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第291話 調理方法

 珍しくアスィミが真剣に言ったため、騎士団のメンバーも驚いて変な空気になってしまったな。


「なんだいこの空気は?」


 おばあ様とグレースおばあ様が帰ってきた! ナイスタイミングだ。


『そういえば、エディよ! 魔物の肉はどうなったのだ?』


 膝の上で寝ていたヴァイスが、突然聞いてくるので注目される。


「ウルスに任せてあるんだけど」


『もう解体してありますよ。シュトゥルムヴェヒターのように完璧な仕上がりですよ』


 剥製っぽくしてあるってことなのかな。


『早く(ワレ)は食べてみたいぞ!』


「まだ食べるの!?」


 グレースおばあ様が風呂と夕食を用意していてくれたので、みんなお腹いっぱいだと思うのだが。


『ボス肉は別腹だろうが』


 デザートじゃないんだから。


「グレース、調理場を借りられるかい? ヴァイスがまだ食べたいらしいね」


「大丈夫ですが、作らせましょうか?」


「おばあ様、ヴァイスの言うことが分かるのですか!?」


「分からなくても、いつものヴァイスを見ていれば分かるだろう?」


 みんな頷いていた! ヴァイスは口を開けば食べ物のことばかりだから、分かりやすいのか。


「今日、倒したボスの肉を食べたいみたいので、調理場をお借りできますか?」


「異変の元凶という魔物ですか? そのような魔物の肉を食べて大丈夫かしら?」


「かなりの魔素を撒き散らしてましたからね。その辺りも含めてヴァイスに判断してもらいます」


「そういうことなら、案内しましょう」



 グレースおばあ様の後をついて行くが、みんな着いて来た……みんな結構食べてたけど、まだ食べるつもりなのだろうか?

 

 ◆


 調理場についたので早速調理してみよう。


「取りあえず味を確かめるだけだから、ステーキでいいよね?」


『もちろんだ!』


 みんなも頷いているということは、やはり食べるようだな。


 ステーキ用の鉄板を取り出す。既にマグマスライムで熱くなっているので、いつでも焼ける状態だ。


 空間収納庫からペタノサウルスのモモを取り出す。予想に反して白い肉だ。


「見た目は鶏肉みたいだね」


「あの見た目からは想像つかない肉ね」


「もっと、真っ赤な肉を想像してました」


 おばあ様とアスィミの言う通り、真っ赤だと思ってたよ。


「ヴァイス食べられそう?」


 振り返ると涎をダラダラと垂らしていた。食べられそうだな。


「ヴァイス、どのくらい食べる?」


『大きめで大丈夫だ!』


 全然、別腹じゃないじゃん。


 肉質を確認するために、少しだけ切ってみると。


 なんだこの肉、めちゃめちゃ柔らかいぞ! ナイフで切っても何の抵抗も感じない! あんなに硬そうな魔物から、こんな柔らかい肉が取れるのなんて驚いたな。

 

 切った肉を鉄板に乗せてみると、肉の焼ける音と匂いが食欲をそそるというか、匂いだけでも凄く美味しそうで、お腹がいっぱいだったはずなのに、お腹が鳴りそうだ。


 ところが、鉄板の肉はあっという間に溶けて食べるところがほとんど無くなってしまう。


「……」


『エディよ、食べるところが無くなってしまったではないか……』


 ヴァイスが悲しそうな表情で呟いた。


「まさか溶けちゃうとは思わなかったよ! どうやったら調理できるんだろう」


 さすがに生で食べるのは嫌だな。表面を焼いて寝かせることもできないとは、困った肉だ。


 低温調理とかならいけそうだけど、今からするには時間がかかりすぎるな。


 そういえば、ステーキを焼く前ポリ袋に入れた肉を40度ぐらいのお湯につけるといいと聞いたことがある。


 試したいところだが、肝心のポリ袋がないんだよね。マグマスライムでやってみるか。


 まず、直径50センチ、長さ1ミリ、40度に設定したマグマスライムの糸をだして肉を包む。


 5分ほどで開いてみると、良い感じに仕上がっているような気がする。


「よし、これを焼いてみよう」


 表面に焼き色をつけたあと、アルミの糸から作ったアルミホイルに包んで予熱で火を通す。


『随分と手間をかけているが大丈夫なのか?』


 ヴァイスが心配そうに聞いてくる。


「取りあえず焼くことはできたから、大丈夫だと思うよ」


 アルミホイルを開いた瞬間、部屋中に美味しそうな匂いが漂う。


『これは成功だ、匂いで間違いない! もう食べても良いか!?』


「いいよ、食べてみて?」


 そう言うと、ヴァイスはすごい勢いで食べ始める。


『肉汁が凄いな! 噛めば噛むほど溢れてくる。これは極上のスープだな!』


 かなり大きいステーキだったのだが、一瞬で食べ終わった。


『うむ、おかわりだ!』


「まだ食べるの!?」


『ダメなのか?』


 そんなこの世の終わりみたいな顔で見ないで! それはそれで可愛いけどね。


「みんなの分も焼くついでに、おかわりも焼くから安心して」


『頼んだぞ!』


 みんなの分プラス、ヴァイスと僕の分も同じ工程で焼いていく。


 お腹がいっぱいだったはずなのだが、匂いでお腹が空いてきた。もしかして待望の成長期がやってきたのだろうか?


「さあ、みんなの分もできたので、食べてください」


 そう言うとみんな食べ始める。グレースおばあ様まで食べるとは意外だったな。


 みんなが美味しそうに食べているのを確認してから、僕も食べ始める。


 なるほど、ヴァイスの言う通り、噛むとスープのごとく肉汁が溢れるペタノサウルスの肉は、口の中で爆発するかのような衝撃だ。その肉汁は甘くて濃厚で、体に染み渡る感覚がある。それどころか、噛めば噛むほど味が変わるので、飽きることのない不思議な肉だ。


「こんなにも味が変化する肉は初めてというか、聞いた事もないわね」


「このような魔物の肉があるのですね。魔力が満たされていく感覚がありますわ」


 おばあ様とグレースおばあ様が会話しているが、なるほど、体に染み渡る感覚は魔力なのか。


 もしかして、魔力が増えたりするのだろうか?


 そういえば、最近ステータスを見てないな。ダンジョンで沢山魔物を倒したからレベルも上がっているかもしれないから、確認してみよう。



【名前】エドワード・ヴァルハーレン

【種族】人間【性別】男【年齢】7歳

【LV】4(UP)

【HP】1280

【MP】2505

【ATK】1220

【DEF】1220

【INT】1600

【AGL】1330

【能力】糸(Lv7)▼、魔(雷、氷、聖、空)

【加護】モイライの加護▼、ミネルヴァの加護、フェンリルの加護

【従魔】ヴァイス、ウルス


 ……レベルが4つも上がっている。いや、魔物を倒した数からいえば4つしか上がらなかったことになるのだろうか。細かく見ていなかったせいで、どれがレベルアップに繋がったのか分からない。せめてペタノサウルスと戦う前に見ておくべきだったな。今度から気を付けようと思ったのだった。

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