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第133話 サルトゥス防衛戦終結?

 町に帰ると母様たちが出迎えてくれた。


「エドワード、お疲れさま。上手く防衛できたようね」


「はい、父様の戦いは初めて見ましたが、とても驚きました」


「エドワードはハリーとはタイプが違うんだから、魔物の群れに突っ込むのはダメよ」


 確かに母様似なので、明らかにタイプが違うのかもしれない。


「でも、あのバリアみたいなのだけでも使えるようになりたいですね」


「さすがにまだエドワードには早いよ、僕が出来るようになったのが12、3歳ぐらいの時だったから10歳は行かないと無理じゃないかな?」


「えっ!? 使えるようになるんですか?」


「もちろん僕の血も混ざってるんだから、頑張れば使えるようになるはずだよ」


 アレは頑張ってどうにかなるようには見えなかったんですけど。


「オクルスプスでしたか? アレの腕が再生したときには驚きましたけど、よく倒せましたね」


「僕も戦ったのは初めてだったけど、父様が昔戦ったことあるみたいでね。倒し方を知っていたのさ」


「おじい様が? さすがですね」


「そうだね、父様がバラバラに切り刻んで、母様が粉々に叩き潰したら再生が止まったって言ってたよ」


 おばあ様まで!


「その話は父から聞いたことがありますね。凄い英雄譚でしたが、余りにも血生臭くて、クロエ様の物語からは外されたのだと」


「それは知らなかったな。その場にいたジェンカー伯爵だから知ってる話なんだろうね」


 ジョセフィーナの父親のジェンカー伯爵には一度あって話を聞いてみたいな。おばあ様の物語でいくつか気になる所があるんだよね。


「エドワード様、ヴァイス様が居られぬようですが?」


 アスィミに言われて思い出した。ヴァイスまだ戻って来てないじゃん!


「本当だ! ウルスを乗せて戦闘に行ったんだけど、まだ戻ってきてないや」


「ヴァイス殿が?」

 

 ヴァイスの話をしだすと、ちょうどウルスの声が聞こえた。


「エドワード、置いて行くなんて酷いよ!」


 僕たちの前にシュタッと現れたウルフライダー。


「キャー! 真っ赤な化け物!」


 叫ぶメリッサさん。そう、現れたヴァイスとウルスは返り血で真っ赤になっていた……。


「失礼な、誰が化け物やねん! 生リッコ口に放り込んだろか!?」


「ヴァイスとウルス、血で真っ赤なんだけど大丈夫なんだよね?」


「真っ赤?」


「コレット」

「畏まりました」


 母様がコレットさんに合図するとコレットさんは2人? に鏡を見せると。


「ナッ、ナンジャコリャァア!」


 ウルスは叫ぶが、赤いクマのぬいぐるみになっただけなので、そこまで違和感がないような気もする。


『最初に返り血を浴びた時に注意したのだが、赤くなると3倍速く動けるとか、訳の分からない事を言ってたのだ』


「そうだったんだね、お疲れ様。それで良いお肉は手に入った?」


『美味しそうなやつを獲ってきたぞ、披露する前にこの血をミラブールで洗い流してくれ。さすがに気持ち悪い』


「分かったよ、ミラブール」


 ヴァイスとウルスそれぞれをミラブールの水球で洗うと、水球は瞬く間に真っ赤な水球となる。


「1回じゃ落ち切らないな。もう一度ミラブール」


 2回洗うとヴァイスは驚きの白さに! ウルスは普通の茶色いクマに……赤いままの方が良かったか? 3倍速く動けるらしいし。


「ふぅ、やっと綺麗になった」


「エドワード、ヴァイス殿は魔物を狩っていたのかい?」



 父様に質問される。


「ソウデスネ」


「うん? 何か隠してるようだね。ヴァイス殿はどうして単独で魔物の討伐を?」


 ヤバいな……なんて誤魔化そうか……。


「ヴァイス様はエドワードの父さんの攻撃を見て、お肉が全滅することを恐れて私と確保しに行ったのです!」


「「「わっはっは!」」」


 このバカウルス! 余計なことを言うから笑いが起きてしまったじゃないか。


「確かヴァイス殿はオークキングの時も同じようなことを言ってましたな。ハリー様の攻撃を見られてお肉の心配するのはヴァイス殿だけです」


 アーダム隊長が止めを刺してきた。

 

「ヴァイス殿悪いね。最近は軽く切ってもああなっちゃうんだよね」


「緑色の1つ目は不味そうだから、今のうちにって感じでしたよ」


 ウルスが父様に返事する。

 

「それで真っ赤になって何を狩ってきたのかな?」


「それでしたら、エドワードの空間収納庫に入れておいたのでエドワード出してもらえる?」


「僕の空間収納庫に? そんなことまで出来たんだ」


 空間収納庫に入れられている魔物を見てみると――! なんだこれ、出したくないやつじゃん。


『どうしたエディ? 早く出すがよい、極上の肉を見つけたのだぞ!』


 覚悟を決めて空間収納庫から取り出すと。


『なんだこれは!』


 みんなビックリする。そらビックリもするよ、取り出した魔物はギアラタウルス3頭とキングタウルスなんだもん!

 

 こちらの騒ぎを聞きつけたカラーヤ侯爵たちがやってきた途端、魔物をみて驚く。


「こっ、これはもしかしてキングタウルス!?」


 カラーヤ侯爵が父様に質問している。よし父様に丸投げだ!


「どうやらそのようですね」

「なぜここに?」

「なんと説明してよいものか……」


 さすがの父様も困ってるぞ。


「ここにいるエドワードの従魔とゴーレムが狩ってきたようです」


「従魔とゴーレムが!」



 面倒になったのか、そのまま言っちゃった!


「えぇ、従魔と言ってもエドワードとヴァイス殿は親友みたいなものでして、いつもは戦いには参加しないのですが、今回は特別に手伝ってくれたようです」


「なるほど、そうだったのですな! しかしキングタウルスを倒せるとは凄いじゃないですか」



 さすがにお肉の件は誤魔化したようだ、大変勉強になります。


「実は遠征の出発に際して、ゴーレムのウルスの方から戦えるので連れて行って欲しいと打診がありまして、それで今回初めて連れて来たのです」


「ふむ、ゴーレムの話はマルシュから聞いております。遺跡で発見した謎のゴーレムだとか。ギアラタウルスを葬り去ったエドワード殿の攻撃も素晴らしかったですが、従魔も素晴らしいのですな」


 カラーヤ侯爵は僕が攻撃するところをしっかり見ていたようだ。


「父上、キングタウルスが討伐されたとなると、魔の森の脅威はどうなるのでしょうか?」


 マルシュ君からナイスな質問が出てきた。


「分からぬ、こう簡単に討伐されては、他にも脅威が潜んでいると疑いたくなってしまうな」


「明日も予定通り夜は警戒を続けることにして。それと同時に日中の間、範囲を広げての捜索を行ってみるのはどうでしょうか?」


「なるほど、大公様の言う通りしばらく警戒は続けながら、魔の森に異常がないか調べる方向で行こう」


 ◆


 方針が決まり、戦闘に加わった僕たちは休むことになったので割り当てられた部屋に戻る。


 そう言えば、防衛線開始ギリギリまで寝ていた僕はこのまま眠ることが出来るのだろうか?


「そう言えばヴァイスたちはどうしてあんなに血まみれだったの? キングタウルス、ギアラタウルスどっちも返り血を浴びるような傷じゃなかったと思うんだけど」


『ウルスのやつが悪いのだ。血抜きをした方が美味しくなると言うから、ウルスにまかせたのが失敗だった。穴を開けるところを間違えた結果、大量に降って来た血を浴びることになってしまったのだ』


「そうだったんだ。でも突き刺すだけでキングタウルスまで倒したんだよね?」


『うむ、エディと違ってウルスには遠慮と言うものがないからな。死角から的確に目玉から糸を突き刺し脳を破壊していたな』


「それだけで倒していたの?」


『敵の一番脆い部分をついて倒すのは基本だぞ。エディは色々出来てしまうから戦闘でも周囲の被害など色々考えているだろ? ウルスが使える最大の攻撃は一番硬くて重い糸で突き刺すだけだからな。それしか出来ないのだから、やることはシンプルに常に最大出力で攻撃する。エディの父親もある意味シンプルな攻撃だろ? エディの父親に肉を綺麗に残して倒せと言っても無理だから、ある意味ウルスと同じだ』


「考えすぎか……心当たりあり過ぎるよ」


『それが悪いわけではないから勘違いするなよ。出来るだけ最小限の周囲への被害や素材を傷めない配慮を出来るのがエディの強みだ。今は能力が常に進化しているから安定していないだけで、歳を重ね能力も落ち着けば自然とベストな攻撃方法も決まるはずだ』


「そうだね、これからも色々考えるからアドバイスお願いね!」


『もちろんだ! (ワレ)は役に立つからな!』



 そのままヴァイスと会話を楽しみながらモフモフしていると、いつの間にか寝てしまったのだった。

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