第201話 ジョセフィーナの手帳(ヴァッセル公爵領にて)
夕食の後、体を洗い割り当てられた部屋へ戻りました。
ヴァッセル公爵領は暖かい気候のせいか、湯船に浸かる習慣どころか、基本的に水で洗い流すだけが普通のようです。
エドワード様の魔法に慣れきっている私たちが、そんな洗い方で満足できるはずもなく、エドワード様に洗っていただきましたが、何歳ぐらいまで一緒に入ってもセーフなんでしょうか?
私は専属侍女なので問題ないはずです。コレットさんはダメなような気がしますが……。
デーキンソン侯爵領では姉のシンディと仲直りを果たし、色々な情報を入手することができましたし、これでジェンカー伯爵家の姉妹情報網が完成しました。今まで情報の弱かった東部の情報も、これからは入って来ることでしょう。
メモ帳を取り出し、ランキングのまとめを始める事にします。
まずは王族から順番に行きますか。
△レティシア・ヴァーヘイレム(10歳)髪瞳(青)
第二王女で母は第一王妃セレスティア様(ヴァッセル公爵の姉)
セレスティア様はエドワード様と婚約させたいようだが、エドワード様は若干苦手なタイプ。性格に難あり。ランキング外。
◎クリスタ・ヴァーヘイレム(8歳)髪瞳
第三王女で母は第二王妃フローレンス様(リュミエール侯爵の姉)
控えめな性格、評判もよく1つ年上ながらもエドワード様を立てるタイプ。無類のタオル好き。家格などを考慮し総合的に判断すると現在ナンバー1。
〇ステラ・グレイベアード(7歳)髪瞳(青緑)
宰相家次女、母パメラ様(デーキンソン侯爵の妹)
活発な性格、評判はよく年も同じ、才女として有名。
策士な一面があり要注意だったのだがエドワード様に助けられて以降、エドワード様にポエムを書いた手紙を送るなど謎の行動を取っている。
◎ロゼ・ヴァッセル(7歳)髪(水色)瞳(青)
公爵家次女、母ジュリアは分家の出。
控えめな性格だがさりげなくエドワード様を他の令嬢から守ったりと気配りできる才女。総合順位ナンバー2。
エドワード様の事が好きで間違い無しだが他家へ嫁に出すかが問題。母のジュリアはくっつけたいように見える。
〇プラーミア・バーンシュタイン(8歳)髪(赤)瞳(赤)
公爵家長女、母はマリアンヌ(シュタイン伯爵の妹)
活発な性格、祖父のレイナードを尊敬し、妹のフラムを守るために強がっているところ有。
エドワード様には今のところそこまで興味はない模様。
◎フラム・バーンシュタイン(6歳)髪瞳(紫、赤)
公爵家次女、母はマリアンヌ(シュタイン伯爵の妹)
控えめな性格、左右違う瞳で嫌がらせを受けているせいか引きこもりがち。
祖父のために一人でヴァルハーレン家に乗り込むなど家族想いは◎
総合順位はナンバー3だが情報が少ないため要観察。
△アリシア・ハットフィールド(7歳)髪瞳(琥珀色)
公爵家三女、母はナンシー(ハルフォード侯爵の妹)
活発で好奇心旺盛、評判は◎
エドワード様がアルトゥーラでメイドとギルド職員から不誠実な対応を受けたため、良い印象ではない。
エミリアからの情報では人柄も良く、好印象とのこと。
〇アウルム・デーキンソン(9歳)髪瞳(黄緑)
侯爵家次女、母はカサンドラ(カラーヤ侯爵の妹)
活発な性格、毒食の一族と罵られながらも人前では明るく振舞っているとのこと。ロゼ嬢に恩義を感じているためかロゼ嬢第一主義。
異形からエドワード様に救われて以来、とても気になるらしく、密かにぬいぐるみにエディと名付けて呼んでいるのを姉が目撃したとのこと。
◎ノワール・テネーブル(10歳)髪(黒)瞳(紫)
伯爵家次女、母はフェデリカ(出自不明・王家の傍系という噂)
控えめな性格、家族以外からは気味悪く思われている。エリー嬢の通訳。
エリー嬢の心が読める? テネーブル伯爵家の事情を考慮すると読心系の能力を持っている事が考えられ、エドワード様のお傍に欲しい人材でもある。
通常は冷静沈着で不気味に見えるがエドワード様のスイーツが絡むとポンコツでおもしろい一面有。
伯爵家のため正室は難しいため側室として◎
◎エリー・リヒト(5歳)髪瞳(虹色)
男爵家長女、母はラシュル(一族分家の出)
何らかの事情で喋れなくなった模様、ノワール嬢が通訳として? 大抵は傍にいる。
愛らしい姿はエドワード様に匹敵する、5歳ながらも何らかの能力に目覚めている可能性有。
人見知りでノワール嬢以外には懐かないという話だったが、最近はエドワード様にくっついている。
娘を溺愛しているリヒト男爵自身が最大の壁。
男爵家のため正室は難しいため側室として◎
貴族では現状こんなところでしょうか、本日見た限りでは既に仲睦まじい恋人のようでしたが、エドワード様の距離感はどうなってるのでしょうか?
マルグリット殿の話によれば、小さなころから孤児院の女の子たちに纏わりつかれていたのが原因ではとのことでしたが、どう考えてもマルグリット殿自体もその原因の1つではないかと思いますね。
それにしても、どの令嬢も甲乙つけがたいですが、現状ロゼ様がリードしているように思えますね。その点ノワール様、エリー様は側室枠なので、正室にだれが来ても関係ない強みがあります。
ヴァルハーレン家は一族が少ないので、ぜひともエドワード様には頑張ってほしいところですが、ソフィア様もまだまだお若いのであと2、3人はいけるでしょう。
精通してしまえば、妾を使い分家を増やす手段もあるそうですが、ハリー様やソフィア様から了承を得られるかは微妙ですね。
娘にそんな手段を教える親もどうかと思いますが、ジェンカー伯爵家としては、ヴァルハーレン家の繁栄は生命線ですから仕方ないのでしょうね。
今後の事も考えて一度調べておきますか……それと、ニルヴァ王国についても情報を集めないとダメですね。
ランキングのまとめを終えた私は、伝記編もまとめ眠りにつくのでした。




