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第11話 パーティを組んで森に出る。

徐々に不穏が寄ってくるけど、まだ遠くの噂話だよ。

 そんな感じで、浮いたり浮かなかったりしつつ、同級生達とも気が付けば結構打ち解けて、学校生活もあっという間に二年目の冬、だ。


 来年の春で俺、十四歳です。


「じゃあ組み分けが済んだらパーティ申請なさい!申請が許可されたら順次出発よォ!」

 ベティ教官のいうパーティ申請とは、冒険者組合への一時登録に必要な申請だ。


 そう、この世界には冒険者組合があるのだ。

 ……ただし、現在ではこのレジュメイア大陸にしか残っていないけども。


 フランバル大陸にあったそれは、ヴァンレン帝国に解散させられて、今やレジスタンス組織扱いで当時の主力や幹部は討伐対象だそうだ。世知辛い。


 一応テルメルエンケルというフランバル大陸東端の国には、下部組織がまだ生き残ってるそうだけどね。

 そっちも戦乱の余波で機能不全を起こしているようで、最近ではこちらの大陸に情報が流れてこないという。



 現在の俺たちは、クラス内で気の合うもの同士で組んだ臨時パーティを、冒険者組合に申請しに来ている。


 これは未成年者ばかりの俺たちが森に入るにあたっては必須の申請だそうだ。

 実家のあるクレトス村ではそんな組織が出張ってきてなかったから、誰でも普通に森に入ってたけどね。


 無論その弊害も、俺はよくかーさんに聞かされたから知っている。ばーちゃんの件だな。


 このポデントス近郊の森では、その種の危険はないけど、代わりにいろんな動物や、モンスターが生息している。


 街の近郊なのにそれが許されているのは、そいつらが生活の糧になるからだ。

 つまり、近場でお手軽に資源を確保できる、但し危険度はそれなりの場所、ってわけだね。


 勿論今回の森には、ベテラン冒険者の引率者がパーティごとに一人ずつ割り当てられる。

 流石に初心者だけで森に放り込むようなスパルタ式はやってない。


 のは、いいんだが。


「やっほー!カーク君も皆も久しぶり!身長伸びたわねえ!」

 なんで、フィリスねーさんがここにいるんでしょう。

 しかも、冒険者御用達の革鎧じゃなくて、軽そうな、白銀に輝く、絶対お高いであろう金属製の軽鎧装備で。


「「えぇ……?フィリスさん冒険者やってたの……?」」

 トーテルも、ミーティスも、二人揃って不審顔だ。


 ミーティスは気が付いたらタメ口聞く仲になっていた。

 トーテル共々、お互い色気部分はないのでただの村の馴染の友人枠だけど。


 パーティは六人だということで、俺、トーテル、ミーティス、それにエランと、最近ではアル兄と呼んでるアルタニク兄さん、最近仲良く?なった同級生の女子、レメディア嬢だ。


 仲良くなったというか、レメディア嬢はコルモラン男爵の正妻、エスメラルダ様の姪です。

 つまり、親戚いとこ


「あら、フィリスタリア様といえばこの街の冒険者組合でも最強ですわよ?ご存じなかったの?」

「村じゃずっと、居酒屋の料理できない看板娘やってたんだよ、このヒト」

 クレトス村出身ではないから事情を知らないレメディア嬢が首を傾げたので、事実だけ述べておく。


「やってた、って、カーク君、もしかして私の事情、知ってたの?」

 フィリスねーさんが首を傾げたので、それには首を横に振る。


「いや全然?……ただ、なんとなくだけど、スキルカンスト済み疑惑だけ持ってた」

 ほんとにね、なんでか知らないけど、それだけは気が付いたら、理解できてたんだ。


「くっ、立ち居振る舞いでバレる系かー!修業が足りないわね。

 とはいえ今日は私は森の教導役なので、指示には従ってね?」

 フィリスねーさんの言葉には異論がないので、全員で「はい!」と答える。



 森に入るといっても、入り口に近い、モンスターのほぼ出ない場所で、危険察知の仕方の基本と、採集の基本を学ぶだけだ。

 初等部に戦闘課程は含まれていないからね!


 それでも何年かに一回、森の奥に好奇心に負けて引き寄せられて迷子になったりモンスターと遭遇したりする事故があるから、リーダーにGPS的な道具が貸し出されるパーティ登録なしで森に入るのは禁止されているという訳だ。


 俺らと仲のいい人間だと、モードゥナがやらかしそうなタイプなんだけど、彼は今回は一緒じゃないんだよね。


 女子がいる数少ないパーティなうえに親戚オレもいるからこちらがいい、と主張したレメディア嬢に押し出されました。済まぬ。


 一組しかないこの学年は全部で四十人程いるんだけど、そのうち女子は五人しかいないし、三人は既に三人プラスそれぞれの従者、でパーティ組んじゃってたんだよねえ。


 まあ目的が目的なので、ゲームなんかとは違って、特に役割分担とかはしないし、そんな考慮はされていない。

 人数合わせに従者を入れるのだって、普通に認められているしね。


 俺は初歩の剣術も田舎で少しだけ習ったけど、全然モノになんてなっていないし、今日のメンバーで前衛っぽいことができるのは、〈拳法〉を順調に育てているミーティスだけ、だったりする。


 アル兄も病み上がりで学校に入ったから、俺と習熟度はどっこい、らしいんだよね。

 体格はもう出来上がりつつあるから、腕力的な部分は期待できそうだけどさ。


 そういう心配をするもんじゃないのは知ってるけどさ、世界にはフラグって奴が絶対存在すると思ってるんだよね、俺。


 後でレメディア嬢にこっそり確認したら、フィリスねーさん、本名はフィリスタリア・ファザントという、法衣侯爵の庶生のご令嬢だった人、だそうだ。


 実家が現在あの村の居酒屋であることも、間違いではないそうだけどね。


 居酒屋のおかみさん、侯爵閣下のお手付きになる前から、今の旦那と恋仲だったらしくて、そりゃもう手酷く侯爵閣下を振ったんだってよ。こええ。

 それでもスキル持ちの子孫が欲しいという要請には逆らえなかったのが社会の闇。

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