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第12話 森でのお約束。

「まず、森に入る際には清潔な、動きやすい、肌が露出しない服装。

 お風呂はちゃんと出かける前に入ってきたわね?

 そうそう、香水とか人工的な香りを付けるのも禁止……うん、守れてるわね」


 まあここまでは前日説明ぶんのはずよね、とフィリスねーさん。


「野生動物やモンスターを刺激するから、でしたっけ」

 森自体入ったことがないという、根っからの町育ちであるエランが、森の入り口を見渡すようにしながら、やや不安げな声音で確認する。


「よくできました、その通りね。

 この森の動物やモンスターは良くも悪くも人間慣れしてしまっているから、そこまで厳密にしなくても大丈夫ではあるんだけど、他所から流れてくるモノもいるからね」


 フィリスねーさんの説明の通り、野生動物やモンスターは、そこいらの人間より長距離を平気で移動するものが結構いる。


 クレトス村の横の森でも、西の森でしか見なかった生き物がなぜか南東の森にいたりする、でも移動するところは誰も見ていない、なんてことがちょいちょいあった。


 むしろ村を挟む程度の距離なら、短いほうだ。

 俺が生まれる前には、結構強力なモンスターが、王都の反対側、隣国との国境辺りからパートリッジ侯爵領にまで移動してきて大騒ぎになったこともあるという。



「村の近くの森と思ったより変わらないんだね」

「そりゃ地理的にもそこそこ近いし、南東の森とは大差ないんじゃないか?」

 森の入り口からしばらく入ったところでのトーテルの感想に、身も蓋もない返事をする俺。


 ただ、西の森の方とはだいぶんと趣が違うなぁ、とは俺も思っている。

 俺は家の場所の関係で、西の森の方になじみが深いんだよねえ。


「ああ、カークは家から遠いって言って、南東の森ではあまり見かけなかったものね。

 確かにあの森と植生は似ているわね」

 ミーティスもそれを知っているので、俺の言葉に頷いている。


「あー、たしかにあの村の森はそうよね。

 でもこの国全般の傾向としては、あの西側の森のほうが例外よ?そこは覚えておいてね」

 そしてフィリスねーさんの説明に納得する、俺を含むクレトス村組。


「コルモラン男爵領の森ってそんな愉快な場所があるんだ?」

 興味を示したのはアル兄だ。


「愉快っていうか、国境を越えなければ南東の森より安全で、採集の実入りが多い……」

 うん?なんかひっかかるな。


 普通、人間が好んで採集する果実や山菜って、動物も好んで食べるものが多い。

 だというのに、西の森はそんなに動物の姿は多くなくて、その結果、収穫物は多くなるんだよな。


「あー、国境がある場所なのか。しかもあそこの国境の向こうは魔物の領域、だっけ」

 俺の話を聞いたところで、アル兄は納得顔になった。


「他所も含めて、わたくしは国境のことはよく知らないのですけど、やはり他とは違うのです?」

「他国との国境含めて、違うわね。クレトスの西の森は特別違う、レベルで例外だけど」

 首を傾げた箱入り娘のレメディア嬢に、フィリスねーさんが頷く。


 そんな会話をしつつも、採集の手はちゃんと動かしている俺たちです。

 村の子は歩けるようになると、子供でも採取できるものと動物やモンスターの痕跡チェックは教え込まれるからね!


「うーむ、予想してたけど村組、教えることないわね」

 というフィリスねーさんのお墨付きだ。


 なので、村組三人で、街組三人を教える格好になった。

 トーテルがエランに、俺がアル兄に。女子二人はふたりでフィリスねーさんの管理下といった感じだ。


「流石にこの程度の場所だと、モンスター系の痕跡は全然ないんですね」

 トーテルがしばらく地面や樹木を観察してから、フィリスねーさんに確認する。


「そうねえ。この場所だと、むしろあったら通報か処理必須な奴だもの……ってあら?」

 フィリスねーさんは一旦その意見に頷いたけど、急に真面目な顔になって、森の奥を透かし見るかのような顔になった。


 ……うわ、俺にも判るぞこれ。かなりデカイモンスターが、居る。


「なんでこんな場所にあんなデカブツが……?」

 なんと、アル兄も気が付いたようで、解せぬ、という呟き。


「カーク君、スキルどのくらい育った?」

「いやまだ全然力不足で」

 習熟度はコトンのおかげでか、結構稼げている感じなんだけど、いかんせん!【内なる力】が!まだ全然足りてない!


「あー、キミ、成長遅いタイプだもんな……しょうがない、下がるか」

 どうやらフィリスねーさんは狩るつもりでいたようだけど、流石に現状の俺では、皆を守るような〈囲い〉はまだ造れないんだよなあ。


 いや、ぶっ倒れるつもりでやれば、多分一回攻撃をいなせるくらいの壁は作れる、気はするんだけどね。


 気絶すると壁、消えちゃうからさあ、現状だと。


(やばそうならば我を呼べ)

 コトンがどこにいるものやら、そんな声を掛けてくれるけど。


「……ひゃあああああああああああああ!!!」

「チッ!カーク達は下がってなさい!」

 素っ頓狂な悲鳴がほぼ同時に聞こえてきて、フィリスねーさんは舌打ちと共にそう告げると、普段村で見ていた姿からは想像できない速さで、声のした方にすっ飛んでいってしまった。



「今の悲鳴、誰だ?」

「多分モードゥナと一緒のパーティにいたテレックだと思う」

 誰に聞くとでもなく呟くアル兄に答える。


 多分というか、俺の中でさっきの声はテレックなのが確定だ。


 そういえばあいつもスタンドプレイ派だったな……

 俺にウザ絡みすることが多いんで今日のパーティの面々にはあまり好かれていないけど。


 問題は、今日奴と行動してるのがモードゥナだってとこだ。

 今回はレメディア嬢に譲ったが、普段ならあいつも入れて六人班、だからな……

フラグは回収するもの。

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