表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
279/435

第276話 ダンジョンへ※

 準備が完了した僕たちは、グレースおばあ様にダンジョンの近くまで送ってもらうことになったのだが、問題が起きた。ロイヤルカリブーが言う事を聞かないのだ。


 御者のラナフさんの言う事はもちろん聞かないのだが、僕が頼んでも動こうとしない。


「困ったわね。ラナフ、どうにかならないのかしら?」


 グレースおばあ様がラナフさんに話かけた。


「ロイヤルカリブーはとても賢い魔物です。おそらくはエドワード様を送った後、我々だけで王都セメンテリオへ向かうのが嫌なのではないでしょうか?」


 ラナフさんがそう言うと、ロイヤルカリブーが頷いた。本当に言葉が分かるみたいね。


「このロイヤルカリブーは置いて、スレイカリブーで移動いたしましょうか?」


「それではセメンテリオへ戻るのに、時間がかかり過ぎるのじゃなくて?」


「そうなのですが、ロイヤルカリブーが言う事を聞かない以上、どうすることもできません」


 グレースおばあ様が困っているが、ラナフさんは完全に諦めモードだ。これだけ人の話を理解するのだから頼んでみるか。


「ねぇ、ロイヤルカリブー。僕たちをダンジョンへ運んだ後、グレースおばあ様たちを王都まで運んでくれないかい?」


 そう言うと、ロイヤルカリブーは首を横に振った。どうやら嫌みたいだな。


「グレースおばあ様が王都へ戻って、どれだけ早く準備を整えるかが今回の鍵なんだけど、何とかならないかな?」


 ロイヤルカリブーが首を傾ける。少し説明が大雑把すぎたかもしれない。


 ということで、ロイヤルカリブーに今回の役割を説明すると。ようやく頷いてくれた。


「おお、なんと素晴らしいロイヤルカリブーでしょうか!」


 ラナフさんは大絶賛なんだけど、このロイヤルカリブーラナフさんの言う事聞かないんだよ?


 ロイヤルカリブーの理解も得られたので、ダンジョンへ向かったのだった。



 ◆


 僕たちを降ろしたロイヤルカリブーは、もの凄いスピードで王都へ駆け抜けて行った。ラナフさんは歓喜してそうだが、グレースおばあ様は大丈夫だろうか。


「それでは、ダンジョンに入りましょう」


 アザリエの先導でダンジョンへ入る。ダンジョンの入り口にはヴェルデ家の人間が立っており、グレースおばあ様が話をしてくれていたので、すんなり通してくれた。


 入り口には扉があったそうなのだが、破壊されて現在はついていない。都合のいい事に現在はダンジョンに誰も入っていないとのことだ。スレーティー家、ウルスブラン家合同で魔物狩りをしていたのだが、かなりの死傷者が出たらしく、一旦退却したとの話だ。


「へえ、本当に中は見えるんだね」


「そうですね、私たちも初めて入った時には驚きました」


「この天井、削って持って帰ったら明かりになるのかな?」


「破壊した段階で光らなくなるそうですよ」


「そうなんだ」


 みんな考えることは一緒らしい。階段を下りて行くと広間に出た。事前に聞いてはいたが、このダンジョンは洞窟タイプではなく人工物のような石壁でできている。ちなみに砕いた壁はしばらくすると修復するという話だ。


 やはりローダウェイクの秘密の部屋に似ているな……あれはもしかしてダンジョンなのか? それなら色々と納得できることもある、おばあ様を見ると頷いた。おばあ様も同じことを考えているみたいだな。


「そういえば、階層によって出てくる魔物って決まってたりするの?」


「よくご存じですね。通常でしたら1階はゴブリン系、2階はラビット系となっておりますが、現在は溢れた魔物のせいで、何が出てくるのかは分からないそうです」


 アザリエが答えてくれた。


「ここからは私が先頭を歩きますのでぇ」


 シプレはハルバードを取り出すと、最初の部屋に入るので後に続く。順番は、シプレ、ヴィオラ、アスィミ、僕、メグ姉、おばあ様、リーリエ、アザリエの順番だ。


「これは……」

「凄い!」


 ダンジョンに初めて入った、おばあ様と僕は驚いた。


 入った部屋は15メートル四方ぐらいの大きさで、高さは5メートルぐらいはあるだろうか。


 一見神殿を思わせる部屋の中には、直径1メートルぐらいの石で作られた円形の柱が8本立っている。しかし、そのうちの1本は砕けており、破片が床に散乱していた。


「壁や天井はしばらく経つと元に戻ると言っていたけど、この柱は最近砕けたのかな?」


「エディ様、この柱は以前から砕けたままの柱なのです。どうして修復されないのかは謎だそうです。ちなみに他の柱を傷つけたところ、しばらくすると元に戻ったという話もあるようです」


 アザリエが説明してくれる。


「それでは先に進みますねぇ」


 シプレが通路に入るので後に続く。通路は幅3メートル、高さ3メートルぐらいの広さのようだ。


「このくらいの通路なら、あたしの得物(ハルバード)でも振り回せそうね」


 おばあ様もかなりヤル気らしい。アザリエたちの知る範囲では、このダンジョンは通路とたくさんの広間で構成されていて全て同じような石造りなんだそうだ。


 他の物語でありがちな、1層丸々草原エリアだとか、火山地帯だとか変わったフロアはないらしい。

 

 通路を進み始めると、リーリエが反応する。


「シプレ、左、小部屋に魔物がいます」


 リーリエの魔物探知はかなり高性能なようだ。


「了解ぃ、小部屋は関係ないので無視しますぅ?」


 おばあ様はアザリエに地図を見せてもらうと。


「小部屋でちょうどいいね。エドワードの能力がダンジョンでも通用するのか見てみましょう」


「分かりました」


 シプレが通路の左手にある入り口から、小部屋の中を確認する。


「エディ様ぁ、アレを見てください」


 シプレに促されて小部屋の中を確認すると、魔物が突進してくるが大きすぎて外には出られないようだ。


 部屋は直径9メートルぐらいの円形の部屋になっており、その中には体長4メートルぐらいのグレートボアがいて、足元には倒された人たちの遺品らしきものが残っているが、食べられたのか死体は残ってなかった。


「あれってグレートボアだよね?」


「そのようですね。本来ボア系は3階から出るはずなのですが、やはりまだおかしな状態は続いているみたいですね」


 アザリエが冷静に答えるのだが、聞きたかったのそういうことじゃなくて。

 

「あのグレートボアってどうやって部屋に入ったの? 通路通れないし絶対に無理だよね」


『……』


 さすがに答えが出ないのでみんな黙ったままだ。アザリエたちからも回答がないところをみると、ダンジョンにどうやって魔物が出現するのかは、まだ解き明かされてないのだろう。


 それにしても、中で倒された人たちは、入り口から攻撃すれば勝てたような気がするのだが。


 それでは、糸の能力がダンジョンでどのくらい使えるか実験しよう。


 まずは、今なおこちらに向かって突進し続けている、グレートボアの動きを制限してみようか。


 グレートボアが勢いをつけて突進するため一番うしろまで下がった瞬間に、部屋の中央に1本のアラクネーの糸を張ってみる。


『――!』

 

 突進してきたグレートボアは、たった1本のアラクネーの糸に足止めされたのだ。


 グレートボアの巨体をアラクネーの糸1本で止められることが分かったので、今度は横糸を使って壁に固定してみると、あっという間にグレートボアは身動きできなくなってしまう。

 

「おばあ様の言う通り、狭い空間と僕の糸の能力の相性は良いみたいですね」


「そうね、予想以上ね。あんな細い糸でグレートボアの突進を止められるとは思わなかったわ」


「クロエ様の仰る通りですね。ダンジョンの通路はどこも同じ広さなので、大きな魔物は大きな部屋の中にしかいません。離れたところから動きを止めたり、攻撃できるエディ様ならダンジョン制覇も夢ではないかと」


 おばあ様とアザリエが答えたが、さすがに108階も潜るつもりはないからね?


「それで、このグレートボアはどうしますかぁ?」


「うーん、シプレそのまま止めを刺しちゃっていいよ」


「分かりましたぁ」


 シプレはゆったりと答えると、ハルバードを構えたかと思うと、素速いスピードでグレートボアの目の当たりから脳を突き刺す。


 いつもの緩い感じのシプレはどこへ行ったのかと思うほどの変化であったが、母性の揺れだけはいつも通りで安心したのだった。



 ――――――――――

ダンジョン1、2階マップです。

挿絵(By みてみん)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ