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第122話 夕食

 夕食を作る準備をするのだが、ちょっとギャラリーが多いようだ。というか全員いるんだけど……。


「フォーントゥナーの時もそうでしたが、本当にエドワード様が料理されるんですね」

「そうなのよ、エドワードの料理はお義母様もお気に入りでね」

「まぁ、クロエ様が! 先日のパーティーでもお見掛けいたしましたが、相変わらずお綺麗で憧れますわ」


 母様がギャラリーの相手をしているようだ。


 まあ外野は気にしないで料理に集中しよう。


 まずはスープを作る。今回はジャガイモのポタージュを作ることにした。


 ジャガイモを2センチぐらいの幅にカットして、水にさらしておく。その間に玉ねぎをみじん切りにしていく。

 水にさらしたジャガイモを加熱し、柔らかくなったところでマッシャーを使って潰していく。


「エディ、潰すの手伝うわ」

「メグ姉、ありがとう。そしたら滑らかになるまで潰してもらえるかな」

「分かったわ」


 メグ姉が潰している間に次の料理の準備にかかろう。オークキング、オークジェネラル、オークのスペアリブを取り出す。

 スペアリブに味がなじむようにフォークで刺して、塩コショウ、すりおろしニンニクをすり込んでいく。


 フライパンに油を引き熱して、肉の両面を焼き色がつくまで焼いていく。醤油、何かの柑橘類っぽいジャム、水を加え、落し蓋をして加熱し、今度は裏返して再度落し蓋をして煮詰めていく。


「エディ、潰したわよ」

「ありがとう」


 鍋にバターを入れ熱して、玉ねぎを炒める。ジャガイモと水、コンソメを入れて弱火でゆっくりかき混ぜならが煮込んでいく。


「メグ姉、これかき混ぜながら煮込むのお願いしてもいい?」

「いいわよ。任せてね」


 次に、あらかじめ能力で出しておいたパスタを茹でる。

 茹でてる間に、リッコを出し、角切りとみじん切りにして、玉ねぎも角切りにする。リッコを出した瞬間悲鳴も聞こえたが聞かなかったことにした。

 フライパンにオリーブオイルを引いて、みじん切りにしたニンニクを入れて火を通し、角切りにした玉ねぎを加え炒めていく。

 そこにカットしたトマトを汁ごと加え、塩コショウで味を調える。

 

 茹であがったパスタの湯を切って、ソースを絡めて完成だ。


「メグ姉、ありがとう。もうそのくらいで大丈夫だよ」

「はいどうぞ」


 ジャガイモが十分滑らかになったので、牛乳を加え煮立たせ、塩コショウで味を整えてポタージュも完成する。

 最後にあらかじめカットしておいた各オーク肉を焼きステーキにして、夕食全てが完成した。


 侍女たちが食堂に運ぶので僕たちも席につくのだが、ここで1つ問題が浮上した。お客さんが来てしまったため、侍女たちが一緒の席につくのはまずいということにコレットさんが気がつく。


 せっかく作ったのだから温かいうちに食べてもらいたいと思っていたら、父様が今度ヴァルハーレン領でオープンするレストランに出す試作メニューも入っていて、試食会も兼ねているとかなんとか言って同席する許可をもらっていた。


 父様のその機転見習いたいです。まあ、大公がオッケーと言ったら普通の貴族は断れないと思うけど。


「それじゃあエドワード、料理の説明をお願いね」


「分かりました、スープはジャガイモから作ったポタージュスープ。お肉料理は2種類用意して、1つはオーク肉の味の違いが分かるよう味付けはシンプルな塩コショウにしてあり、もう1つはタレをつけてあります。どちらも左からオーク、オークジェネラル、オークキングとなっていますので味の違いを楽しんでください。もう1つはヴァルハーレン領でこれから売り出していくパスタという料理になります。今回はお肉に合うようにリッコを使ったあっさりとしたソースにしてあります」


「エドワード、ありがとう。それではみんな温かいうちに食べてください」

 


 父様が食事の開始を告げるとみんな食べ始める。


『――!』


 みんなスープを一口飲んでびっくりしている。ジャガイモのポタージュ美味しいからね。


「ジャガイモのスープがどうしてこんなにも美味しいのでしょうか? 作る所を見ていましたが、特別な食材を入れているようには見えませんでしたのに」


 ノワール嬢は食通なのか? しっかり見ていたようだが、コンソメを入れているのには気がつかなかったようだ。


「エディ、とても美味しいわ」

「メグ姉が丁寧に潰してくれたおかげだよ」


 そしてみんなオークのステーキを食べ始めると。


「これは驚いた。食べ比べるとこんなにも味が違うんだね! オークキングが圧倒的に美味しいのは間違いないが、オークジェネラルとオークにもそれぞれの良さがはっきり分かって食べ比べるのはとてもおもしろいね」


「ええ、私はオークキングを食べるのは初めてだけどこんなにも美味しかったのですね」


「奥様、以前にエドワード様が作られたベーコンを食べたじゃないですか」

「そうだったわね。あれも美味しかったけど柔らかいステーキはまた格別よ」

「美味しすぎます」


 母様とコレットさんが味の感想を話している一方、メリッサさんは一心不乱に食べ続けている。

 

(わたくし)もオークキング、オークジェネラル共に食べるのは初めてなんですが、こんなにも美味しいのですね」


 男爵夫人もお気に召したようで安心した。エリー嬢も幸せそうに食べている。

 そして次は、パスタを食べ始めるのだが。


「そうだわ、ラシュル。このパスタと言う料理はこのようにフォークで巻いて食べるのよ」


「そうなんですね。初めて食べるので食べ方が分からなかったわ。あなたたちも分かったかしら?」


 母様が男爵夫人にパスタの食べ方を説明すると、エリー嬢とノワール嬢も理解したようで、フォークに巻き付けて食べ始めた。


「このソースはエドワードの言うように、程よい酸味が口の中をさっぱりとさせて美味しいね。確かにお肉にピッタリだね」


「そうね、敬遠されがちなリッコにこのような使い方があったとは驚きですね」



 父様、母様ともに気に入ったようだ。



「リッコがこんなにも美味しいなんて……」


 リッコ嫌いのメリッサさんもお気に召したようだ。


『エディよ(ワレ)はこの甘辛いソースが気に入ったぞ!』


 ヴァイスはもうスペアリブを食べ始めていた。おかしいな、ヴァイスの分だけ山盛りにしたはずなんだけど。


「エドワード様! このお肉のソース、とても美味しいです!」

「気に入ってもらえたなら良かったです」


 ノワール嬢はスペアリブのソースが気に入ったようだ。一方、エリー嬢の口の周りが凄いことになっているが見なかったことにしておいた。


「それにしても、どの料理もビックリするぐらい美味しいですわ、パーティーの料理も素晴らしかったですけど、今日の料理も負けていないですね。ソフィア様はいつもこのような美味しい料理を召し上がっていますの?」


「そうね、エドワードがレシピを考えるようになってからは、食事が凄く楽しみになりましたね」


 楽しく食事プラス歓談タイムが続く。

 

「エドワード様はずっと気になっていたのですが(わたくし)の容姿でご不快な気分になられたりしないでしょうか?」


 ノワール嬢が突然質問してきたのだが、質問の意図がわからないな。綺麗な黒髪にアメシスト色の瞳が幻想的で、とても10歳とは思えない色気を纏っている。しいて言えば、少し傷んだ髪が勿体ないぐらいだろうか。


「不快な気分ですか? 特にそういう事はありませんが、どうしてですか?」

「私のような真っ黒な髪はこの国にはいないので、よく不気味だとか不吉だとか言われることが多いのです……」


「そんな事で言われるのですか? とてもノワール嬢に似合って、綺麗な髪だと思いますよ。それに、僕の家臣にアシハラ国出身の黒髪の親子もいますので、黒髪は見慣れてるんですよね」

「綺麗な髪ですか! 良かったです……」


 コウサキ親子の話は見事にスルーされてしまった。


「ねぇエドワード、今日は()()()デザートを作ったりはしないのかしら?」


 母様! プリンはもう食べちゃったでしょ? まさか新作欲しさに王城でプリンを王妃様たちに配ったのか! いや考えすぎだな。

 仕方がない何か作ろう。みんな結構食べてたけどお腹いっぱいじゃないのか?


「皆さん今からデザートを作ろうと思いますがまだ()()()()()()()()

『――!』


 なんだこのプレッシャーは! もちろんデザートは別腹よ。という強いプレッシャーを感じる……ような気がするので諦めて作りに行く。


 父様からこっそりレディに()()()()()()()()()()は言ってはならない言葉だと教えてもらったので、厳重に封印することにした。


 さてデザートだがパンケーキを作ろうと思う。材料は卵、砂糖、薄力粉、ベーキングパウダー、牛乳だ……。


 ん? ベーキングパウダー……そんなものはないな。


『ヘイ、ウルス! ベーキングパウダーの作り方教えて?』

『スーパーで買ってきます!』

『いや、そうじゃなくてベーキングパウダーの作り方だよ?』

『……』

『もしかして分からないとか?』

『……正解』


 なんで小声!


『弱ったな、デザートを作るってもう言っちゃったよ……』

『ご愁傷様です』

『デザートで消されちゃうの!?』


 ヤバいなベーキングパウダーがないとフワフワにならないじゃん。どうする? 考えるんだエドワード!

 そうだ! スフレ、つまりメレンゲを使おう。


 卵を卵黄と卵白に分けて生地を作る。ボウルに卵黄・牛乳・ハチミツを入れ、薄力粉をふるいながら泡立て器でかき混ぜる。


 次は卵白にレモン果汁を加えて泡立て器で泡立て、砂糖を混ぜてさらに泡立たせていく。

 ツノが立つぐらいのメレンゲが完成したら、生地を加えて混ぜ合わせ、あとはフライパンで焼いて完成となる。


 生クリームとハチミツをかけて持って行く。


「デザートのスフレパンケーキです」

「凄く美味しそうないい匂いね」

「メグ姉、本当? フワフワだから食べてみてね」

『――!』

「エドワード! 大変よ! プリンが陥落したわ!」


 母様、言ってる意味が分かりません。

 

「エドワード様! ふわしゅわです! 幸せの甘さです!」


 ノワール嬢まで語彙力落ちてるよ! エリー嬢の虹色の瞳が輝いているように見えるのは気のせいだろうか……。


『エディ、これは素晴らしいデザートだ! 毎日食べたいぞ!』

『いや、作るの大変だから毎日は嫌だよ』

『そうか、それは残念だ』

『ローダウェイクへ戻ったら料理人たちに作ってもらおう。そしたらいっぱい食べられるよ』

『さっきの肉のタレもちゃんと伝えるのだぞ!』

『分かってるよ』


 なぜかオークキングより、スフレパンケーキの方が好評だった。

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