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第322話 Side フラム・バーンシュタイン

 エドワード様とお茶会をして数日後、またお茶会に誘われました! 王都に来て二度目のお誘いなんて記録更新です! 貴族派にいたときには目が気持ち悪いと言われて、お茶会に誘われたことなんて一度もありませんでした。こんなにたくさんお茶会に誘われるのは初めてなので緊張します。今回はお姉ちゃんのプラーミアもついて来ていないので不安だったのですが、優しい人たちばかりなので安心しました。


 エドワード様は既にヴァルハーレン領に向けて出発されたそうで、もう一度お会い出来なかったのは残念でなりません。いつかエドワード様が住まわれているローダウェイクにも行ってみたいのですが、今は家がバタバタしていてなかなか難しいようです。エドワード様と大きな船に乗っている夢を見たときは、幸せな気持ちでいっぱいでした。しかし、エドワード様が住まわれているローダウェイクは、海に面していないので大きな船はないとお姉ちゃんから聞いてがっかりしたのですが、それ以来なんどか同じ夢を見るのは私だけの秘密です。


 それにしても、モイライ商会にエドワード様のぬいぐるみがあったのは驚きました。次はいつ王都に来られるか分からないので、三体買ってもらい、お姉ちゃんにはエドワード様が倒されたというシュト……大きな魚のぬいぐるみをお土産にします。もちろん、私の分も買ってもらいましたが、エドワード様の新しい従魔のスノーちゃんのぬいぐるみはありませんでしたね……ローダウェイクでなら買えるのでしょうか? 会計のカウンターの横にあったエドワード様の像も気になりましたが、ぬいぐるみをたくさん買いすぎたので、次に来た時にしましょう。


 ◆


 馬車が王城に到着すると、お茶会の会場に案内されます。前回とは違い今回は綺麗な花がたくさん咲いているお庭でするようですね。


「殿下、フラム様が到着なさいました」


「まぁ、フラム。よく来ましたね。あなたにも他のメンバーを紹介しておこうと思いまして、そちらの席に座ってもらえるかしら?」


 メイドに案内されて席に座ります。前回よりかなり人が増えているので緊張します。


「それでは、エドワード様情報交換会、略して『エドワード様を愛でる会』を始めますわ」


 ……略してないと思ったのは私だけなんでしょうか?


「まずは初めての方もいますので、最初に新メンバーの紹介をいたしますね。ハットフィールド公爵家三女のアリシアよ」


「アリシア・ハットフィールド、8歳になりました。家の派閥こそは違いますが、エドワード様に救われた経験はございますので、仲良くしていただけると嬉しいです」


 アリシアお姉様の所作はとても美しく。見ているみんなも感心しています。私も帰ったら練習したくなるぐらいの美しさです。


「アリシアはオークに連れ去られたところを、エドワード様に助けられた経験があるそうです」


 クリスタ殿下がそういうと、一瞬だけみんなの目が血に飢えた狼のように見えたのは、気のせいでしょうか……。


「次に、バーンシュタイン公爵家次女のフラムよ」


 ――! どどど、どうしましょう! 私の順番が来てしまいました! 私が立ち上がってオロオロしていると。


「フラム、名前だけでもよいから、ゆっくり言えばいいのよ?」


 クリスタ殿下は私を落ち着かせるため、優しく言ってくれました。


「フラム・バーンシュタイン、7歳になります。よろしくお願いします」


「それで大丈夫よ。フラムは目の関係でお茶会などの経験が少ないから、みんな優しくしてあげてね。みんなもご存じのように、エドワード様はそういった偏見を一切持たない方です。そして、例のシュトゥルムヴェヒターを討伐されたのは、亡くなられたレイナード様の葬儀に参列するため、危険な嵐の海を航海されたときの話らしいですわ」


「そうでしたのですね!?」


 突然青緑の目のお姉さんが立ち上がりました。


「ステラ、興奮し過ぎよ。フラムが怯えるわ」


「フラム、ごめんなさい。わたくしはステラ・グレイベアードですわ」


「大丈夫です」


 青緑の目のお姉さんは宰相様のところなんですね。私と一つしか違わないのに、アリシアとステラはしっかりしていますね……。


「フラム、改めてごめんなさいね。ステラが興奮するのにも理由があるのよ。みんなが揃うことにより、エドワード様がコラビを出られてからの功績が、ある程度繋がった形に完成するのよ」


「功績ですか?」


「そうよ。そこで皆様には今回、スペシャルゲストをお呼びしております。お義姉様を呼んでちょうだい」


 クリスタ殿下が侍女に指示を出すと。王太子殿下と結婚なされたばかりのセレーナ様が入って来ました。あの、美しいウエディングドレス姿はとても素敵で憧れます!


「皆さん、ごきげんよう。今回参加させてもらうことになったセレーナよ。カラーヤ侯爵領での活躍なら私にまかせてね!」


 どうやら、エドワード様の功績を話し合う会のようですね……とてもわくわくしてきました!


 ◆



 昨日の『エドワード様を愛でる会』ではとても貴重な話をたくさん聞けました。全然話足りなかったです。みんなとは仲良しになったので、また呼んでもらえることになったのは嬉しかったです。


 何より貴重な情報だったのは、なんとローダウェイクには大きな船があるようなのです! エリーからの情報で発覚いたしました。ノワールお姉様とエリーは、ローダウェイクに住んでいるそうです。羨ましすぎます。話を聞いた感じでは、夢に出てきた船とそっくりだったので驚きました。私もいつか乗れるのでしょうか。


 今日は祝福の儀なので、教会に向かっている最中なのですが、どのような能力が授かるのか心配です。



 ◆


 

 私が父様と母様を連れて、教会に入るとみんなに注目されてしまい、とても怖いです。


 父様と母様の後をついていくと、そのまま祭壇の前に通されました。


「これは、バーンシュタイン公爵様。フラム様のお誕生日おめでとうございます」


 教会の神父様が父様に挨拶します。


「うむ、今日はよろしく頼んだぞ」


「畏まりました。それではフラム様、こちらへ」


 言われた通りに祭壇の前に行き。三神の女神像の前に跪いて祈りを捧げると、暖かいものが体の中に流れ込んで来ました。


「――! フラム様の能力は()()()()です。フラム様はステータスボードを確認してください」


 聞いたこともない能力に会場がざわつきますが、早く帰りたいのでステータスボードを確認します。

 

 【名前】フラム・バーンシュタイン

 【種族】人間【性別】女【年齢】7歳

 【LV】1

 【HP】10

 【MP】50

 【ATK】5

 【DEF】5

 【INT】20

 【AGL】5

 【能力】ミライシ

 【加護】モイラ(アトロポス)の加護


 ()()()()というのはどんな能力なのでしょうか? それに加護とはいったい……お父様と、お母様に聞かなくては……。


 ステータスボードを確認した私は、直ぐに両親の元に行くと、私の気持ちを察したお母様が会場の外へ促すので、後をついて外に待機している馬車に乗り込みます。


 ◆


「あなた、ミライシというのはどういった能力なのでしょうか?」


「私も聞いたことがない能力だな。フラム、ステータスの平均値は伝えてあったと思うが、おかしなところはなかったか? 特殊な能力は、ステータスが異常に高い数値が出ることがあるそうだ」


「魔力が50もあります。それと【加護】という欄があり。そこにモイラ(アトロポス)の加護と書かれております」


「魔力が50も! 魔力を多く必要とする能力かもしれぬな。それよりも加護とはいったい」


「お父様もご存じないのでしょうか?」


「うむ、初めて聞くな。父さんが生きていれば何か分かったかもしれないが……」


「おじい様……」


「あなた、フラムを不安がらせてどうするのですか! 加護というからには何か良い事でしょう。魔力が高いのですから何も不安がることありません。きっと良い能力に決まってます」


「……お母様」


 お母様に抱きつくと、我慢していた涙が流れてしまいます。しばらく馬車の走る音だけが続き。


「……モイラ……モイライ商会のモイライというのはどういう意味なんだ? よく似ているとは思わないか? エドワード殿のあの異常な強さ、もしや……」


「あなた、エドワード様にも同じような加護が?」


「その可能性があるとは思わぬか? 今までその考えには至らなかったが、フラムのステータスを考えるとな……」


 私はエドワード様と一緒という言葉に、少しだけ希望が出てきました。


「エドワード様にお会いしたいです……」


 私の呟きは馬車の走る音にかき消されたのでした……。

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