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作戦会議

 ヒラリーの姿は腕を組んで立っていた。

「なにかありましたか?」

 私は帰るのが遅かったので怒っているかと思ったが、ヒラリーは腕を組んだままぴくりとも動かなかった。

「・・・」

 流石に目を開けたまま寝てると言うことはないだろう。

 私はヒラリーに近づいて「なにかありましたか?」と目の前で手のひらを振ってみた。目の前で手を振ったからか、ヒラリーは目だけ動かして私を見た。そして、今気付いたみたいに「ギャッ」と驚いた。

「何してるのよ!帰ったら帰ったと言いなさいよ!」

 いやいや声をかけましたよ。と心の中で呟く。

「遅くなりました。何かありましたか?」

「何も無いわよ。あんたのゲームに付き合っていたら何時間あっても終わりそうに無いから先に帰ってきたけれど、あんたの方こそどうだったの?」

「いやぁ、疲れました」

「でしょうね。初期のゲームだと戦いの最中に逃げたりセーブが出来ないのがあったと思うわ」

「セーブですか?」

「そうよ。いつだったか洞窟の中で光る場所を見たことがあるでしょう」

 そういえばずいぶん昔そんな話しを聞いたことがあった。

「そうそう思い出したわ。グレッグ様の別荘に行ったときに洞窟の中で見つけたでしょう。あれよ」

 ああ、そういえば・・・と、あの変な光を発していた物を思い出した。

 あの時は魔女が出て来て・・・あの洞窟は塞がれてしまったんだった。

「そうでしたね。洞窟が崩れて第2王子が生き埋めになる事件があったので忘れていました」

「そうなのよね。あの頃は私のゲームだと思っていたのに、急に魔女が出て来たでしょう。あそこで狂ってきたのよね」

 ヒラリーは机の上にあった紙を取った。

「あんたが帰ってくるまでにこの世界について考えていたのよ」

 私の部屋にはベッドと机しかないので、ヒラリーはベッドの上に紙を広げた。

 そして、紙を挟んで私に座るように言った。

「イルカ、これを見て」

 紙には3つの円が書かれていた。ヒラリーのゲームとサーシャリアのゲームと書かれた円は一部で交わっていたが、私の名前と第2王子の書かれた円は2つの円からは外れていた。

「私とフェアルート殿下は別なのですか?」

「そうよ。多分第2王子はあんたのゲームだと思うの」

「どうしてそう思われるのですか?」

「考えてもみなさいよ。あんたのゲームの目的は本当の聖女を探す事だと思うの。そして、聖女を探せと言われたのは第2王子でしょう。あの時点で第2王子はあんたのゲームの勇者になったのよ」

「勇者ですか?」

「そうよ。お姫様を救い出す勇者よ」

「はぁ・・・」私の想像の遙か上を行く話しのようだ。

「話しは変わるけれど、あの辺境伯の二人の娘。どうやらグレッグ様とサーシャリア様を狙っているみたい。今回も二人で抜け駆けを考えていたみたいよ」

「そうなのですか」

「そうよ、グレッグ様を第2王子に帰して貰わなくちゃ」

 ヒラリーはふんすと鼻息荒く言った。

「こんやも第2王子のところに行くんでしょう。私も行くわ。三人でグレッグ様を取り戻す作戦会議をしましょう」

 ヒラリーはそう言うと出て行った。


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