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糸を紡ぐ転生者【WEB版】【書籍3巻3月30日発売予定!、1巻重版】  作者: 流庵


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第91話 魔物狩り(下)

 逃げて行った子蜘蛛を見て思わずほっとする。


「おじい様の攻撃が凄かったです!」


「そうか? エドワードも直ぐに、このくらい出来るようになるわい」


「それにしても僕の攻撃では全然止まらなかったですね」


「ふむ、エドワードは1人で旅をしていたせいか、連携が苦手なようだ。遠慮して攻撃していただろ?」


「そうですね、確かに加減がよく分からないです」


「その辺は徐々に慣れていくしかないだろう、ほれ魔石だ」


 おじい様は手慣れた手つきで、蜘蛛の魔物から魔石を取り出し僕に渡す。


 僕は魔石を取り込むと、糸の種類が増えたのを確認する。


【能力】糸(Lv5)

【登録】麻、綿、毛、絹

【金属】鉄、アルミ、鋼、ステンレス、ピアノ線、マグネシウム、チタン、タングステン、炭化タングステン、銅、銀、金、白金、ミスリル

【特殊】元素、スライム▼、スパイダー(New)、蔓、グラウプニル(使用不可)

【付与】毒(New)、魔法▼

【媒染剤】鉄、銅、アルミ、ミョウバン

【素材】毛皮▼、ホーンラビットの角(22)、ダウン(5)、フェンリルの毛(10)

【形状】糸、縄、ロープ、網、布▼

【登録製品】頭陀袋、メイド服▼、エプロン▼

【作成可能色】24色▼

【解析中】無 


 続いてスパイダーの糸の中身を確認する。


【スパイダー】スパイダー▼、ジャイアントスパイダー▼、ワンダリングデススパイダー(New)


【ワンダリングデススパイダー】縦糸、横糸、牽引糸、付着盤、毒(New)


 毒糸ってなんだ? そんな糸初めて聞いたが、付与の毒も増えていたので確認してみる。


【毒】ローグヴァイパー(麻痺毒)、キラータイパン(神経毒)、ワンダリングデススパイダー(神経毒、麻痺毒、酸性毒(New)


 ワンダリングデススパイダーの毒ヤバイな。



「エドワード、糸は増えたか?」


「はい、おじい様。ワンダリングデススパイダーの糸が使えるようになりましたが、毒糸と言うのはご存知でしょうか?」


「それなら、攻撃する時に吐いていた糸ではないか? 細い糸なのだが毒を通す事が出来るそうだ。剣を少し溶かしていたのが証拠だな」


「あの攻撃がそうなんですね」


「エドワードよ、そこにあるワンダリングデススパイダーの糸の繭は回収できるのか?」


「大丈夫です」


 そう言ってワンダリングデススパイダーの巣にあった大きな繭を取り込んでみる。


「フォルターグリズリー!」


 中にあったのはフォルターグリズリーの死体だった。


「餌用に保存しておいたのだな」


「フォルターグリズリーよりも、強いということなんですね」


「うむ、ワンダリングデススパイダーの毒は強力で刺されれば5分ぐらいで死にいたる毒と聞いたことがあるな」


「そんな怖い毒だったんですね」



 会話をしながら繭を全て回収し終わるが、フォルターグリズリー以上の大物は出なかった。



「エドワード様、子蜘蛛の方の魔石を回収してまいりました」


 ジョセフィーナが子蜘蛛の方から魔石を取って来てくれた。


「ありがとう。おじい様、この魔石は全て取り込んでも良いのですか?」


「もちろんだ。たくさん取り込めば糸を出すエドワードの魔力消費が抑えられるのだ、全て取り込むがよい」


「分かりました」


 そう言ってジョセフィーナが持って来てくれた、子蜘蛛の魔石も取り込む。


「よし、今回の最大の目標であったジャイアントスパイダーの上位種の魔石を、エドワードが取り込めたので帰ることにしよう。途中、食材となりそうな魔物は狩るが、強そうな魔物以外はエドワードとジョセフィーナ、二人で連携を取って倒してみるんだ」


「連携ですか?」


「うむ、そうだな。エドワードは敵を足止めすることを心掛けるがよい。ジョセフィーナは完全な前衛タイプだから、ジョセフィーナの動きを邪魔しないようにするのだ」


「足止めですね、分かりました。ジョセフィーナ、よろしくね」


「お任せ下さい!」


 ジョセフィーナのヤル気が半端ないな。ワンダリングデススパイダー戦であまり活躍出来なかったのを、気にしているのかもしれない。ジョセフィーナは僕のそばにいる時は常に気が張っていて、侍女と言うよりは護衛みたいだ。過去の出来事が関係しているのだろうが、もう少し打ち解けて欲しいと思っている。


 帰りの移動中に、オークと遭遇した。


「ジョセフィーナ、行くよ!」

「畏まりました!」


 ワンダリングデススパイダーの糸でオークの足を結ぶとオークが倒れ、その隙を突いてジョセフィーナがオークの首を落とし止めを刺す。


 今のは上手く連携できたような気がするな。



「これ、エドワード。今のではダメだ」


「えっ!? 上手くいったと思ったんですが、ダメでした?」


「倒れたオークの首を刎ねると、ジョセフィーナの動きに無駄ができる。今のように1匹なら問題ないが、複数の敵を相手にすると、無駄な動きは命取りだ。ついでに言うと地面に向かって剣を振らせるのも良くない、剣が地面に刺さったり刃が傷む可能性もあるからな」


「なるほど、おじい様の言う通りです。ごめんねジョセフィーナ」


「いえ、足止めしていただけるだけでも、助かるので全く問題ないです」


「ジョセフィーナもそれではエドワードの成長に繋がらない、どうした方が倒しやすいかしっかり話し合うのだ」


「申し訳ございません。そうですね、リクエストするなら、立ったまま動けなくしてもらった方が倒しやすいでしょうか」


「分かったよ。次は転ばせないように足止めしてみるね」


 しばらく歩くと今度はオークが2体襲ってくるので、ワンダリングデススパイダーの糸で手足を地面に固定すると、オークは身動き取れなくなる。


 その隙をついてジョセフィーナはジャンプしてオークの首を落とす。上手くいったが、まだ改善の余地はありそうだ。


「今のは先ほどよりも良くなっているな」


 おじい様もまだ改善できると思っているようだ。


『エディ、この匂いはフォルターグリズリーだ』

「ジョセフィーナ、フォルターグリズリーが来るって」


 オークの血の匂いに釣られて来たのかもしれない。ジョセフィーナも戦闘態勢に入る、おじい様は動かないので、2人で倒せると判断したのだろう。


 ジャイアントスパイダーの糸では無理だろうが、フォルターグリズリーを餌にしていた、ワンダリングデススパイダーの糸なら足止め出来るはず。


 オークの時と同じように手足を地面に固定、そして背の高いフォルターグリズリーの首に届きやすいように、蔓を使って助走台を作った。


 やはりワンダリングデススパイダーの糸は、簡単には千切れないらしく足止めに成功した。その隙をついて、ジョセフィーナが助走台を駆け上がりフォルターグリズリーの肩から袈裟斬りのように、左肩から斜めに振り下ろしたかと思った瞬間。なぜか右肩から斜めに振り上げられいる。フォルターグリズリーの頭部は両肩からVの字に切り取られたのだ。


「……」


 なんだ今のは?


「ほう、ジョセフィーナはジェンカー家秘伝の『フルークファオ』を使えるのだな」


 なんですかその技は? 僕も使いたいです。


「はい、エドワード様を探しに出る旅へ向かう前に父より習いました。溜めの大きい技ですが、エドワード様から時間と足場を作っていただいたので、使うことができました」


「硬いフォルターグリズリーを、一撃で仕留めるとは思わなかったぞ」


「早くて動きが見えなかったです!」


 無表情は相変わらずだが、心なし嬉しそうにも見える。


「今の足場は連携としては上出来だったぞ」


「上手くいって良かったです。オークの時に結構ジャンプしていたので、更に大きいフォルターグリズリーは大変だと思い、首に届きやすいよう作ってみました」


「私も1人で旅をしていた時には、溜めが大きく出せなかった技なので、成功してよかったです」


 食材をたくさん集め、ワンダリングデススパイダーの糸を使えるようになって有意義な魔物狩りだったが、一番の収穫は、ジョセフィーナとの距離が少し縮まったことかもしれないなと思うのだった。

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