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第102話 子供たちの結束?

 フォーントゥナーの鉄板焼きに大人が群がるので、子供たちはステーキにありつけないでいたのだ。


「さすがエドワード様のおすすめだけあって凄い列だわ」


 デーキンソン侯爵家次女のアウルム嬢(9歳)が呟く。


「早く食べてみたいのですが、確かに凄い列ですね」


 ヴァッセル公爵家次女のロゼ嬢(7歳)も早く食べたいみたいだ。

 僕の袖が引っ張られる。リヒト男爵家、長女のエリー嬢(5歳)だ。早く食べたいのか悲しそうな目をしている。


「何とかなりませんよね?」


 エリー嬢の気持ちを代弁していた、テネーブル伯爵家、次女のノワール嬢(10歳)まで食べたいとは。

 いや、僕もまだ食べたことないから食べたいんだけどね!


「えーと、僕で良ければ作りましょうか?」

「「「作れるんですか!?」」」


 3人がすごい勢いで喰いついてくる。エリー嬢はその虹色のキラキラした目を向けないで。


「一応、料理長と一緒に考えたので、大丈夫だと思いますけどどうします?」

「「「ぜひ、お願いします!」」」

「あっ、でも一応、父様に確認とりますね? 勝手なことするわけにはいかないので」


 5人で父様の元へ行く。


「エドワード、4人もレディを引き連れてどうしたんだい?」

「フォーントゥナーの行列が凄くて、子供たちが食べられないのです」

「確かに凄いね、僕もちょっとビックリしているよ」

「予備の鉄板があるので、僕が焼いてあげてもいいですかね?」

「エドワードがかい?」


 父様が4人を見回すと期待の籠った目で見つめられている。今、エリー嬢と目が合った。おそらく抵抗はできないだろう。


「まさかここまで盛り上がるとは思わなかったから、しょうがないのかな?」

「では準備しますね」


 メイドたちに頼んで準備してもらう。


「それでは焼きますね」


 ロブジョンさんと同じようにフォーントゥナーを焼いて行くが、4人分を一気に焼いていく。


「はい、どうぞ」

「「「ありがとうございます!」」」


 喋り方は大人びているが、こういうところはまだまだ子供だな……僕もだけど。


「「「美味しい!」」」


 4人共、とても良い笑顔で食べている。料理人冥利に尽きるな、料理人ではないけど。

 自分の分も焼こうと準備していると。


「エドワード様!」


 話しかけて来たのは先ほどフォーントゥナーにチャレンジした、カラーヤ侯爵家次男のマルシュ・カラーヤ(12歳)であった。


「マルシュ君だね。さっきの一撃は凄かったよ。純粋な剣術では全然勝てそうもないよ」

「ありがとうございます。エドワード様こそ凄い能力を持たれているのですね」

「それでどうしたのかな?」

「エドワード様に頼むのは、間違いなのは分かっているのですが俺たちにも作ってもらえないでしょうか?」

『お願いいたします!』


 マルシュ君が頼むと他の子供たちも便乗してくる。みんな食べたかったのね。


「それじゃあ、焼くから並んでもらえるかな?」

「ありがとうございます! 僭越ながらお手伝いさせていただきます。よし子供たちはエドワード様の前に並べ! エドワード様が作られているのだ、家格は無視して小さい子を先に並ばせてあげろ!」


 マルシュ君はなかなか男気のある人物のようだ。


「同じ侯爵家として私も手伝いますわ、レイは並んでなさい」


 名乗りを上げたのはリュミエール侯爵家、次女のシーン・リュミエール嬢(12歳)だ。母様の侍女をしているコレットさんの妹になる。確かにコレットさんとよく似た雰囲気を持っているな。レイと呼ばれたのは弟のレイ・リュミエール(8歳)だ。

 

 僕が焼いて二人が配る。なかなかの連携プレーではないだろうか?

 しばらく焼いているとみんなの分が焼き上がり。マルシュ君、シーン嬢にも行きわたるので僕も食べ始める。


 勝手に頭の中でマグロだと決めつけていましたごめんなさい。凄く美味いです。

 焼いたせいか、凄くジューシーだが脂にしつこさが全くない。味にも深みがあり、マグロっぽいのだが、鯛のような旨味やカニのような旨味も感じる。身に醤油ベースのソースが絶妙に絡んで味を引き立てている。


「なるほど、初めて食べたけど凄く美味しいんだね」

(わたくし)が以前に食べたフォーントゥナーとは比べ物にはならないくらい美味しいですわ」

「ロゼが言うのなら間違いなく美味しいフォーントゥナーなんだね」

「エドワード様、凄く美味しいです! ありがとうございました!」

「美味しかったのなら良かったよ」


 子供たちとフォーントゥナーのことで盛り上がっていると。


『エディ! ずるいぞ。(ワレ)にも食べさせろ!』


 ヴァイスが飛びかかってきた。


「ウルフが侵入した! エドワード様から離れろ!」


 マルシュ君が反応する。


「マルシュ君、大丈夫だよこれは僕の従魔だから」

『従魔!?』


 みんな驚く。


「僕の従魔でヴァイスって言うんだ、よろしくね」


 そうみんなに紹介した時、今一番来てほしくない物が現れた。


「ヴァイス様ー! 待ってください-!」

『喋るぬいぐるみ!』


 みんなさらに驚く。


「ウルス、出てくるなって言ってあったはずだけど?」

「ヴァイス様が、いい匂いがするって、走って行くので追いかけてきました」

「エ、エドワード様? その喋るぬいぐるみは何なんでしょうか?」


 ロゼ嬢が代表して聞いてきた。


「ごめんね、出てこないように言ってあったんだけど。それは、ぬいぐるみの形をしているけど一応ゴーレムらしいんだ」

『ゴーレム!?』


 みんな驚く、そりゃそうだよね。


「詳しいことは分からないんだ、遺跡みたいなところで見つけたんだけど、僕の魔力で起動してしまったみたいでさ」

「そのような不思議なことがあるのですね……」


 ウルスの元へエリー嬢が近づいて行き、ウルスを抱きかかえる。ホワイトブロンドのツインテール少女とクマのぬいぐるみ。


「似合うな……」

「確かにエリーにピッタリ」


 ノワール嬢も同感なようだが多分、ノワール嬢でも似合うと思う。しかし、ウルスのやつエリー嬢に抱きかかえられて猫被ってるな、クマだけど。


「まあ、今後会う事もあるから丁度いいのかな。謎のゴーレムも一応従魔なので覚えておいてね」

「エドワード様は俺よりお若いのに、従魔を2体も使役しているとは凄いです!」


 どちらも使役しようとした訳では無いので、マルシュ君の真っすぐな目が若干辛かったが、とりあえずヴァイスの分のフォーントゥナーを焼いた。


「フォーントゥナーを使った他の料理が出てくると思うけど、デザートでも食べておこうか?」

「エドワード様がおすすめと言っていたのですね!」

「うん、大人たちが群がる前に、食べてしまおうと思うけどどうする?」

『ぜひお願いいたします』

「エドワード様、俺たちも一緒に行ってもよろしいでしょうか?」

「もちろんだよ」


 ということで、子供たち一行を引き連れてデザートコーナーへ向かい、メイドに頼む。


「みんなにプリンアラモードを持って来てもらえる?」

「畏まりました」


 そう、偶然とはいえ生クリームが作れるようになった今、ただのプリンを出すなんてことはしない。プリンの最高峰、プリンアラモードにして出撃だ。

 メイドたちが綺麗にトッピングされたプリンアラモードを運び入れると、子供たちは目を輝かせる。こういうところはマルシュ君と言えども、年相応に見える。見た目は12歳には見えないけどね。

 ちなみに、僕は当分の間はプリンアラモードを食べたくない。プリンアラモードに合うフルーツを吟味するため、ロブジョンさんと食べ過ぎた結果、そうなってしまったのだ。


 子供たちが賑やかに食べていると、大人たちもプリンアラモードの存在に気がつき注文する。本当は父様がアナウンスしてから持ってくる予定だったけど、しょうがないと思いたい。


 これで大公家の凄さを見せつけることが出来たのかは疑問だが、パーティー自体は大盛況だったと言えよう。

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