第90話 魔物狩り(上)
今日はおじい様、ジョセフィーナ、ヴァイスと共に魔の森へ魔物狩りに向かっている。
ちなみに、レベルは上がっていないが、メイド服を登録したり合成を行ったりしているので、種類はかなり増えた。
【能力】糸(Lv5)
【登録】麻、綿、毛、絹
【金属】鉄、アルミ、鋼、ステンレス、ピアノ線、マグネシウム、チタン、タングステン、炭化タングステン、銅、銀、金、白金、ミスリル
【特殊】元素、スライム▼、スパイダー▼、蔓、グラウプニル(使用不可)
【付与】毒▼、魔法▼
【媒染剤】鉄、銅、アルミ、ミョウバン
【素材】毛皮▼、ホーンラビットの角(22)、ダウン(5)、フェンリルの毛(10)
【形状】糸、縄、ロープ、網、布▼
【登録製品】頭陀袋、メイド服▼、エプロン▼
【作成可能色】24色▼
【解析中】無
メイド服とエプロンはLサイズが増えただけだが、スライムに新しいタイプが増えたのだ。
【スライム】スライム、サンダースライム、アイススライム、ウォータースライム、アーススライム、マグマスライム|《New》、ホーリースライム|《New》、ポイズンスライム
レギンさんから教えてもらったマグマスライムと、回復魔法と合成することによって作れたホーリースライムが増えた。
ホーリースライムは回復魔法と合わせるだけだったので簡単だったのだが、マグマスライムは魔法の属性が火だけではなく、土の属性も必要なのがポイントだ。
そして今気が付いたのだが、【付与】の魔法が増えていたのだ、空間収納庫を覚えたのが原因だろう。
【魔法】雷、火、水、風、土、氷、聖、空
『空』っていったい何属性なんだ? 多分、空間属性なんだろうけど、時空属性の可能性も残っている。どっちでもやれることは一緒だと思うが、マジックバッグでも作れるのだろうか? 楽しみだが魔力の消費量が危険そうなので、時間に余裕がある時じゃないと試せないな。
散々気絶したので、さすがに学習した。
そして現在はローダウェイクから魔の森へ行くために、プレジール湖を船で横断している。
ローダウェイク城はプレジール湖に突き出す形で建てられているのだが、地下から船に乗ってプレジール湖に出ることができるのだ。
プレジール湖はその周囲のほとんどを、山や崖で囲われており簡単に入ることができない。魔の森側にも小さな船着き場があるのだが、大公家専用となっており一般人は利用できないことになっている。
プレジール湖では様々な魚を獲ることができるのだが、漁業権という物が存在するため誰でも船を出して漁をすることができない。岸から泳いだりして獲る分については自由らしい。
横断する船はキャラベル船クラスで全長は20メートルぐらい、2本のマストを持つ船で、風の魔術を得意とする船員が、風を吹かせて進むのでとても速い。
プレジール湖は穏やかなので、風の魔術だけで十分なのだが、海の場合は海流なども関係してくるので、水の魔術が得意な船員も必要なのだとか。
「おじい様、船に乗ったのは初めてですが、とても気持ちいいですね」
「おお、そうか。気に入ったなら良かったぞ」
「船自体はかなりの軽装備ですが、この湖に強い魔物は出ないんですか?」
「エドワード、このプレジール湖には魔物が出ない、そのおかげで魚などを安心して獲ることができるのだ」
「へー、そうなんですね。海では強い魔物が出ると聞いたことがあるので、湖もそうだと思っていました」
「いや、普通の湖は魔物が出るぞ。このプレジール湖が特別なのだ。言い伝えによると湖を守っている守り神がいるらしく、湖の守り神のため魚を獲りすぎないように漁船の数を制限しておるのだ」
「ねえ、ヴァイス。魔の森にいる、エンシェントウルフみたいな存在でもいるのかな?」
『恐らくそうであろうな』
「やっぱりそうなんだ」
「エドワード、ヴァイス殿はなんと言っておるのだ?」
「多分いるみたいってさ」
「やはり伝承の通りであったのか」
会話をしていると向こう岸に到着した。ここからは用意された馬車で、魔の森付近まで移動してから魔の森に入る。
「プレジール湖には魔物がいないのに、魔の森にはどうして魔物がいるのかな?」
「ふむ、確かにプレジール湖にも魔の森と同じような管理者がいるとすれば、どうしてそのような違いが生まれるのか疑問ではあるな」
『管理者は別に魔物を狩っているわけではないからな。単純にあの湖には魔素が少なすぎるのだ、あれでは魔物が生まれないのであろう』
「へーそうなんだ」
「エドワードよ、ヴァイス殿は何と?」
「プレジール湖には極端に魔素が少ないので魔物が生まれないんだって。あと管理者は魔物を狩っているわけでもないみたいです」
「魔素が理由だったとは……」
しばらく進むと体長4メートルぐらいの猪系の魔物がいた。こちらにはまだ気がついていない。
「ふむ、あれはグレートボアだな、ボア系の中では強い部類に入る魔物だ」
おじい様が教えてくれる。
「エドワード様、どういたしますか?」
ジョセフィーナが聞いてくるので。
「僕が攻撃してみますね」
「エドワード様、みんなで攻撃すべきでは?」
「まあ、エドワードの攻撃とやらも見てみたいから今回はいいだろう。危ないと判断したら勝手に加わるぞ」
「分かりました」
さて、どんな攻撃で行こうか。連接剣を使いたいところだが、あの首の太さでは無理なような気がする。目から脳を狙うか……思い出したのだがイノシシの脳って珍味だとか聞いたことがあるな。しかしなるべく胴体に傷をつけたくないからやはり、脳を狙うのがベストだろう。
イノシシの脳は正面からなら眉間の間、側面からなら目の位置がベストだとか。
よし、攻撃方法が決まった。連接剣を使ってみよう。折角サポートとしておじい様やジョセフィーナが付いているんだから。色々な攻撃方法を試すチャンスだ。
連接剣に魔力を流すと、一気に側面から目の位置を狙う。
連接剣はどんどん伸びて側面からグレートボアの目に突き刺さり、貫通してグレートボアを仕留めることに成功する。
「よし!」
「何が『よし!』じゃ! その物騒な武器はなんだ!?」
「レギンさんに作ってもらった、僕の新しい武器なんです。そういえばおじい様がオークションに行っている時に完成したので、おじい様には初めて見せますね!」
「新しい武器か。小さな剣身がいくつも合わさっているのか。糸を使って伸び縮みするから、エドワードにピッタリの武器ということか」
「そうなんです! でもまさか貫通するとは思いませんでしたが上手くいって良かったです。 血抜きだけしてしまいましょう」
蔓を使って持ち上げる。
「「なっ!」」
二人共驚いたようだ。
「この蔓の能力はセラータの町で、エンシェントトレントだった樹から授かった能力で、蔓を自由自在に生やしたり。細長い植物を操ったりできます。魔力の消費が無いので、大きな物を持ち上げたりするのに便利なのでよく使ってます」
「エドワードを見ていると、ビックリしっぱなしではないか」
「アルバン様の仰る通りです」
「しかし、グレートボアを簡単に持ち上げて血抜き出来るとは、便利な能力には間違いないな」
食材になりそうな魔物を狩りながら、能力を伸ばせそうな魔物を探す。途中でおじい様とジョセフィーナの攻撃も見せてもらったのだが、ジョセフィーナは正統派の騎士の攻撃で、僕を探す旅をしていただけあって、かなりの強さだった。
それに対し、おじい様の攻撃は無茶苦茶だった。体の周りをプラズマボールみたいなので囲ったまま魔物に突っ込んで、これまた電撃を纏った剣で硬い魔物でも豆腐のように切断するといったような攻撃方法だった。どうやら父様も同じような攻撃方法らしく、血統的には僕もいずれ出来るようになるのかもしれない。
纏っていた雷は詠唱が終わる前に発動していたので、魔術と言うよりは魔法に近いような気がした。
さらに森の奥へ進むと、突然おじい様が僕の前で剣を振る。
キンッ!
おじい様の振った剣に何か当たった。
「エドワード、少し気を緩めすぎだ。ここは魔の森、常に周囲に気をつけて進むのだ」
「すみませんでした」
「うむ、わかればよい。これから順番に経験を積んでいけば問題ない」
「ありがとうございます。いったい何の攻撃だったのでしょうか?」
「初めて見る攻撃だな。早すぎて何が飛んできたのか見えなんだが、剣が少し溶けている。恐らく初めて遭遇する魔物だ、警戒するのだぞ」
僕は頷くと、おじい様の剣を見た。確かに敵の攻撃を弾いた箇所が少し溶けている。酸性の攻撃だろうか。
『エディよ、この臭いは蜘蛛の魔物だ。先ほど襲ってきた奴は仲間を呼びに行ったみたいだな。こちらに集まって来ておる』
「おじい様! ヴァイスが言うには蜘蛛の魔物だそうです。先程の蜘蛛は仲間を呼びに行ったようで、たくさんの蜘蛛が近づいて来てるみたいです」
「囲まれるとまずい! 奥にいる親蜘蛛を倒すぞ。儂に続け!」
そう言うとおじい様は体の周りをプラズマボールみたいので覆うと、奥に走り出すので僕とジョセフィーナも後に続く。
視界に入った蜘蛛の体長は1メートルぐらい。体が真っ黒で口の周りは真っ赤な蜘蛛だった。
子蜘蛛はおじい様に糸の攻撃を仕掛けてくるが、プラズマボールに当たると焼けて無くなる。ビックリしたのはこの蜘蛛、お尻からではなく口から糸を出しているのだ。
おじい様の邪魔にならないように遠くの子蜘蛛に直径1センチ、長さ1メートルの炭化タングステンを撃ち込んで仕留めていく。
奥に進むと、体長3メートルぐらいの親蜘蛛が待ち構えていた。
「こいつは恐らくワンダリングデススパイダーだな。普段は1匹で彷徨っているが、繁殖する時だけ巣を作るらしい。そうなってくると、先ほどの攻撃は毒の糸だ。絶対に当たるなよ」
「気を付けます!」
距離が遠い今は僕にとってはチャンス。しかし、炭化タングステンを撃ち込むが、当たっても気にせず突っ込んでくる。
「それじゃ儂は殺せんぞ」
おじい様が一刀両断で親蜘蛛を切り伏せると、僅かに生き残った子蜘蛛は一斉に逃げて行ったのだった。




