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これで、週末ごとに片方の夫婦がもう片方の家を訪ね、互いの妻を入れ替えて愛の時間を過ごせばいい。
それがセデクの立てた計画だった。
ところが、仮初の妻ファテカを間近で見たセデクは……その美しさに気付いて息を忘れた。
丸みを帯びた優しげな頬。
美しく長い金色の髪。
心細げに、新郎を見つめる瞳。
これほど美しい女がこの国にいようとは。ゴース王子が道を見誤るのも道理だ。
だが親友との約束は絶対。セデクは美の化身を前にしながら、指一本触れることさえできなかった。
週末になってメリヌと逢瀬を交わしても、頭のなかはファテカでいっぱいだった。
そしてゴース王子の元へ急ぐファテカを見ながら、焼けるような嫉妬に苦しんでいた。