表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/19

第17話 進路とか考えてなかった。

 その後は大きなトラブルもなく、同級生も欠けることなく。

 モードゥナも単純な骨折はさっくり完治して、元通りの日常だ。


 テレック、友人自体があんま居なかったらしいんだよね。

 まあ自慢したがりのウザ絡みタイプだったから、さもあらん。


 俺はちょっと周囲から浮いてるような、でも友人には恵まれてるからそうでもないような、そんな生活をしながら、十五になった。


 ちゃんと身長も伸びたし、【内なる力】も成長で一気に増えたから、やれることがばばーん!と増えた。


 あ、ちなみにこの世界、十八歳が成人。意外と遅いな?

 いや、平均寿命七十年ちょっとって都市部の統計があるから、普通かも。



 まあ去年の春先くらいから進路指導とかいう話が出てきて、今ちょっと、いやかなり、困ってるんだけどね?


「引く手あまたってレベルじゃねえな、カー君」

「おれたちもーとばっちりー」

 結局六人班は時々レメディア嬢とモードゥナが入れ替わるくらいで、ずっとそのまま活動している。


 冒険者組合に仮登録したパーティでなら、森の採集活動も解禁されたんで、活用してるんだ。

 流石に貴族令嬢でもあるレメディア嬢は、課外の小遣い稼ぎにまでは付き合わせられないから、そんなときはモードゥナを誘ってるってわけ。


 そして、俺ほどじゃないけど、他のメンバーにもきっちり求人票が山盛りだ。

 俺と違って、教会関連からのものが少ない分、山が低いだけだね!


「私にまでこの山は想定外だわ」

 ミーティスはそんなことを言うけど。


「何言ってるの。

 最初に班組んだ時に、就職にいちばん困らないのはミーちゃんだなって話、したじゃん」

 モードゥナはとうとう俺たち全員の名前を略して呼ぶようになった。

 こいつらしいなあ!と思うだけで、嫌な気は全然しないけど。


「確かに、女性向けの護衛ができる、しかも体術に優れた〈拳法〉持ちとか、王族からもオファーが来そうだなぁ」

「流石にそのクラスは貴族出じゃないと無理よ。

 まあそういう需要を見越した貴族の養子オファーが来てはいるけど……」

 ミーティスの場合、それより多いのが貴族からのお妾さんの誘いなのが困ったもんではある。


 スキル持ちの女性の場合、どれだけ身分が低くても、貴族からの囲い込みの依頼は来る。

 でもそれは基本的に本人ではなく、産まれた子だけが欲しいという酷い話で。


 そういう意味では、安定した生活の為ならまだ養女オファーのほうがマシとはいえる。

 最終的に行きつく先がスキルを持つ子が欲しい、に変わりなくてもだ。


 俺にも貴族の養子オファーは来ている。

 スキル持ちなんてだいたいそんなもん、であるらしく、戦闘や冒険者活動には向いていないスキルを持つトーテルにすら来ている。


 あの村のスキル持ちが、少ないなりに平穏な生活してたの、単に外部に知られてなかったせいだな、ってのがよく判った!

 ……男爵がいろいろ頑張ってる可能性もないではないけども。


 ただこの世界の場合、それらはあくまでも依頼であって、蹴る権利自体は法律で保障されてるのはありがたい。

 家族絡みのしがらみとかで蹴り切れないケースがそこそこ多いのは……まあ人間だからね……


 まあぶっちゃけ、俺はそこらへんは全部蹴るんですがね!

 収穫祭と厳冬期の学校の休暇の折にはマメに実家に帰ってるし、かーさん一人にしとく気はないんで!


 とはいえ、俺が卒業後の進路のことは全然考えてなかったのも確かだ。

 いや、ホント言うとトーテル共々、地元に戻って兵士でいいんじゃね?くらいには思ってたんだけども。


〈囲い〉で、小型のモンスター程度なら足止めができちゃうことが、冒険者組合にばれちゃったからなあ。

 うん、あの猪、モンスターとしては小型分類なんだってさ。

 魔猪種の中では大き目って話だったけど。


 この世界、モンスターは脅威ではあるけど、利益を齎す素材でもある。

 肉が食えたり、毛皮が採れたり、薬になったり、だ。


 だから、ある程度効率的に狩る手段を、冒険者組合や軍はいつでもどこでも、模索している。

 少なくともレジュメイア大陸では、軍もそっち側だ。


 なお、冒険者の武器でも、軍の武器でも、いちばん一般的なのは槍だ。

 リーチが確保できるから、そして地味に扱いが簡単だから、だという。


 剣はその次に多いけど、冒険者だと使い手はスキル持ちだけだという。

 危ないからね、人間よりパワーがあるのが普通あたりまえであるモンスターに近接するの。


 それが、俺の〈囲い〉が足止め特化になれば、超近接職である〈拳法〉持ちのミーティスですら、即戦力に化けることになる。


 うん、本人の強い希望で実践済みなんだ。

 相手は猪じゃなくてトールヘアっていうデカい兎だったけど、ミーティスは一撃で、足止めしたウサギの顎を殴り飛ばして意識を飛ばすことに成功していた。


 流石に打撃でトドメは刺せなくて、アル兄が手持ちの刃物でやってくれたけど。


「素手だとやっぱりちょっと痛いわねえ、お金を稼いで装備を見繕うべきね」

 そして、ミーティスはほぼスキルを活かす職業を目指すことを決めている様子だった。


 俺はまだ微妙に答えを決めかねている。

 かーさんのもとに戻るつもりでいたんだけど、よく考えたら、かーさんを呼び寄せるんでもいいよな、ってなっちゃってさ。


 とりあえず教会はなしだ。

 聖獣様の威光にだけすがる暮らしなんて、冗談じゃない。

 コトンも教会に縛られるような柵は不要って言いきってたし。


「冒険者組合が現状だと無難かなぁ。知り合い増えたから、馴染みやすそう」

「そうだなぁ、お貴族様勢をかわしながら、になっちまうだろうけど」

 本人も男爵家とはいえお貴族様の一員のはずのアル兄が割とシビアなことを言う。


 というか、もしかして俺ら、このパーティのまま皆で一緒に就職する流れなん?

そのもしかしてやが?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ