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同志よ、祖国を守りたまえ  作者: 瀕死の重病患者
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激突する運命

見て頂き誠に感謝します

1944年夏、バグラチオン作戦後の進撃


スターリングラード、ハリコフ、そしてクルスクを越えて、エカテリーナたちはさらに西へ進撃していた。1944年の夏、赤軍はバグラチオン作戦を成功させ、ドイツ軍の防衛線を次々と突破していった。エカテリーナの部隊はベラルーシからポーランドへ進軍する命令を受け、終わりの見えない戦争の中で疲弊しながらも戦い続けていた。

「次はどこだと思う?」

ソフィアが物資を整理しながらエカテリーナに問いかけた。その声にはいつもの軽快さがなく、疲れきっていた。

「ベルリンよ。」

エカテリーナは淡々と答えた。その言葉には確信と覚悟が混じっていた。

「ベルリンね……そこに行けば、この戦争も終わるのかしら。」

「終わらせるために行くのよ。」

エカテリーナの言葉には決意がこもっていたが、その裏側には自分自身を奮い立たせるための意図もあった。彼女もまた、戦争がいつ終わるのかという不安に苛まれていたのだ。


彼女たちがたどり着いたポーランドの町は、すでに戦火で荒廃していた。ドイツ軍の抵抗は依然として強く、エカテリーナたちは市街戦に巻き込まれた。

「敵が建物に潜んでいる! 気をつけろ!」

指揮官の声が響き渡る中、エカテリーナは機関銃を構えながら前進した。建物の窓から狙撃してくる敵を排除しつつ、部隊は一つずつ拠点を制圧していった。

「この先にまだ敵がいるわ!」

ソフィアが叫びながら、手榴弾を建物内に投げ込む。爆発音が響いた直後、敵の反撃が一時的に止んだ。

「今のうちに進め!」

エカテリーナが仲間たちを鼓舞しながら前進を促した。銃撃戦の最中、彼女は倒れた仲間たちを目にしながらも、足を止めることはできなかった。


何日も続く激戦の中で、エカテリーナの部隊は次第に消耗していった。彼女の周りには、かつての仲間たちの姿が次々と消えていった。

「こんなはずじゃなかった……」

ソフィアが膝をついて呟いた。その手には、親友を失った悲しみが刻まれていた。エカテリーナは彼女の肩に手を置き、言葉を探したが、何も出てこなかった。

「進むしかない。」

それが彼女にできる唯一の言葉だった。


戦闘の合間、エカテリーナは家族への手紙を書くことにした。彼女はかじかんだ手でペンを握り、震える文字を紙に刻み始めた。

「親愛なる家族へ。私は今、ポーランドの地で戦っています。仲間たちが次々と倒れていく中で、私自身もいつ命を落とすかわかりません。それでも、私たちは進み続けなければなりません。この戦争を終わらせるために、私たちの犠牲が無駄にならないことを祈っています。」

彼女は書き終えると、そっと手紙をポケットにしまった。それが彼女にとって最後の手紙になるかもしれない、という思いが頭をよぎったが、彼女はその感情を振り払った。


ポーランドでの戦いを終えた後、エカテリーナたちはドイツ領内へ進撃する準備を整えた。戦争の終わりがようやく見えてきたかのように思えたが、それは新たな地獄への入り口でもあった。

「私たちはベルリンまで進むのよ。」

エカテリーナはそう自分に言い聞かせながら、次なる戦場へと足を踏み出した。

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