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第105話 アキラさんの力

 メグ姉が次々と敵を効率よく倒していく中で、メグ姉とのコラボ技も成功させる。


「エディが水をかけると、さらに簡単に凍らせることが出来るわ」


「水があると明らかに早く凍るみたいだね」



「ふむ、マルグリットの攻撃方法は大体分かったな、次はアキラに交代だ」


「ようやく(それがし)の出番ですな! お任せ下され」


 そう言うとアキラさんは、鞘から刀を抜く。抜刀術ではないようだ。


「それがアキラの得物、刀と言うやつか?」

「いかにも。(それがし)の愛刀、妖刀ルドラでござる」


 アキラさんの刀は、赤黒い刀身にダマスカス鋼のような木目模様の入った刀で、妖刀と言っているだけあって、ちょっと不気味な感じがする。


「迫力のある刀ですね」

「先祖代々、コウサキ家に伝わる刀でござるな」


 アキラさんの攻撃は凄まじく、出てくる魔物全てを真っ二つにしていく。


『……』


 予想以上の強さに、みんな言葉が出なかった。


「アキラは凄く強かったんだね。びっくりしたよ」


「これでも、アシハラ国では10本の指に入る実力を持っていましたので」


「それだけの実力を持っていれば、何かの仕事が出来たんじゃないの?」


「そ、それが(それがし)、刀以外はからっきしでして。妻が倒れてしまったことで気が動転して、騙されていることに気づかず、いつの間にか全てを失ってしまったのです」


 出会ったときはやせ細り髭も伸び放題だったが、今ではすっかり年相応の30代に見える。


 魔物を狩りながら進んで行くと、小川のある開けた所に出た。開けているせいか魔物は見当たらない。



「ちょうどいいね。ここらで一旦休憩としようか? 私たちが警戒しているからエドワードは何か作りなさい」


「えっ! 何か作るって?」


「もちろん、料理に決まってるじゃない。美味しいやつを頼んだわよ」



 まさか魔の森で料理をすることになるとは思わなかったよ。


 何作ろうか……ハンバーグでも作るか。決しておばあ様によって粉々にされた魔物を見て、思いついたわけではないと言いたい。


 牛肉としてラーゼンクーの肉、豚肉の代わりにオーク肉を使う。比率は7対3で作ると美味いと聞いたことがあるので、今回はそれで作ってみる。


 まずは肉をミンチにしていくと、おばあ様から声をかけられた。


「折角の肉を細かく切るのかい?」

「そうですよ。美味しいと思うので待っていてくださいね」


 散々魔物を粉々にしていた、おばあ様に言われるとは思わなかったよ。


 ミンチが出来上がったら、そこにパン粉とみじん切りにした、あめ色玉ねぎを混ぜて塩コショウしてこねていく。このあめ色玉ねぎは料理人に作ってもらったのを空間収納庫に入れてあるのだ。


 混ぜ終わったら、手早く形を整えて焼いていく。


 問題はソースだな。ケチャップは無いから。フライパンに残った肉汁を使ったグレイビーソースにしよう。


 肉汁にバター、小麦粉を入れて弱火で練り、コンソメスープ、赤ワイン、醤油、砂糖を少し入れて塩コショウで味付けして完成だ。


「でき――!」


 出来たのでみんなを呼ぼうと思ったら既に近くにいた!



『エディよ! もう完成したのではないか? 凄くいい匂いが漂って、涎が止まらんぞ』


 ヴァイスはいつものことだけど、アスィミまで前のめりだな!



「それじゃあ、アスィミ。みんなに配ってくれる? このカップはコンソメスープね」


「畏まりました。料理は無理ですが、配るのは得意です。お任せください!」


 配るのは誰でも出来るよね!

 アスィミがみんなに配り終わると、おばあ様が話始める。


「よし! エドワードが作った料理だ、温かいうちに食べてしまいましょう。魔物の警戒は私がしておくから、安心してお食べ」


 おばあ様がそう言うと、みんな食べ始める。


『エディよ! 凄く肉汁が溢れて美味いぞ!』

「ヴァイス様の言う通り美味しいです!」


「ヴァイスの言う通りってアスィミ、絶対に聞こえてるよね⁉」


「……何のことでしょうか? 何となくそんな気がしただけでございます」


「今の間は何⁉」



「エドワード! 凄く美味しいじゃない! この料理はなんて言うだい? 帰ったらロブジョンにも作らせないとね」


 なんて料理⁉ ……ハンバーグって語源なんだっけ? ドイツのハンブルクが語源だったような……だとしたら使うのは不味いか?


「敢えて言うなら、ひき肉のステーキでしょうか?」

「なんだい、もっといい名前はないのかい?」

「その辺はロブジョンに任せましょう」

「そうだね、ロブジョンならいい名前を考えてくれるだろう」


 ロブジョンさん、ごめんなさい。 良い案が思いつかなかったです。


「それにしても、エドワード殿の作る料理はどれも絶品でござるな。前に作っていただいた鍋も美味かったでござるが、これもまた絶品でござる」


「鍋って言うのは初めて聞いたね? どういうことだい?」


「かなり前に作ったので忘れてました」


「エドワードの考えた色々な料理を食べられると思うとまだまだ死ねないね!」



 おばあ様なら絶対に大丈夫だと思う。


 休憩もしてお腹も満たされたので、魔物狩りを再開する。引き続きアキラさんが魔物を狩っていると。


「さっきまでは種類がバラバラだったのに、変わってきたね」


 おばあ様が呟く。


 確かにさっきまで魔物の種類がバラバラだったのだが、鹿っぽい魔物の割合が多くなってきた。今、アキラさんが切っているのはフォレストディアーと呼ばれる魔物で、体長2メートルほどあり、大きさの割には素早いのが特徴だ。群れで行動しているため、一斉に襲われるとなかなか大変なはずなのだが、アキラさんは難なく首を落としている。


「フォレストディアーばかりでござるな。この辺りが縄張りなんでしょうか? ……エドワード殿、あそこの魔物を!」


 そう言ってアキラさんが指を刺した方を見ると、少し小高い丘に佇む一頭の魔物がいた。やはり鹿系の魔物で体長は3メートルほど、角が上だけではなく前にも攻撃的に伸びている。


「なんだいアレは? 私も初めて見る魔物だね」


 おばあ様でも知らないらしい。

 魔物はこちらを見つけると雄叫びをあげる。


 ギャー!


「みんな! 隠れて!」


 メグ姉が氷の壁を造ると、みんなはその後ろに退避する。それと同時に暴風が吹き荒れ木々を切り倒す。


「ありゃ恐らく、ストームディアーだね。気をつけないと切り刻まれるよ!」


 切り刻まれるって物騒な魔物だな、どうやって倒そうかなと考え始めたその時。


「まだ、(それがし)の順番でござるな」


 そう言って氷の壁の外に出て一気に駆ける。

 援護しようと糸を飛ばす準備をしたその時。


「エドワード、アキラの邪魔をするんじゃないよ」

「邪魔ですか?」


「アキラが自分で倒せると判断して出て行ったんだ、ピンチになるまでは見守っておやり」

「分かりました」

 

 アキラさんはストームディアーが放つ刃のような暴風を躱したり、刀で弾いたりして近づいていき、残り5メートルの距離となる。


 ストームディアーはもう一度暴風を放った後、止まらないアキラさんの攻撃を、角で受けようとするかのように身構えたその時。


「奥義、披荊斬棘(ひけいざんきょく)!」


 ストームディアーの手前、5メートルから技を放つ! アキラさんの放った技は暴風の攻撃を切り裂いたかのように見えたのだが、なぜか届いていないはずのストームディアーの首が落ちた。


『――!』

「ふぅ、終わったでござる」

「アキラさん! 凄いです! 今の技はなんですか⁉」


「エドワード殿、また『さん』がついているでござる。今の技はコウサキ家に伝わる披荊斬棘(ひけいざんきょく)という技でありとあらゆるものを切り裂く技でござる」


「ふむ、刀が届いてなくても、切ることが出来るのか凄い技ね」


「射程距離としては先程放った5メートルぐらいですな。放つためにはある程度の助走も必要でござる」


「なるほどな、アキラにとっては技を見せるための、丁度手頃な相手だったというわけだったのかしら」


「その通りでござるな」


 アキラさんが予想以上の強さを持っていたことに、ビックリしつつも狩を続けたあと、城へ帰ったのだが、レベルは1つだけ上がってレベル27になっていた。


【名前】エドワード・ヴァルハーレン

【種族】人間【性別】男【年齢】7歳

【LV】2(Up)

【HP】890

【MP】1435/1600

【ATK】780

【DEF】780

【INT】1160

【AGL】890

【能力】糸(Lv6)▼、魔(雷、氷、聖、空)

【加護】モイライの加護▼、ミネルヴァの加護、フェンリルの加護

【従魔】ヴァイス、ウルス



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