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第七話 旅の道中。両親の真実!?

サーシャたちの力の一端が見られます!!

「勇者の生まれ変わりとまで言われた人物よ。」


 ……??

 お母さんの言葉に戸惑った。

 勇者の生まれ変わり!?お父さんって冒険者稼業に思い悩んでギルドに勤めているんじゃないの!?ぶっちゃけ元冒険者のギルド職員ってそんな人ばっかりだと思っていた!?


「……え!?どう言うこと!?」


 お母さんに詰め寄った。だが、お母さんからこんな一言が返ってきた。

 

「まずは、お父さんの戦いを見ていて。少しは受け入れられると思うから。」


 と言って、黙ってしまった。父を見る母の目は何も疑わない信じきった目だった。そんな母を見て、私も少し観察をすることにした。


 ――――――


「モンキーベア……。A級がなんでこんなところにって気持ちもあるが、まずは対処しないとな。」


 父はそう言いながら、腰に携えていた刀の柄を握った。父はこの世界では珍しく刀を好んで使っている。

 どこから伝わったのかわからないが、刀はこの世界でも有名な武器だ。有名な物なのになんで珍しいのかと言うと、単に扱いが難しいからだ。有名だけど、扱えるものが少ないから使っているだけで一目置かれる。それだけに、初心者が見栄で手を出して痛い目を見ることがあったりする。


「悪いが、正当防衛だ……。」


 父はそう呟くと、一瞬にして姿を消し、300メートルは離れた場所にいるモンキーベアの目の前に現れた。そして、抜刀から一閃。モンキーベアの首をはねた。


「……はぁ!?」


 私は思わず声をあげた。A級だよ!?ほぼ、災害クラスじゃん!?!?

 魔物のクラスについて説明すると、Fから A級があり、その上にS級、さらにその上に魔王といったクラス分けがなされている。魔王はただ1人。その下の幹部たちがS級。詰まるところ、野生で見かける魔物の中ではA級が最上位クラスだ。A級は国を脅かすほどの危険度で、魔物によってはS級を超える強さを誇ることもあるが、S級は人間並みの頭脳を持つためなかなかクラスを覆せない。

 そんなA級を一撃って……。私もチート能力を手に入れているが、戦闘用じゃないからな。父が魔王を倒せばいいんじゃないのか?


「なんで……お父さんはギルド支部長なの?冒険者でも行けたんじゃ……?」


 私はふと疑問を感じた。


「お父さんはね、勇者のように強いんだけど、()()()()()()()()……。だから、ギルドに所属して魔王を倒せる可能性がある者を育てたり、見つけたりしているの。」


 ()()()()()()()……??

 なんだそれは?そんなことがあるのか?


「その辺の詳しい話はまた後でにしましょう。お父さんが帰ってきたよ。」


 母の言葉に父の方を見ると颯爽とこちらに戻ってくる父が見える。あれだけの魔物を倒しておいて楽勝って感じだ。

 この両親の子供として生まれた私は、なるべくして才能に恵まれているのだなと感じた。今まではなんとか有耶無耶にしてきたけど、遂に隠しきれなくなるのかぁ……。

 色々面倒そうだなぁ……。あまり目立たないで平穏に暮らしたいのに。でも、魔王は倒さなくちゃいけないのか……。となると、どの道目立つのは必然なんだろうな。陰ながら貢献するくらいの立場がいいのになぁ。


「サーシャ!!なんだそんな驚いた顔して!?」


 父が帰ってきて、私の顔を見るなり色々考えて複雑な私の表情に突っ込んだ。


「……いや、お父さんそんなに強かったんだね……。」


 とりあえず、本当に思い悩んでいたことは黙っておいて、お父さんの強さに驚いたところだけ口にした。


「はっはっはっ!!強かろう!!まだまだ本気じゃないぞー!?」


 お父さんは娘に強いお父さんを見せられたことに調子に乗っている様子だ。


「なんでギルドの支部長なんてしているの?魔王討伐に行かないの??」


 私は純粋無垢な質問を装った。


「支部長()()()とは心外だな!支部長も立派な仕事だぞ!?」


 父は少しはぐらかそうとしているのだろうか、支部長の良さを前面に出してきた。だが、私の真剣な気持ちに気がついたのか、少し声のトーンを抑えて話を始めた。


「支部長の仕事はお父さんも気に入っている。やりがいを感じてもいる。だが、力を持つものはそれ相応の責任がある。お父さんは勇者のように強い。だが、魔王討伐に迎えないのには理由がある。

 だから、お父さんは人材の育成や発掘に力を入れている。もちろん、お父さんの力を必要とするものがいるならば駆けつけるつもりだ。

 ……魔王討伐に迎えない理由については王様との謁見の後に家族会議を開こう。……サーシャ……、お前もお父さんとお母さんに話したいことがあるのだろう?どんなことがあろうが、お前は俺たちの娘だ。安心して話してほしい。」


 ……!?正直驚いた……。両親は私のことに勘付いているような口ぶりだ。その言葉を聞いた後、母の方を見てもいつもの優しい微笑みで返してくれた。親ってすごいんだな……。まさか、異世界からの転生者と言われて驚かない訳はないと思う。だけど、それでも両親は受け入れてくれるかもしれないと思う。


「……わかった。じゃあ、まずは王都まで急がないとね!」


 私は少し気持ちが晴れた。こうなったら早く王様と謁見して、家族水入らずの家族会議を執り行い全てのしこりを取り除きたい。


「……あの……旦那、まずは助けてくれてありがとうございます。ただ……次の都市まではあと少しなんですが、先のモンキーベアの攻撃で荷馬車の車輪が破壊されてます。どうにかならないですかね……?」


 御者が話に入ってきて、今の状況を話してくれた。そうだった。荷馬車が壊れたのか……。


「……そうか……。それは困ったな。なるべく早く行きたいところだったが、歩いて行くか、後から誰か商人でもくれば助かるんだが……。」


 流石に勇者と同じ強さを持ってしても、この窮地は抜け出せないようだ。……、両親は私に自分たちのことを打ち明けてくれた。王様との謁見が終わった後に家族会議をするということにもなっている。だったら、私も力の一端を先んじて見せることもいいだろう。


「お父さん、お母さん……。王都では私も話したいことがあるの。でも、まずはこの窮地を脱するために行動するね。ちゃんと話すから今は黙っていてね。……御者さんはちょっと後ろ向いててもらっても……?」


 私はとりあえず、情報を知っている人は少ない方がいいと思い、御者さんには後ろを向いてもらった。


「いいですともいいですとも!耳も塞ぎますぜ!!」


 空気が読めていい御者さんだ。


「……何をするつもりだ?」


 父は質問を投げかけてきた。


「まあ、見ててよ。」


 私は目の前少し開けた空き地に手をかざした。


 ――ポウ――


 空き地の周辺が光だし、そこに魔法陣が浮き出る。


 ――「荷馬車」――


 私は頭に荷馬車を思い浮かべた。すると、魔法陣から徐々に思い描いた通り、いやそれに近い形の荷馬車が現れてきた。


「……なッ!?!?」

「……どういうこと……!?!?」


 両親は驚いている。まあ、それもそうだろう、こんな召喚術は普通ではない。

 私は神様から貰ったスキルにより、現代地球から荷馬車を召喚したのだった。

ここまで読んでいただきありがとうございます!!

不定期更新ですが、今後ともよろしくお願いいたします!!

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