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糸を紡ぐ転生者【WEB版】【書籍3巻3月30日発売予定!、1巻重版】  作者: 流庵


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第69話 Side ヴァルハーレン領内

 ――ハリー・ヴァルハーレン視点――

 

 ローダウェイクからトゥールスに移動してから数日、ついにイグルス帝国に動きが起きる。


 イグルス帝国はシュトライト城を出発し、トゥールスに向かっているとの知らせが入ったのだ。


「イグルス帝国軍2万か、かなり本気みたいだな」


 先代の大公、つまり父であるアルバン・ヴァルハーレンが呟く。


「そうですね。総大将がブルローネ卿、将軍にレマルゴス卿とコーレイン卿を配置しているようです」


「キンディノス卿がおらぬのは気になるところだな」


「そうですね。7年間の雪辱を果たすため、真っ先に出陣すると思っていたのですが」


「息子の方はかなり狡猾な人物と聞く。何か仕掛けてくるのかもしれんな」


「そうですね。取りあえず何か仕掛けてくるにしても、2万の軍勢は厄介なので、少し削ってきます」


「儂は周囲に注意しておこう」



 私は精鋭500を率いて敵軍の横腹を突いてかく乱させて、ついでに敵将コーレイン卿の首を取る。


 そのままレマルゴス卿を狙おうかと思ったところ、父が出陣するのを確認したため、一旦合流することにした。


「さすがは我が息子だ、敵将を討ち取るのが得意よな」


「あの程度は当然です。それよりも、どうして出てきたのです?」


「うむ、南側に千程の兵を確認したので、そっちをお前に任せる」


「なぜ南側に敵兵が?」


「それもついでに調べてこい。何か裏があるはずだ」


「分かりました」


 そのまま兵500を率いて南側に向かうと、砂塵が見えた。


「敵兵はまだこちらに気がついてない。敵兵が準備する前に一気に駆け抜ける!」


 こそこそ近づいてきた伏兵が戦闘準備をする前に一気に叩く。


 敵将軍ストラーナ卿は伏兵を奇襲されたことにビックリしている。


「ストラーナ卿! 貴殿の首をここに置いていけ!」


「なぜ気がついた。伏兵は完璧だったはずだ!」


「先代とはいえ、まだまだ現役の我が父を見くびりすぎたな」


「退却だ! 要塞まで戻るぞ!」


 今、何と言った!? 要塞だと! 私は討ち取るのを止めて、要塞を確認するため泳がせることにした。


 敵兵を削りつつ、一定の距離で追いかけるとキンディノス卿を確認する。


 なぜキンディノス卿が我が領内に? そしてキンディノス卿、配下の兵が2人の女性を運んでいるのを見つける。


「なに!? あれはジョセフィーナ! 何故こんな所に」


 もう一人の女性は分からないが、2人に攻撃が当たると不味いので追いかけるのみに(とど)める。


 そしてストラーナ卿とキンディノス卿が国内に出来ている要塞に入っていくのを確認した。


「ハリー様! あの要塞は……」


「やってくれたな、ブラウ伯爵……」


 要塞があったのはブラウ伯爵領。


「ハリー様、これだけのことをしたらブラウ伯爵を裁けるのでは?」


「おそらく、ブラウ伯爵のことだ、作ってあった要塞を奪われたとでも言うつもりなんだろう」


「しかしこのような所に要塞を作ること自体おかしいのでは?」


「まあ、ブラウ伯爵の領地だからね。言い訳はたくさん用意してあるんじゃないかな? それよりも問題はジョセフィーナともう1人女性が人質になってることだ」


「ジョセフィーナはなぜこんな所に……」


「それは分からないけど、エドワードを見つけるか、コラビに到着するまで絶対に帰ってこない性格だからどちらかだろう」


 さて、要塞をどう攻めようか……。


 ――ハリー・ヴァルハーレン視点終了――



 ――マルグリット視点――


 エディに追いつこうと馬車でイーリス街道を走る私たちは、順調にヴァルハーレン領近くまで来ていました。


 ジョセフィーナを一緒に連れてきたのが功を奏し、何事もなく王都を出ることができたのです。


 大公家の証を持っているので、ほぼノーチェックで通ることができたのは大きいでしょう。


 道中、エディを失った大公家の話を聞いて胸が張り裂けそうになりましたが、エディの帰りを心待ちにしているのを嬉しく思う一方、このまま行けばエディとの別れが待っているかと思うと寂しくもあり複雑な心境です。


 カティがお店を開くなら、そこに転がり込むのも1つの手段ですね。


 ところが、ローダウェイクまであと少しというところで盗賊の襲撃を受けました。


「なぜこんな所に盗賊が!」


 ジョセフィーナは叫ぶと馬車をいち早く飛び降ります。馬車の行く手を馬車で塞がれており応戦するしかないようです。


「私も出るわ! レギン、マーウォ、カティをお願い!」

「分かった!」

「任せなさい!」


 どうやら盗賊たちは別の馬車も襲っていたらしく、捕まっている人たちがたくさんいました。


 私は盗賊を切りながら捕まっている人を解放していきます。

 

「マルグリット殿! 私を置いて引き返しバーランスの町まで行くのだ!」


「何を言ってるのかしら?」


「こいつらは盗賊ではない軍隊だ! あなたが応戦する必要はない。早くエドワード様の元へ!」


「あなたはどうするの?」


「これでも私は貴族だ! 領民を守る責務がある。それにこの感覚には覚えがある、エドワード様を失ったあの時と同じ感覚だ!」


 ジョセフィーナはかなり強く、次々盗賊を切り伏せて行きますが、一向に数が減る気配はありません。


 私は精霊魔法を使い敵を次々凍らせていきます。


「お前たちイグルス帝国のものだな!」

「――!」


 なぜこんなところにイグルス帝国の兵士が? そう思った刹那。


「お前たち何をてこずっているのだ!」


 背後を取られてしまった。まずいっ!

 そう思った時には切られて……。


 ガキンッ!


 敵の剣は見えない壁に阻まれたのです。


「何!」


 今のは危なかった! 私の周りで精霊が騒いでいる。エディの指輪に守られたんだ。


「女! 今何をした!?」

「……」


 コイツかなり強いわね。このままではまずいとレギンに合図を送る。


 頷いたレギンとマーウォはカティを乗せた馬車を走らせ引き返して行く。


「ドミニク将軍! 馬車が逃げます!」


「チッ! 今からじゃ間に合わん。そこの女2人を捕らえろ!」


 コイツ将軍だったのか!? そう思った時、ジョセフィーナが叫ぶ。


「ドミニク……貴様。7年前ハリー様にあっけなく殺されたマレク・キンディノスの息子だな! こんなところに何の用だ!?」


「そうだ! あのクソのせいで俺様がどれだけ苦労したと思う!」


「なるほど、正攻法ではハリー様に勝てないから、人質を攫いに来たのか! さすがは帝国一クズのキンディノス家!」


「だまれ!」


 ジョセフィーナが敵将軍を煽る。私に逃げろと合図を送ってくるが、エディの専属侍女を見捨てるわけにはいかない。


 精霊魔法で援護するが、ドミニクという将軍の方が一枚上手というか、精霊魔法は大雑把な指示しか出せないので混戦は不利ね。


 私の精霊魔法を躱しジョセフィーナに一撃入れた。


「ゴフッ!」

「ジョセフィーナ!」


 辺り一面を銀世界に変えて、相手をけん制しながらジョセフィーナを見ると、かなり不味いことに。


「精霊よ、彼女を癒して!」


 ここまで深いと私の精霊魔法では……。

 そして、ジョセフィーナを回復している間に囲まれてしまった。


「マルグリット殿……」


「喋らないで!」


「マルグリット殿……私が最後に道を切り開くから……今度こそ逃げるのだ……」


「傷口が開くから黙って!」

 

 精霊よ、お願い彼女の傷口を塞いでちょうだい!


 残っている魔力を精霊に渡してジョセフィーナの傷口をなんとか塞ぐ。


 私は魔力が空になったため、その場に膝をつきジョセフィーナに重なるように倒れてしまった。


 意識が遠のく中、敵の声だけが聞こえる。


 

「ドミニク将軍! トゥールスを挟み撃ちしていた軍から伝令が!」


「よし、話せ!」


「挟み撃ちは失敗! 現在それぞれ敗走中とのこと。敗走軍は現在、ハリー・ヴァルハーレンの追撃を受けているとのこと。将軍は合流して砦まで戻られたしとの事です!」


「チッ! あれだけ大口叩いておいて敗走とは情けねぇな!」

 

 限界が来た私は意識を失った……。


 ――――――――――

 イグルス帝国進軍マップです。

挿絵(By みてみん)

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