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第172話 冷蔵庫と冷凍庫の完成

 ローダウェイクに帰ってからの数日間は、とても忙しかった。


 タオルもついに高級タオルが販売開始され、グランタオルの販売も始まった。かなりの在庫を用意したので、当分在庫不足になることはないだろうと思いたい。


 そして量産型ウルス……もとい、クマのぬいぐるみも実験的に販売してみることになり、最初は少数の販売から開始し、需要があれば販売量を増やすつもりだ。残念ながら、ヴァイスぬいぐるみはエリー嬢を守るという出来事があり、色々と問題なので販売は出来ないのだ。


 さらに発覚したのが、ぬいぐるみ1体分の毛が揃わないと、作成はできないようなのだ、神獣の毛は魔力では作成できないという事なんだろう。

 


 現在はリュングとロヴンの工房で、エミリアさんと一緒に完成したという冷蔵庫と冷凍庫を見に来たのだが、ヴァイスも面白そうだということで、頭の上に乗って見に来ている。


「それにしても、よく見つけることが出来たね! まさか、トウガラシの粉でスライムを溶かせるなんて思わなかったよ!」


「ん、私天才! 褒めていい」


 そう言ってリュングは頭を出す。


 これは頭を撫でろという事なんだろうか? 取りあえず撫でてみよう。


 普段無表情なリュングが若干嬉しそうなので、正解で間違いなさそうだが、ロヴンが羨ましそうに見ているので、一緒に撫でておく。


 これも成功したみたいだ。もしかして! と思ってステータスを確認してみたが残念ながら『ハリーの加護』はついてなかった。それにしても2人とも僕より年上なんだけど、年下に撫でられるという行為はどうなんだろうか?



「ご褒美としてエドワード様に撫でてもらうですって!? ……年下の次期大公で英雄の侯爵に撫でてもらう……いいわね……何か新しい扉が開きそうよ……」


 エミリアさんが何かブツブツ呟いているが、大きな声なので全て聞こえている……絶対にエミリアさんの頭を撫でるのは、止めておこうと思う。



「それでは、これでモイライ商会の方で、販売できるのですね!」


 さっきまでブツブツ言っていたのだが、通常運転に戻ったようだ、エミリアさんは今日も絶好調だな。


「そうなりますね。売れそうですか?」


「間違いなく売れると思いますね。それで、本当に機密保持は大丈夫なんですね? 実際に試されたのですか?」


「「……」」


 2人は黙って横を向いた。どうやら試していないらしい。


「それはいけませんね。実際に試してみないとダメですよ」


 そう言って、エミリアさんは置いてあるトンカチを持つと。


「ちょっと、エミリアさんダメ!」


 ロヴンが叫ぶが時遅し。冷蔵庫の扉部分を思いっきり叩いたのだ。


 

 その瞬間、扉の亀裂部分から、トウガラシの粉が舞う!


「キャアー!」


 叫ぶロヴン。


「絶壁女最悪!」


 怒るリュング。そして何気に酷い! それにしても、見た目12歳のリュングより小さいエミリアさんは、ある意味恐れるものがないのかもしれない。


「目がっ! 目が熱いぃー! ゴホッ……ギャーッ!」


 目にトウガラシの粉が入って、暴れまわるエミリアさん。叫んだ事により、気管に入ったのか咳も止まらなくなった。


 ゴンッ! 壁にぶつかりのたうち回る。


 ちなみに僕は頭にヴァイスを装備していたせいか、なんの被害もなく大丈夫だった。やはりこの狼、空気清浄機能ついてるな……。


 取りあえず、魔法で気流をコントロールしてトウガラシの粉を外に出す……しまった! 外に誰もいないことを願おう。


 リュングとロヴンに、回復魔法をかけてみる。


「あっ、治った!」

「さすエド!」


 後はのたうち回るエミリアさんだけか……この人、仕事()()は出来るんだけど、それ以外は色々ポンコツで残念な人だな。


「目が熱いぃぃー!」


「どうしようか?」


 リュングとロヴンに聞いてみる。


「「しばらくこのままで!」」


 2人が綺麗にハモったので、しばらくこのまま様子を見よう。


 置いてあったトウガラシ自体を手に取って見ながら、トウガラシの粉末は攻撃判定なんだなと考えていると。


『素材、トウガラシを確認。解析しますか?』


 えっ!? トウガラシって素材なの? と思いながら画面を見てみると。

 

【毒素材】植物、トウガラシ


 解析しますか? ・はい ・いいえ


 トウガラシって毒素材なんだなと思いながら〈はい〉を押す。

 あれっ? 何もアナウンスがなかったので、登録完了したのかを確認してみる。


【能力】糸(Lv7)

【登録】麻、綿▼、毛▼、絹、パスタ

【金属】鉄、アルミ、鋼、ステンレス、ピアノ線、ナトリウム、マグネシウム、チタン、タングステン、炭化タングステン、銅、銀、金、白金、ミスリル

【特殊】元素、スライム▼、スパイダー▼、カタストロフィプシケ、蔓、グラウプニル(使用不可)

【付与】毒(New)、魔法▼

【素材】カタログ

【形状】糸、縄、ロープ、網、布▼

【裁縫】手縫い▼、ミシン縫い▼

【登録製品】カタログ

【作成可能色】CMYK

【解析中】無


 どうやら登録されて、毒が増えたようだ。


【毒】麻痺、出血毒、痙攣、不整脈、頻脈、持続勃起症、酸毒、カプサイシ(New)


 カプサイシンが増えた、なるほど……トウガラシの辛味成分だけが抽出されたのか……植物系の毒も抽出できるのは大発見だな。

 これもエミリアさんのおかげ……!


 まだのたうち回っていたので、回復魔法をかけてあげる。


「やっと治りました! エドワード様ありがとうございます……」


 そう言ったエミリアさんの顔は涙と鼻水で、凄いことになってる。とても淑女がしていい顔ではなく、さらに婚期が遠のいたように感じてしまった。


「エミリアさん、今後こういうことは、しっかり話をしてからやって下さいね」


「申し訳ございません。まさかここまで強力だとは思いませんでした……ただこれで2人の作った安全装置が、しっかり作動することを確認できましたね!」


 あまり懲りていないようだな。それにしても、分解してトウガラシの粉末が飛散した時の悲劇よりも、麻痺毒で少し痺れるだけの方がいいと感じるのは、僕だけなんだろうか……。

 


 取りあえずこれで、冷蔵庫と冷凍庫が完成したことになる。


 貴族向けの販売からスタートになるので、冷蔵庫と冷凍庫は別々で大容量だ。一体型については……需要がでてから考えることにしよう。

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