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第146話 量産型ウルス

 マグマスライムを設置し終わった僕は、カトリーヌさんとセリーヌさんの工房へ向かう。


「あら、エディ君、いらっしゃい。ちょうど良かったわ、布団サイズのタオル出来てるわよ」


「ありがとうございます」


 タオルケットを触ってみると。


「おお! 思った以上の出来というか、凄くいい肌触りですね」


「そうなのよ! エディ君の能力で取り込んだら、私たちにも頂戴ね。所で名前はどうするのかしら?」


「名前ですか?」


「いつまでも布団サイズのタオルってのも変じゃない?」


「なるほど、確かにそうですね……」



 そういえば、自分の中ではタオルケットと既に決まっていたので、全然考えてなかったな。


『ねえ、ウルス。タオルケットってどんな名前の由来?』


『タオルケットですか? タオルとブランケットを組み合わせた和製英語ですね』


『ブランケットって毛布の事だっけ?』


『ザッツライト! ケットとも言いますね。毛布と書いてケットと読むこともできます』


『そう言えば毛布自体見たことないな……』


『それはモチロンまだ作られてないからでしょう。ブランケットは14世紀頃、イギリス人のトマス・ブランケットと言う人が初めて織ったという説があるみたいよ』


『ブランケットって人の名前だったんだ。そうなってくるとタオルケットという言葉は使いにくいな……』


『そうかな? エドワードが付ければそれで通ると思うんだけど』


『例えばタオルケットってつけたとすると、次に毛布を作る時にブランケットと名付けると、この世界にはブラン男爵がいるから面倒じゃない?』


『そこまで気にすることもないと思うけどね』


『まあ、適当に名づけることにするよ。ウルスありがとう』



「よし、名前を決めました! 『グランタオル』にします」


「グランタオルね、分かったわ」


「それじゃあ、早速取り込んでみますね」


 グランタオル2種類を登録すると、カタログに登録された。


【タオル】タオル、バスタオル、グランタオルS、グランタオルW


 全て綿で出来ているため、登録に消費される魔力は600で大丈夫なんだが、カタログの表記のSとWはシングルとダブルって意味なんだろうか? まあ区別できれば何でもいいか。


 早速、登録仕立てのグランタオルを出して見る。グランタオルWで綿の長繊維種、色は水色と白でカトリーヌさんとセリーヌさんの2人分出す。


「はい、お二人の分のグランタオルです」


「ありがとう。やっぱりこれはいいわね、絶対に売れるわよ」


「この長繊維種のタオルやバスタオルも売り出すのよね?」


「そうなると思いますね。後はエミリアさんの戦略次第ですが、何か気になる事でもありましたか?」


「普通のバスタオル自体品薄なのに、高級バスタオルを投入するのはどうかなって思っただけよ」


「ですよね、エミリアさんだからタイミングをみて投入すると思いますが、綿をたくさん取り込んだお陰で消費魔力がかなり減ったので増産はできますよ」


「そうなのね、でもあまり無理しちゃダメだからね」


「心配してくれてありがとうございます。最近はみんなが魔力消費を減らそうと考えてくれているので大丈夫ですよ」


「ならいいのだけど、私たちが書いたリストも無理のない範囲でやるのよ」


「分かりました。そう言えば昨日新しい素材を取り込んだのでちょっと確認しますね」


 取り込んだアングリーゴートとアングリーラビットの解析がもう終わってるはずだ。


【能力】糸(Lv6)

【登録】麻、綿▼、毛(New)、絹、パスタ

【金属】鉄、アルミ、鋼、ステンレス、ピアノ線、ナトリウム、マグネシウム、チタン、タングステン、炭化タングステン、銅、銀、金、白金、ミスリル

【特殊】元素、スライム▼、スパイダー▼、カタストロフィプシケ、蔓、グラウプニル(使用不可)

【付与】毒▼、魔法▼

【素材】毛皮▼、ホーンラビットの角(47)、ダウン(43)、フェンリルの毛(52)

【形状】糸、縄、ロープ、網、布(New)

【登録製品】カタログ

【作成可能色】CMYK

【解析中】無


 やっぱり終わっていて、毛の種類と布の形状が増えているので確認する。


【毛】ウール、モヘ(New)、アングリーラビッ(New)


 アングリーゴートの毛はモヘヤっていうのか知らなかったよ。


【布】平織り、綾織り、繻子織り、刺し子織、パイル、ベロア、コーデュロイ、ファ(New)、ボ(New)


 ファーとボアって、これはウルスの仕業だろうな。


「実は昨日、アングリーゴートとアングリーラビットの毛皮が手に入りまして」


「「本当に!」」


「ええ、それで毛皮から毛だけを毟って登録したので、毛糸などを出せるようになりました」


「どんな感じの物が出せるようになったのかしら?」


「まだ試してないので分からないですけど、今出しますのでちょっと待ってくださいね」


 モヘヤを使ってウルスの質感をイメージしたボア生地を出してみる。


「元々ウルスの生地を聞いた時に教えてもらったのがアングリーゴートだったので、ウルスの生地が出せるようになった感じですね」


「へー、柔らかくてフワフワなのね。これでクマのぬいぐるみを作ったら売れるんじゃないかしら?」


「えっ、ウルスを量産するんですか?」

 

「まあ、ウルスちゃん喋らなければ可愛いんだし」


 確かにエリー嬢がウルス持ってた時は似合ってたからな……ウルスの体のスペアとしていけるか? いやウルスはあれでもミネルヴァ様特製のぬいぐるみ……いや、ゴーレムか?


「売れる売れないは置いといて、試しに作ってもらってみてもいいですか?」


「私に任せなさい。ぬいぐるみは得意よ! ウルスちゃんを作ればいいのね?」


 セリーヌさんが作ってくれるようだ。

 

「お願いします。ウルスを出しますか?」


「うるさいから要らないわ。一度見た洋服やぬいぐるみは記憶しているから大丈夫よ!」


 何その超記憶の洋服、ぬいぐるみ限定版的な能力!


「セリーヌさんに、そんな凄い能力があったんですねビックリしました」


「エディ君、姉さんの言葉をそのまま信じちゃダメよ。前から作ろうと観察してただけなんだから」


「そうだったんですか!」


「カティ、バラしちゃうなんて酷いわ」


「エディ君を騙そうとした姉さんの方が酷いです」


「今度からセリーヌさんが着ける下着や肌着の素材の品質を落としますね」


「エディ君、ごめんなさい! お詫びに何でもサービスしちゃうから、それだけは許してちょうだい!」


 何でもサービスと言われたので、思わず視線を下げてしまう。


「……フッ」


 しまった! 思わず笑ってしまった!


「またエディ君、私の胸を見て笑ったわね! どうせ私はカティと違って絶壁年増女ですよ! ちょっとカティ、その胸少し分けなさいよ!」


「姉さん、痛いっ!」


 セリーヌさんはそう言ってカトリーヌさんの胸を掴む……羨ましいなんて思ってないからね!


「カティが私の分の胸を持って行ったから、私の胸はこんなに悲惨なことに!」


「姉さん逆よ、逆! 姉さんがお母さんのお腹の中に置いてったんでしょうが! 私もこんなに要らないわよ!」


 いや、なくなるとそれはそれで寂しいものが……。


「まあ、とにかくクマのぬいぐるみはセリーヌさんに任せました。あとこの布を見て欲しいんですけど?」


「姉さん、いい加減に放して!」


「分かったわよ」


 セリーヌさんの手が埋もれて凄い光景だったとだけ言っておこう。


 気を取り直して、2人にカタストロフィプシケの布を見せる。


「これは何の布かしら? 変わった感じがする布ね。ワンダリングデススパイダーの糸とはまた違った感じね」


「あら、カティ分からないの?」

「姉さんは分かるの?」


「ええ、さっぱり、分からないわ!」


 凄く期待して損した!


「カタストロフィプシケの糸なんですよ」


「カタストロフィプシケってどんな魔物なの?」


 父様から教えてもらった情報を2人に教える。


「そんな恐ろしい魔物の幼虫がヴァーヘイレム王国にいたっていうのは怖い話ね……」


「成虫になってしまう前に倒せたのは大きいですね」


「それでエディ君、その布はどんな効果があるのかしら?」


「魔術を弾く……いや無効化すると言った表現の方がいいのかな」


「そのカタストロフィモスの能力を糸も持っているという事なのね?」


「そうなんです。それで父様には回復魔術なども無効化してしまうから、外套などが良いんじゃないかって言われているのですが、それ以外の使い方でいい方法を思いついたら教えて欲しいと思いまして」


「なるほどね、確かに直ぐ脱ぐことが出来る外套やマントの方が便利そうね」


 セリーヌさんが納得したように頷く。


「分かったわ、もっと何かに利用したいってことでしょうから考えてみるわ。サンプルとして糸と布を少し貰えるかな?」


 カトリーヌさんも考えてくれるので一安心だ。

 

「はい、糸と布です」


 2人にお願いして工房を後にした。

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