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同志よ、祖国を守りたまえ  作者: 瀕死の重病患者
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戦火の向こうへ

見て頂き誠に感謝します

1945年5月、ベルリン陥落後


ドイツの無条件降伏が報じられた日、エカテリーナたちは歓声を上げる仲間たちを横目に、静かに喜びを噛みしめていた。ベルリンでの死闘を生き延びたものの、エカテリーナには戦争が完全に終わったという実感はまだなかった。

その数日後、赤軍の一部兵士たちに新たな命令が下された。ソ連は日本帝国との戦争に備え、満州への進軍を開始するというのだ。エカテリーナの部隊もその一環としてシベリア鉄道に乗り込み、極東へ向かうこととなった。


1945年8月、ソ連軍は満州国境を越え、日本軍との戦闘を開始した。エカテリーナたちの部隊は、崑崙関付近での戦いに投入された。


満州での戦闘は、ヨーロッパ戦線とは異なる様相を呈していた。広大な草原や山岳地帯が戦場となり、物資不足に悩む日本軍はゲリラ的な戦法で赤軍を迎え撃った。

「この場所、空が広すぎて落ち着かないわ。」

ソフィアがそう呟く頃には、部隊はすでに攻撃準備に入っていた。赤軍は圧倒的な兵力と機械化部隊で前進し、日本軍の防衛線を次々と突破していった。

「前進! 敵陣を叩け!」

指揮官の声が響く中、エカテリーナは銃を握りしめて突撃した。草むらの中から突然現れる日本兵に銃を向け、引き金を引く。

「くそっ、見えないところから撃ってくるわ!」

ソフィアが叫びながら手榴弾を投げ込み、敵の動きを封じる。満州の戦場は、不意打ちと執拗な抵抗の連続だった。


崑崙関付近の防衛線を突破した後、エカテリーナたちはさらに深い山岳地帯へと進んだ。だが、その道中で部隊は激しい反撃を受け、多くの犠牲を出した。

「ソフィア、大丈夫!?」

エカテリーナが叫ぶと、土煙の中からソフィアが姿を現した。彼女の腕には負傷の痕があったが、命に別状はなさそうだった。

「こんなところで死ねないわ。エカ、先を急ぎましょう。」

エカテリーナはソフィアを支えながら、必死に前進を続けた。戦争の終わりが見えたと思った矢先の新たな戦場に、彼女の心は深く揺れ動いていた。


ソ連軍の圧倒的な兵力の前に、日本軍は次第に崩壊していった。1945年8月15日、日本が降伏を受け入れたという知らせが届いたとき、エカテリーナたちは満州の山中にいた。

「これで本当に終わったの?」

ソフィアが疲れた声で呟いた。

「……終わったのよ。」

エカテリーナはそう答えたものの、その言葉には自信がなかった。終戦の知らせが届いても、戦争で失ったものが彼女たちの心から消えることはなかった


戦闘の後、エカテリーナは再び手紙を書くことにした。

「親愛なる家族へ。私は遠く満州の地でこの手紙を書いています。戦争は終わりを迎えたという知らせが届きましたが、私の心はまだ戦場に縛られています。それでも、生きて帰ることを誓います。そして、この戦争で失われたものの意味を、これからの人生で探し続けるつもりです。」

彼女は手紙を書き終えると、遠くに広がる満州の大地を見つめた。その先にある未来を想像しながら、彼女は新たな人生の一歩を踏み出す決意を固めた。

ここまで見て頂きありがとうございました。

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