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第284話 ダンジョン5階※

 ダンジョンもようやく5階まで来た。4階で倒したキングタウルスがボスの可能性も考えられるので、取りあえず魔物を探す。


 この階も4階と同じように様々な種類の魔物がでるということだ。アザリエによると大きなフロアの階は混合の魔物が多く。小さなフロアだと種類固定のケースが多いということだった。


『この階はかなり魔素が濃いな』


「そうなの?」


 この階はヴァイスが気になるぐらいの魔素の濃さのようだ。


『うむ、魔の森よりも濃密な魔素が漂っているぞ』


「エディ様、ヴァイス様は何と?」


 アザリエが聞いてくる。


「うん、この階はかなり魔素が濃いみたいだよ。魔の森よりも濃いらしいね」


「魔の森よりもですか?」


「そうなってくると、この階に強いのがいるのかもしれないね」


「おばあ様の言う通りですね。この階はしっかり探索しましょう」


「取りあえずは探索しつつ野営部屋に向かいましょう。アザリエ、案内頼んだわよ」


「畏まりました。まず奥へ行く前に3つの中部屋がありますので、そこへ向かいましょう。中部屋の1つを野営部屋にしたいと思います」


 シプレを先頭に小部屋を通り、左に曲がったとろでシプレに異変を告げる。


「何だか体が重くないですかぁ? いつもより胸が重いです」


 それが本当なら、カトリーヌさんを超えているのかもしれない。


「シプレもか。私も体を動かすのが先ほどから重く感じていたわ」


 みんなに話を聞くと、リーリエ以外の騎士団の3人は体が重く感じているようだ。一方、僕、おばあ様、メグ姉、アスィミ、リーリエの5人は今のところ変化は起きていない。


「もしかしたら、魔素の影響なのかもしれないね」


 おばあ様が、体の変化を魔素の影響ではないかと推測したようだ。


「おばあ様、そのようなことがあるのでしょうか?」


「聞いた事はないが、エドワードが以前、魔素の影響で魔物が出来ると言っていたのを思い出したのよ」


「エンシェントウルフから聞いた話ですね。影響がある人とない人がいるのはどうしてでしょうか?」


「それについては確証はないが、何らかの耐性を持っているとか考えられないかい? たとえば種族的なものだったり、エドワードのように加護がついているとかね」


「なるほど、確かに関係あるのかもしれないですね……」


 そうなってくると、僕に関しては頭に乗せているヴァイスの可能性が考えられるな。メグ姉はハーフエルフでアスィミは銀狼族というか、狼人族だ。おばあ様とリーリエも何か特殊な能力を持っているのかもしれない。


「しかし、そうなってくると、3人は大丈夫なんでしょうか?」


「何とも言えないわね。魔の森より濃い魔素の中に長時間いる経験は誰もないからね。あたしたちだって今は問題ないが、長時間いることによって影響がでてくるかもしれないからね」


 どうする、取りあえず3人を帰すか? いや、体調の優れない3人だけで帰すという選択肢はないな。


「取りあえず、今日は野営部屋で様子を見ようか。明日になってこれ以上酷くなるようなら、退却という選択肢も出てくるからね」


「分かりました」


 通路を真っすぐいくとアザリエの言う中部屋になるのだが。


「魔物です。おそらくはレオンラビット1体かと」


 リーリエが魔物の存在を報せる。


「私が相手するわ」


 メグ姉はそう言うとシプレの前に行き、部屋に入った。


 リーリエの言う通り、中にはレオンラビットが待ち構えていて、メグ姉が自分の射程距離に入るのを待っているように見える。


 しかし、メグ姉は歩みを止めると。


「精霊よ、私の呼び声に応えて、凍てつく風と氷の力で、敵を打ち砕け」


 詠唱を始め精霊魔法を発動した。精霊魔法に決まった詠唱はないそうで、精霊に動いてもらえれば、あとはイメージ頼りなんだとか。


 以前のメグ姉なら魔物も含めて周囲丸ごと凍らせていたのだが、今は違う。


 レオンラビットの口と鼻の周りに氷の結晶が現れたかと思うと、そのまま凍らせて呼吸を止めにかかった。


 苦しくなってきたのか、レオンラビットは頭を振って氷を剥がそうとするが、どんどん氷は増えてくる。


 精霊魔法の便利なところはお願いすれば、あとは自動でやってくれるので、相手が暴れて狙いが定まらなくてもお構いなしだ。


 メグ姉がピンチの時に精霊の声が聞こえたのだが、あれ以降、聞こえることはない。あの時は指輪に入った精霊が何らかの力を使って僕に報せてくれたのかもしれないな。


 ただ、精霊の存在を感じることができるようにはなった。僕が魔法を使うと勝手に協力してくれるようで、ヒール除菌プラスのキラキラも精霊の仕業ではないかと思っている。


 その場にいる精霊の数や気分で変わるのかは分からないが、攻撃魔法が安定しなくて困っているのだ。


 ちょっと魔物に氷の礫を放ったところ、巨大な氷の塊が魔物を押しつぶしたり。あまり得意じゃないはずの火の魔法でも魔物を燃やし尽くす地獄の業火になったりと、予測不能なため怖くて使えない。


 糸に乗せた魔法に関しては干渉できないのか思い通りの結果になるので、攻撃魔法は糸経由じゃないと、味方まで巻き込んでしまう恐れがあるのだ。


 考え事をしている間に、レオンラビットは動かなくなった。


「メグ姉、凄かったよ!」


「エディ、ありがとう」


「先生、昔と戦い方が違いませんか?」


 メグ姉が戦い始めたのは二手に分かれてからなので、まだ攻撃を見てなかったリーリエが質問した。


「これはエディが、()()()()に考えてくれたのよ」


『エディ様が!』


 思い付きで口に出しただけなんだけどね。


「これだけじゃないわ。エディとの合体技もあるのよ」


『合体技!?』


 合体技というか凍らせやすく水を掛けたり、霧を出したりするだけだよ? ……あれっ、そういえば、メグ姉のサポートするときの精霊はおとなしいな。メグ姉の精霊魔法を優先しているのだろうか?


 まあいいか。取りあえず野営部屋まで急ぎたいので、レオンラビットは空間収納庫に収納する。


「アザリエ、野営予定の部屋は左右どっちかな?」


「どちらに行っても同じなのですが、左側を予定していました」


「それじゃあ、左の部屋に行こう。先頭は僕とヴァイスで行くから、メグ姉サポートお願い」


「任せなさい」


 左の部屋に入ると小部屋があり何もいなかった。


「そこを、右に曲がると目的地です」


「了解。ヴァイス、魔物はどう?」


『さっきのウサギが2体いるな』


 レオンラビットってレアな魔物だったはずなのだが、4階辺りからホーンラビットぐらい出てくるようになったような気がする。


「レオンラビットが2体いるみたいなので、僕が倒してしまいますね」


 おばあ様が頷いたので部屋へ入る。部屋の大きさはさっきメグ姉が戦闘した部屋と同じ大きさだが、中央にレオンラビットが2体……。


『……』


 お取り込み中のレオンラビットに思わずみんな唖然とする。魔物だって生きてるからしょうがないのだろうか? 魔物化しているのなら2体で戦っていても不思議じゃないが、ある意味これも戦いの1つという考えなのかもしれない……。冗談だけどね。


 僕が近づいても気がつかないようなので、目の位置から脳を狙いサクッと2体とも倒してしまう。そのまま、空間収納庫に入れて解体はウルスに任せておくことにした。

 

 


「野営の準備をする前にエドワード、入り口を塞いでくれるかい?」


 おばあ様は、未だに顔を真っ赤にしている騎士団の4人についてはスルーする方針のようだ。


「分かりました」


 入り口を塞ごうとして、前回はかなりの数の魔物が壁に突撃してたのを思い出す。


「おばあ様、前の中部屋にも罠を設置してきますね」


 そう言うと、一旦中部屋に戻る。5階は魔素が濃いことから普通の人には難しいはずなので、罠を張っても大丈夫なはずだ。


 サンダースライムの糸を部屋中に張り巡らせておけば大丈夫だろう。


 罠の設置が完了したので、野営する部屋に戻り入口を塞ぐ。念のため小部屋にもサンダースライムを設置し、アーススライムはまた剣山のようにしておいたのだった。


 ――――――――――

ダンジョン5階のマップです。

挿絵(By みてみん)

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