夫なものって限られているから、しょうがないね」
この世界の革鎧の類は、原則オーダーメイドだから、結構金がかかる。
成長期が終わる前に必要な場合くらいじゃないか?中古でいいやってなるの。
鎧というのはダメージを受け止めてくれるものだから、下手な中古で済まそうとすると命取りになると言われたら、そりゃそうだよねと納得するしかないわけだ。
そして、フィリスねーさんみたいな金属鎧は、そう簡単には手に入りません。
あんなの着られる冒険者は、それこそ上澄みの一握りだけだよ!
それにしても、フィリスねーさん、年齢には触れてはいけない頃合いではあるんだけど……全然年取らないよなあ……?
そう思わず漏らしたら、うちのかーさんもそうじゃん、と、村組に突っ込まれた。
そうかな?そうかも?
パーティ単位で住むための家も、冒険者組合では斡旋してくれているけど、うちの場合ミーティスが女子なので、全員で一緒に住む、とはいかない。
なんでミーティスはフィリスねーさんのタウンハウスで一緒に暮らすことになっている。
一流冒険者は個人でタウンハウス持ってるんだって。
俺たちはその近所にある一軒家を借りることができた。
家賃払わないといけない借家だから、頑張って稼がないとだ。
冒険者組合では、ランク制度を採用している。
最初はFからスタートして、いちばん上はAAAだ。
AAAなんて、フィリスねーさんでも持ってないけど。ねーさんはAAだね。
それでも、在学中に仮登録で活動していた分も業績に加算してくれるから、俺たちはDからのスタートになる。
結構恵まれている?いやいや、それだけ努力したんだぜ、俺たち。
本来なら初等部ではなく専門部でないと教えてもらえない剣術や槍術を教わるってズルはしたけどさ!
エランは専門部からも進学の勧誘が来ていたけど、断った。
俺たちと一緒のほうがたのしいから、だそうだ。
そう言ってくれる友達、仲間って、いいな!純粋に、うれしい。
まあ、そんな感じで正式に冒険者デビューはしたんだけど、日常は今までと大して変わりない。
寝起きするのが学生寮から借家に変わって、朝飯の支度は自分たちでしなくちゃならなくなったくらいだな、変わったのって。
夜は冒険者組合の食堂を利用し倒している。
旨いし、食材を納品すると値引きがあるからな!
学生やってる間に、実績の方を結構積んじゃってるからねえ。
期待の新人だけど、もう全然新人の動きじゃねえぞ!とは、冒険者の先輩になったライナス兄さんの言葉だ。
世間の噂では、海外……海向こうの大陸のヤバめの噂がちょろちょろと流れてはいるけど、このポデントス界隈はまだまだ平穏だ。
今のうちに熟練度も金も稼がないとなあ、なんて考えてる。
そう、海の向こうの騒動は、いつかこっちに飛び火する、そんな予感がずっとしてるんだ。
それをどうにかするためには、更なる修練という訳だ。
でも今は、仲間とわちゃわちゃする日々をもう少し、味わおう。
なんか打ち切りエンドみたいな内容ですがちゃんと続きます^^




