チャンスを掴め!
執筆の意図
低予算の自主映画でミュージカルを!
現在、演劇の世界では、小さな劇団が小劇場で上演している演目にはミュージカル仕立ての作品があり、歌、ダンスが有能な役者が数多くいるのにも関わらず、低予算の自主映画において、ミュージカル映画は、余り聞いたことがありません。なので、一度、挑戦しょううと思い執筆しました。
脚本について
この脚本は、数年前、余命宣告を受けていた、とある少女が、病床でブログに書いていた小説に私がインスピレーションを受けて書いたものです。
これを書くにあたって彼女に使用の許可をお願いした時は、大変喜んでくれて完成を楽しみしてくれていましたが、完成を待たずに彼女は亡くなってしまいました。お父様は、お通夜でこの脚本を彼女に読んで聞かせて頂いたとのことでした。この脚本は彼女には妹さんがおられるとの事でしたので、主人公を妹として、それを天国から見守る姉と言った構成にして「天国へ行っても心は永遠に家族や恋人と一緒だよ」と言うことをテーマにしました。
ここでの登場人物
平尾心音 (ここね 愛称ココ 20)
歌手を夢見ている和菓子屋の
事務員
川島智弘(25)元ミュージシャン
リカコ (20)心音の親友 美容師
藤井 (40代)音楽事務所の社長
95 音楽事務所 大阪 数日後
藤井 デスクに座っている
智弘 向かい合って立っている
藤井 「(心音のプロフィールを見て)
ほとんど素人じゃないか!
人前で歌ったのは この町内
盆踊り大会だけ・・・いくら
お前の紹介でも 無理だよ!
無理! 無理! お前 何
考えてるんだよ!(と 心音
のプロフィールを智弘に差し
出す)」
智弘 「で でも 社長! 一度でい
いですから 彼女の歌 聴い
て下さい! それで それで
ダメだったら諦めます!
お願いします!(と 深々と
頭を下げる)」
藤井 微笑む
96 音楽事務所のビルの前 大阪 数日後
智弘 心配そうに辺りを見回して立っ
ている
と 智弘 心音を発見して
智弘 「(手を挙げて大きな声で)こっち
こっち!」
心音 「(走りながら)すいませーん!」
心音 慌てて走って来て
心音 「(息を切らせて)す すいません!
地下鉄 逆方向 乗ってしまって・・
気が付いたら 江坂って言うとこ
で・・・」
智弘 「そう・・・このビルだから
(と 高層ビルを見上げる)」
心音 高層ビルを見上げる
97 音楽事務所のレコーディングスタジオ
藤井 楽譜を見て立っている
ドアが開いて 智弘 心音 入って来る
智弘 「社長 平尾心音さんです」
心音 「はじめまして 平尾心音と言い
ます 宜しくお願いします・・・
(と お辞儀をする)」
藤井 「あーあ あの時の?」
心音 「はい?」
藤井 「ほら この間の京都のライブで」
心音 「あっ はい・・・」
藤井 「申し遅れました 藤井と申します
(と 心音に名刺を差し出す)
今日は 遠い所 ご足労をおかけ
しました」
心音 「いえ・・・(名刺を受け取って)
ありがとうございます 私 京都
で 和菓子屋の事務員をしており
まして 名刺は 持ってないんで
す 申し訳ございません・・・
(と 頭を下げる)」
藤井 「(微笑んで)それは このトモから
聞いています 今日は 普段道理
歌って頂けたらいいですから あまり
緊張しないで下さいね」
心音 「はい・・・」
藤井 「(ペットボトルの水を心音に差し出し
て)喉 乾かたでしょう? 先ず 喉を
潤して下さい」
心音 「(ペットボトルを受け取って)ありがと
うございます!(と ラッパ飲みで
グビグビと一気に飲み干す)」
藤井 驚く
智弘 微笑む
× ×
心音 マイクの前に立っている
智弘 藤井 少し離れて立っている
藤井 「いいですか?」
心音 緊張した顔でうなずく
心音 歌う 未来に向かってをイメージした歌
智弘 藤井 聴いている
音楽 終わる
心音 緊張してうつむいている
智弘 心音の肩を叩く
心音 顔を上げる
藤井 「ありがとうございました では また
ご連絡します 今日は お疲れ様でした」
心音 「こちらこそ ありがとうございました!
(と 深々と お辞儀をする)」
藤井 ドアを開けて出て行く
心音 智弘の顔を見る
智弘 微笑む
98 レコーディングスタジオの廊下
藤井 歩いている
智弘 追いかけて来て
智弘 「社長!」
藤井 背を向けたまま 親指を立てて
いいねをする
智弘 「あ ありがとうございます!
(と 深々とお辞儀をする)」
藤井 背中を向けたまま 手を挙げて
廊下を歩いて行く
99 居酒屋 数日後
数人の客がいてガヤガヤしている
心音 リカコ 飲食している
リカコ「へー! そんな展開になったん!
びっくり!」
心音 「う うん・・・」
リカコ「死に別れたお姉さんの彼に
突然 出会って その人が
ココの夢を叶えてくれるって!
何か ラブファンタジー!」
心音 「(元気なく)そ そやな・・・」
リカコ「なんや 夢が叶うかもしれへんのに
元気ないやん? レッスンも 会社
の休みの日にしてくらはったんやし
問題ないやん!」
心音 「う うん・・・」
リカコ「それとも 大阪 怖いん?」
心音 「怖いのは うちの歌唱力 何か
自信が無くなって来て・・・」
リカコ「何ゆうてんの! ココらしないなぁー!
その社長さんから OK もらってるん
やから 大丈夫やって! 人生 そう
何回もチャンスは 巡ってけえへんで!
来たら直ぐ 掴まんと!」
リカコ 歌い出す チャンスを掴めをイメージ
した曲
心音 客 店員 踊り出す
音楽が終わって
リカコ「私の 韓国 ハワイ! 遠くなりに
けり・・・」