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第96話 商会のオープン

 さて、エミリアさんからモイライ商会を早くオープンさせるように催促されてしまった僕は、頑張って商品を作りまくった。と言っても僕が作れるのは服だけなのだが毎日魔力が空になるまで作った。


 何せ作らないと、どんどん未登録の服が増えていくのだ。水を得た魚ではなく、布を得た姉妹が次々と服を作っていく姿に戦々恐々とした僕は、急いで登録して毎日作ったところ能力に変化が起きた。


【名前】エドワード・ヴァルハーレン

【種族】人間【性別】男【年齢】7歳

【LV】26

【HP】870

【MP】1580

【ATK】760

【DEF】760

【INT】1140

【AGL】870

【能力】糸(Lv6(Up)▼、魔(雷、氷、聖、空)

【加護】モイライの加護▼、ミネルヴァの加護、フェンリルの加護

【従魔】ヴァイス、ウルス


 レベル6になって変化した中身がこれだ。


【能力】糸(Lv6(Up)

【登録】麻、綿、毛、絹

【金属】鉄、アルミ、鋼、ステンレス、ピアノ線、マグネシウム、チタン、タングステン、炭化タングステン、銅、銀、金、白金、ミスリル

【特殊】元素、スライム▼、スパイダー▼、蔓、グラウプニル(使用不可)

【付与】毒▼、魔法▼

【素材】毛皮▼、ホーンラビットの角(21)、ダウン(5)、フェンリルの毛(22)

【形状】糸、縄、ロープ、網、布▼

【登録製品】11(New)

【作成可能色】CMYK

【解析中】無


 登録製品なんだが遥かに11種類以上登録しているにもかかわらず、あっさり纏められてしまったのがこれだ。


【頭陀袋】【メイド服】【エプロン】【シェーンズ】【コット】【シュールコー】【チュニック】【ブレー】【ショース】【マントル】【ドレス】


 シェーンズと言うのは肌着のことで、ブレーというのはズボン、ショースは靴下だ。

 それぞれ登録している中身が確認できて例えば。


【コット】コットA、コットB、コットC、コットD


 という感じで表示されて画面ではカタログのように表示されるようになり、さらに詳細を見ると。

 

【コットA】S、M、L


 登録されたサイズまで確認でき、色もここで決めることが出来る。そして色々作る中でカトリーヌさんからの要望も細かくなり、『もうちょと、薄い色がいいんだけど無理かしら?』という言葉から実現したのが色を混ぜると言うことだ。


 おそらく合成が出来るようになった時点で、使えていたのだろうと思う。色数がCMYKに変わってしまいどうやって細かい色を決めるんだと思っていたら、あっさり画面で作ることが出来て、まるでパソコンで作っているみたいだった。


 CMYK方式だと1億通りぐらいは作れることになるのだが、一度作った色は登録できるという親切機能付だ。


 色が作り放題になったせいか、媒染剤の欄が消えていた。


 そして糸レベル6の新たな能力は『製品登録2』だった。複数素材の製品登録が可能になったため、どんな服でも登録できるようになってしまったのだ……。


 これにはカトリーヌさんと、セリーヌさんが狂喜乱舞したのだが、消費魔力500かかることがわかった時の落胆ぶりが凄かった。



 消費魔力以外の欠点として、登録は何でも出来るのだが、作り出す時に不足素材があると作り出すことができない。


 能力で作り出すことができるのは糸のみなので、ボタンなどは作り出すことができないが、ここで遂に【素材】の項目の利用法が判明する。


 ホーンラビットの角は、ボタンなどに加工して使われているらしく【素材】のホーンラビットの角を消費することで作成できた。


 つまり複数素材の製品を作り出すには、その製品に使われている糸以外の素材を登録しておく必要があるようだ。

 

 服を大量に製作したことにより一気にオープンに向けての準備が整った。能力で安価に作り出せるのは布製品なので主力製品は当然服になるのだが、今回オープンするお店がある商店街に庶民が来ることはあまりないらしく、誰でも気軽に服を買えるようにしたかった僕は、庶民の人たちが利用する商店街にも雑貨店として試験的にオープンさせることに決まった。


 雑貨店としてオープンさせるにあたって、活躍したのが双子のドワーフ、リュングとロヴンだ。


 2人に作ってもらったのが調理道具だ。能力で出したステンレスやアルミを加工してもらい、フライパンなどを作ってロブジョンさんに試してもらったところ、好評だったので量産してもらい雑貨店にも置くことになった。


 フライパンなどを作る中で判明したのだが、ロヴンの能力で加工できる金属の大きさは50立方センチメートルが限界みたいだ。


 ちなみに僕が出した金属を加工する場合に限って消費魔力が小さくなるのは嬉しい誤算で、おそらく不純物が少ないと消費魔力が減るのではないかと思う。


 念願の卵焼き専用フライパンを作ってもらい玉子焼きを作ったところ好評で、特に気に入ったおばあ様は毎朝ロブジョンさんに作ってもらっていて、卵を産む鳥の魔物をテイムしている人を探すように指示をだしていた。


 オープンまで一番頑張っていたのは、間違いなくエミリアさんだろう。出会いこそは微妙だったが、パン屋で再会した時に雇えて本当に良かったと思う。


 オープンしたモイライ商会を見に来たのだが、予想以上の人だかりで中に入るのが難しそうだ。


「うーん、様子を見に来ただけなんだけど、こんなに人が集まるとは予想外だ」


「エドワード様のお店なのですから、これくらいは当たり前かと」


「質の良い服やアクセサリーが安いので、瞬く間に集まったようです」


 ジョセフィーナとアスィミが答える。



「昨日、店員たちに挨拶しておいてよかったよ。今日だと忙しくて挨拶どころじゃないからね」


「エドワード様から制服を手渡されて、涙を流していたものまでいましたね」


「エドワード様から直接下賜されれば泣きもするだろう」


「ジョセフィーナさんも、エドワード様からワンダリングデススパイダーの糸で出来た、特別なメイド服をいただいた時は泣いていましたもんね」


「そうだったの?」


「アスィミ! 余計なことを言うでない」


「あそこまで売れると、また服をたくさん作らなければいけないのかな?」


「しばらく落ち着くまでは、そうなると思いますよ」


「ハリー様が、エドワード様が作る際の消費魔力を抑えられるように、糸や鋼材を集められているようです」


「そうか、魔力量を上げなくても生産量を増やせるんだった」


「いえ、生産量を上げるためではなく、毎日魔力切れで気絶するエドワード様を心配されての処置です」


「えっ!? そうだったの?」


「エドワード様が気絶するたびにハリー様やソフィア様に報告へ行ってましたからね」


 原因はジョセフィーナじゃん。



「エドワード様。本来、魔力切れというのは頭痛や吐き気が数日続くものなのです。今のところ何もないからと言って、これからもそうなる保証はありませんので、出来れば魔力切れにならないように注意して欲しいのです」


「それって一般的なことなの?」


 アスィミに確認してみる。


「そうですね、私も一度なったことがありますが、二度となりたくないと思うくらいには酷かったです」


 どうやらおかしいのは僕だけのようだ。そう言えばメグ姉も最初、凄く反対してたもんな。

 

「そういうことなら今度からは注意するよ」


「そうしてもらえると安心できます」


 アスィミの方を見るとウインクしている。私の当番の時は気絶しても大丈夫ですよってことなんだろうな。


 馬車の中で話をしていると、エミリアさんが馬車を見つけて走ってくる。


「エドワード様、様子を見に来て下さったんですね!」


「エミリア、忙しいのにごめんね」


「いえ、みんな可愛い制服を着て張り切ってますので大丈夫です!」


 店員にはメイド服をアレンジした可愛い感じの制服。エミリアさんは総支配人に相応しくエレガントな感じとなっている。


「予想以上に頑張っているようなので臨時手当をあげてくださいね。あと差し入れで玉子焼きを作ってきましたので、みんなで食べてください」


「エドワード様の玉子焼き!?」


 臨時ボーナスはスルーかい!


「エドワード様お手製の料理は一度でも食べるとそうなるでしょうな」


 ジョセフィーナよ、真顔で言われると変な材料が入って無かったか心配になるじゃん。もちろん普通の材料しか使ってないからね!


「それではまだみんな頑張っているので私はこれにて失礼いたします」


「あ、うん。頑張ってね」


 エミリアさんは去って行くが、従業員に向かって何か話すと従業員たちから歓声が上がる……。


 臨時ボーナスが嬉しかったのだろうと思うことにしたのだった。

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