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脚本 Lily  作者: 日尾昌之
1/13

始まりの日 突然の雨

執筆の意図

低予算の自主映画でミュージカルを!

現在、演劇の世界では、小さな劇団が小劇場で上演している演目にはミュージカル仕立ての作品があり、歌、ダンスが有能な役者が数多くいるのにも関わらず、低予算の自主映画において、ミュージカル映画は、余り聞いたことがありません。なので、一度、挑戦しょううと思い執筆しました。


脚本について

この脚本は、数年前、余命宣告を受けていた、とある少女が、病床でブログに書いていた小説に私がインスピレーションを受けて書いたものです。

これを書くにあたって彼女に使用の許可をお願いした時は、大変喜んでくれて完成を楽しみしてくれていましたが、完成を待たずに彼女は亡くなってしまいました。お父様は、お通夜でこの脚本を彼女に読んで聞かせて頂いたとのことでした。この脚本は彼女には妹さんがおられるとの事でしたので、主人公を妹として、それを天国から見守る姉と言った構成にして「天国へ行っても心は永遠に家族や恋人と一緒だよ」と言うことをテーマにしました。



ここでの登場人物


平尾心音 (ここね 愛称ココ 20)

     歌手を夢見ている和菓子屋の

     事務員 

川島智弘(25)元ミュージシャン

福本  (60代)映画プロデューサー

ヤクザ風男 A B(20~30代)



1 清水寺から見た京都市内全景 早朝

   街並みに朝日が当たって輝いている


2 清水寺仁王門前 早朝

   心音 爽やかな風を受けて笑顔で

      立っている

   音楽 始まる

   心音(手にA4の茶封筒を持って

      いる)歌い出して石段を軽

      やかに駆け降りる

   朝が来た 新しい日が始まる 

   みんな起きて 今日は運命の

   日・・・の様なイメージの曲


3 清水寺参道 

   無人

   開店前の土産物店が並んで

   いる

   心音 リズムに乗って歌いなが

      ら歩く


4 産寧坂 

   心音 リズムに乗って歌いなが

      ら駆け降りる


5 二年坂 

   心音 リズムに乗って歌いなが

      ら駆け降りて来て 坂の

      下で荷物を持って上がろ

      うとしている老婆の荷物

      を持って また 駆け上

      がる


6 円山公園 

   心音 リズムに乗って歌いなが

      ら歩いて来て 自転車の

      チェーンが外れて困って

      いる女子高校生を見つけ

      てチェーンをはめる


7 祇園石段下 

   心音 リズムに乗って歌いなが

      ら駆け降りて来て 写真

      を撮ろうとしているカッ

      プルを見つけて写真を撮っ

      てやる


8 花見小路 

   心音 リズムに乗って歌いながら

      歩いて来て地図を開けて困っ

      ている観光客に道を教える



9 横断歩道

   歌が終わって街の騒音となる

   雨が降り出している

   心音 信号待ち 傘をささずに

      茶封筒を濡れない様にお

      腹に抑えて足踏みをして

      いる

  クレジットタイトル

   Lily


  心音 「もー! なんでぇー? 

      なんで急に雨降ってくん

      の! そやし京都嫌い! 

      もー 最悪!」    

   何台もの車が水しぶきを上げて

   彼女の前を通り過ぎて行く

   突然 傘が差しだされる

   心音 驚いて空を見上げるとビ

      ニール傘 

   心音 振り向く

   智弘 隣に傘をさして立って

      いる

  智弘 「風邪ひきますよ」

   心音 不思議そうな顔をして

      うなずく

  智弘 「大丈夫ですか?

     (と 心音の顔を覗き込む)」

  心音 「(思わず顔を反らして)だ 

      大丈夫です・・・ あ あ

      りがとうございます・・・」

   青信号 心音 走ろうとする

  智弘 「あーあ 入って行ったら!?」

   心音 立ち止まって振り返って

  心音 「あ ありがとうございます!

      (お腹に抱えた茶封筒を見て」)

      これ濡れたらヤバいんで・・ 

      お お願いします」

  智弘 「それ大切なもの?」

   心音 恥ずかしそうに頷く


10 向かい側の歩道

   心音 智弘 横断歩道から

   歩いて来て立ち止まって

  心音 「あ ありがとうございまし

      た! そ そでは 失礼し

      ます!」

   心音 ペコリと頭を下げて足早に

      行こうとする

  智弘 「あっ! ちょっと!」 

  心音 「(振り返って)えっ?」

  智弘 「それ濡れたらヤバいんで

      しょ?」

  心音 「まあ・・・」

  智弘 「ちょっと 時間ある?」

  心音 「えっ?」


11 コンビニ店内

   2人 入って来る

   智弘 心音が持っているのと同じ

      様なA4サイズの茶封筒を

      持っている

   傘 売り切れ

  智弘 「なんだ 売り切れか・・・」

  心音 「いいです 行くとこ すぐ

      そこですから・・・」

  智弘 「でも それ 濡れたらヤバい

      んでしょ? ああ 濡れちゃ

      ってるよ!」

   智弘 心音から茶封筒を奪い取って

      首に掛けていたタオルで拭く

  心音 「あ ありがとうございます

      ・・・」

   智弘 自分の傘を差しだす

  心音 「えっ?」

  智弘 「これ 持って行って下さい」

  心音 「でも あなたが・・・」

  智弘 「僕? 僕の家もすぐそこなん

      です いいから持って行って

      下さい」

   智弘  無理やりに心音に傘を渡す

  心音 「あ ありがとうございます・・

      でも どうやってお返しした

      ら・・・」

  智弘 「僕 木屋町の縁屋って言う

      居酒屋にいますから また 

      もしよかったら来て下さい」

  心音 「(うわの空で)あっ はい

      ・・・ では お言葉に甘

      えて(と 傘を受け取って)

      じゃあ! 私 急ぐので!

     (と 出入口に行こうとする)」

  智弘 「あっ! これ!(と 封筒を

      差し出す)」

  心音 「あっ! あ ありがとうござ

      います!(と 封筒を受け取っ

      て 深々と お辞儀をして 

      慌てて出入口に向かう)」

  智弘 「滑って転ばないように!」

   心音 出入口で滑る

   智弘 ヒヤリとする

   心音 転ばずに出て行く

   智弘 微笑む

   ヤクザ風の男A・B(手に京都

   土産を持っている)心音と入れ替

   わって入って来る

   智弘 それを見て慌てて飛び出す

   ヤクザ風の男A・B 「待て! 

   コラ!」 智弘を追いかける


12 雨の歩道 

   心音 傘をさして足早に歩いて

      いる

   音楽 始まる

   心音 歌いだす  

   運命をイメージした曲

   心音 傘をさして軽やかに

      スキップして歌う


13 雨の歩道

   音楽 被って

   智弘 雨に濡れながら必死に

      走っている


14 雨の歩道

   音楽 被って

   心音 傘をさして歌い踊っ

      ている


15 雨の歩道

   音楽 被って

   智弘 ビルの陰に隠れている

   ヤクザ風の男(A・B)走って

   行く

   智弘 ほっとする


16 とあるオフィスビルの前

   音楽 被って

   心音 小走りでやって来る

   音楽 終わる


17 とあるオフィスビルのロビー

   心音 茶封筒を持って立って

      いる

   福本 来る

   心音 気づかない

  福本 「平尾心音さんですか

      ぁー?」

  心音 「(驚いて)あっ! 

      はい・・・」

  福本 「どんぐり企画の映画プロ

      デューサーの福本と言い

      ますぅー(と 名刺を差し

      出す)」

  心音 「あ ありがとうございます

     (と 名刺を受け取る)」

  東山 「どうぞ お座り下さい」

  心音 「ありがとうございます」

   2人 椅子に座る

   心音 下目使いで福本の顔を見る

  福本 「何か?」

  心音 「い いえ・・・」

  福本 「動画 見ました なかなか 

      ええ曲ですなぁー」

  心音 「ありがとうございます・・・」

  福本 「あんたはんが お作りに 

      ならはりましたん?」

  心音 「ま まあ・・・」

  福本 「で 楽譜は 持って来くらはり

      ましたか?」

  心音 「あっ はい!」

  心音 「雨でちょっと濡れてますが・・・

     (と A4サイズの茶封筒を差し

     出て)宜しくお願いします」

  福本 「(封筒を受け取って)では また 

      ご連絡しますぅー(と 立って)

      あ 痛 たたたぁー」

  心音 「(立って)だ 大丈夫ですか!?」

  福本 「今朝から また 神経痛が出まし

      て なぁー あ 痛 たたた・・」

   福本 痛そうに歩いて行く

   心音 首を傾げる

  

18 雨上がりの歩道 夕方

   雨に濡れた歩道が夕日を受けて

   オレンジ色に輝いている

   心音 ショーウインドウを眺め

      ながら歩いている

      音楽が始まり 心音 歌う 

      希望をイメージした曲

      歩いて来たサラリーマン 踊り出す

   ×   ×   

   音楽が終わって スマホが鳴って 

   心音 スマホを耳に当てる

   踊っていたサラリーマン 心音の横に

   立って聞き耳を立てる

  心音 「はい 平尾です あっ! 先ほど

      はありがとうございました・・

      えっ? 楽譜ですか? お お品

      書き? ですか!? そ そん

      なはずは・・・すみません・・・

      はい はい・・・も 申し訳ござい

      ません・・・かしこまりました 

      ありがとうございます では

      お送りさせて頂きます 誠に申し

      訳ございません・・・でした」

   心音 深々と お辞儀をする

   横に立っいるサラリーマンも 深々と 

   お辞儀をする

   心音 電話を切って

  心音 「何で 楽譜が 居酒屋のお品書きに

      入れ替わったんやろ・・・どこで?

      アンビリバボー!」

   横に立っいるサラリーマン 不思議そうな

   顔をする

   心音 突然 思い出した様に大きな声で

  心音 「あっ!」

   横に立っていたサラリーマン 驚いて転ぶ

  心音 「あの時・・・」

   サラリーマン 立つ

  心音 「あっ! あいつや!」

   サラリーマン また転ぶ


  つづく







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