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タイトル未定2024/11/25 09:39

 北の塔の件から二日後、私たち4人とサーシャリアは図書館の閲覧室にいた。

「移動装置は見つかったみたいだな」アルの問に、「ええ、ありました」とサーシャリアが頷いた。

「私のゲームでも魔女のいた地下に通じる道が北の塔にありましたからね。何かあるとすれば北の塔だと思いました」

 移動装置発見後、装置の扱いについて会議が開かれたらしい。アルには声が掛らなかったが、グレッグには誘いがあった。アルが猛反対をしたため、グレッグは会議に参加することはなかった。

 ジョイール達がまだグレッグを諦めていないことにアルは腹を立てていた。

「それで」とアルは先を促したが、詳しい話を宰相から聞いて知っていた。

「昨日、魔法省が移動装置の動作確認をしたところ、魔王の城が見える山の麓の平原に出たそうです。そこをベースキャンプとして、待機用の建物を作り、移動の魔方陣を新たに設置することになったそうです」

「移動装置があるのにわざわざ移動の魔方陣を置くのか?」

 サーシャリアの説明にアルは首を傾げた。

「隣国の王子に移動装置を見せるわけにはいかないので、新たに移動の魔方陣を置くことにしたそうです」

「そうか、攫われた聖女の1人フェアリスは隣国の第三王子の婚約者だったな」

「そうなんです。それで、いろいろと大変なんです」

「難しいところだな。トラストが同盟国と言っても、全てを見せるわけにはいかないからな」

 隣国のトラスト国の王太子は好戦的な性格と言っていた。移動装置の存在を知られたら困ることになるかもしれないのだろう。第三王子はどんな人だろう。

「王子はいつ来るんだ?」

 アルの声で私は思考を停止した。

「明日着くと聞いています」

「明日!早いな」

「少人数で、早馬を走らせて来ているそうです」

「婚約者が心配なんだな」

「違うと思います。トラストとしては聖女が無事に嫁いでくることを願っていますからね」

 トラスト国にとって、フェアリス個人より、聖女の力が重要なのだろう。婚約者に対する愛情はないのだろうか。確かに聖女は戦いにおいて重要な役割をになう。幼少期に家同士で決められた婚約者を第三王子は大切に考えているのだろうか。私はもやもやした。

「そうか、それでいつからキャンプ地に行くんだ」

「明後日を予定しています」

「早いな。それで準備は整うのか」

 サーシャリアがグレッグを見ていたので、「グレッグは貸さないからな」とアルが牽制した。

「冒険者とか募集しているんだろう」

「そうなんですが、場所が場所ですからね。いくら城が見える魔の山の麓だと言っても、上級の魔物の巣窟に行くからですね」

「そんなところにグレッグを誘うのか。グレッグの兄も魔法省の関係で行くんだろう。モラリス公爵家から二人も出すことはないと思うよ。それに、スワイツ公爵家は婿になる予定のスコートを行かせるのに反対していると聞くよ」

「スコートの婚約者のロザリア公女様が猛反対しているんだ」

 サーシャリアは盛大なため息を吐いた。

「誰だって反対するだろう。特にスコートとロザリアは相思相愛だからね。ロザリアはそんな生還率0%の噂のあるところにスコートを行かせたくないんだろう。それに、ジョイールの母上も反対していると聞くよ」

「冒険者すら生きて帰ってこないところですからね」

「サーシャリアも大変だな」

「我が家は姉さんと二人ですからね。二人姉弟なのに二人とも行くことに父も母も反対してますよ」

「そうか、アンジェラは魔法省と同行するのか?」

「聖女ですからね。治癒や回復のために動員されるみたいです」

 サーシャリアの顔に影が差す。

「他の聖女は参加しないのか?」

「出来るわけないじゃないですか。あの二人の能力は攻撃がメインで、治癒魔法は使えても軽い傷を治すくらいです。魔法省の治癒回復専門の魔法使いも同行するのですが、姉の力には及ばないと思います」

「そうか、サーシャリアのところも大変なんだな」

「サーシャリア様がもしもの時はどうされるのですか?」

 ずっと黙って聞いていたヒラリーがサーシャリアを見た。

「従兄弟が家門を継ぐだろうね」

「そうですか」

「ところで、殿下達はどうされるのですか?」

「君たちが魔女を倒すことが出来なかったら、俺たちが倒すことになるから、それまでヒラリーの言うところの経験値を積むことにするよ」

「そうですね。殿下達の戦闘モードがあれでなければ、絶対同行をお願いするのですが・・・」

「ステータスバーが見えたら良いのに。サーシャリア様は敵のステータスバーが見えるの?」

 ヒラリーが悔しい顔をする。

「いや、見えない。だから、敵がどの程度の力があるかわからない」

「そのステータスバーがあれば敵の力がわかるのか?」

 アルはステータスバーがどういうものか分らないので、不思議に思っているようだ。かくゆう私もどんなものか分らない。

「前にも言ったと思うけど、ステータスバーが見えたら、自分のレベルも分るし、どの程度ダメージを受けたかも分るの。もちろん敵の状態も見えるわ」

 ヒラリーの説明を聞いて、「それが見えたら便利だね」と言った。

「そうなのよ。宝箱の中に見える様になる魔法具があれば良いのだけれど・・・」

「そんなのがあれば、相手の力量が分るから、闇雲に戦わなくてすむけれど・・・」

 ヒラリーの呟きを受けてサーシャリアも呟いた。

「そういう魔道具があるのなら探してみましょう」

 私は暗くなりそうな雰囲気を変えるように言った。

「そうだね。サーシャリア達は先に魔の山に向かってくれ。俺たちは別行動で経験値を積みながら魔法具を探してみるよ」

「殿下に協力して貰えるのなら心強いです」

 サーシャリアは疲れたように席を立った。

「では、まだ打合せがありますので失礼致します」

 サーシャリアが部屋を出て行くのを、みんな黙って見送った。

「サーシャリア様も大変ですね」

 ヒラリーはサーシャリアが出て行ったドアを見つめた。

「今生の別れではないことを願って、俺たちは俺たちのできる事をしよう」

「何をされるのですか?」

 図書室に来てからグレッグの声を初めて聞いた。

「まず、城の地下を捜索して、もう一つの移動装置を見つけよう」

 アルの提案に、私はヒラリーと顔を見合わせて頷いた。


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