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王子ラフティ

「なんだ、あれは!」

 私のすぐ横で誰かが叫んだ。

「来るぞ!」と、アルは私の手を引いて、会場の隅に連れて行く。

 ガッチャーン

 バルコニーに面したガラスが一斉に割れた。

 気付くと、すでに、銀髪の赤い目の幽霊王子は室内に入っていた。鎧の騎士達はバルコニーに留まっている。

 幽霊王子はステージ上にいる聖女達を見つめた。

 ステージでは、ジョイール」王子とサーシャリアが聖女達を庇うように立っていた。

「何者だ!」ジョイールは幽霊王子に剣を向けた。

『お前が俺を知る必要はない。俺は聖女に会いに来た』

 幽霊王子はステージ上の聖女達を眺めた。

『お前達が聖女か?』

「そうですわ」

 最年長のアンジェラが答える。

『足らないな』

 聖女達を見て、幽霊王子が呟く。

「何が足らないと言うのです」

『お前達の魔力は、今の聖女の足しにもならない』

「それはどういうことです」

 アンジェラは強気だ。

『お前達は、最近魔物が増えていると思わないか?今日も魔女が来ている。どうしてか分るか?』

 魔女と聞いてバルコニーに目をやると、そこには、悪霊を引き連れた魔女がいた。

「お前が連れて来たのか!」

 ジョイールが叫ぶ。

『俺が?まさか。確かに魔女は俺を誘ったが、俺は魔女に興味はない。聖女のお披露目があると聞いたから来ただけだ』

 魔女がスーッと入って来て、幽霊王子の隣に立つ。

「あら、殿下。あなたはこいつらが憎くはないのですか?」

 意外というように魔女は幽霊王子を見た。

『俺が?何故憎む』

「あなたを毒殺したのは、あそこにいる男ですよ」

 魔女が指さした先に、白髪の貴族が青い顔をして立っていた。その貴族の隣にはアレド伯爵がいた。

「ドーラン侯爵だ。爺様と一緒に第2王子の警護に付いていたはずだ」

 アルが私に耳打ちする。

 ドーラン侯爵はジョイールの母の父だ。そして、現国王の母である二妃の叔父でもある。

「何をたわけたことを言っている!」

 ジョイールが怒りを露わに声を露わせる。

 まあ、自分の親族が誰かを毒殺したなどと、招待客の前で言われたら誰でも怒るだろう。

「何も知らない王子様。あなたのお爺さまは、あなたの父上のご兄弟を毒殺して、自分の親族を王座に据えたのですよ」

 ジョイールを刺激するような、魔女の口ぶりだった。

 パーティ会場が違う意味でざわめいた。そして、数名の古参の貴族が幽霊王子を見た。

「ラフティ王子・・・」

 震えるような呟きが、すぐ横で聞こえた。

「ラフティ、王子?まさか・・・」

 年配の貴族達が驚いている。

『へぇー、表に出されなかった王子の名前を覚えている人もいるのか』

「良かったねぇ、王子」

 魔女がからかうように言う。

『黙れ!魔女!』

 ラフティ王子と呼ばれた、幽霊王子が魔女を睨んだ。

「おお、恐いねぇ。でも、あんたをここに連れてきたのはあたしだと言うことを忘れていないだろうね」

『ふん、だからといって、お前の思い通りには動かない』

「いいよ、あたしの邪魔さえしなければ・・・あんたは好きにしなよ」

 魔女は幽霊王子ラフティに言うと、ベランダに待機していた悪霊が一斉に部屋の中に入ってきた。

「聖少女隊!初めての仕事だ。魔女を倒せ!」

 ジョイールの声が響くと、「はい」と聖少女隊は悪霊を退治し始めた。

 私たちはと言うと、完全に傍観者を決め込んでいた。そこに、ラフティ王子が近づいてきた。

『お前・・・』アルに向かって話しかける。

 ラフティ王子とアルが並んだ。似てるなとは思っていたが、二人が並ぶと本当によく似ていた。

『お前、俺に似ているな。気を付けた方がいい、命を狙われるぞ』

 ラフティ王子はアルを見て言った。

「ご心配には及びません。俺の周りはそんな奴ばかりです。しかし、どうしてそう思うのです?」

『お前の魔力が俺の魔力と似ているから、と言ったらおかしいか?』

 そう言われたら、アルの魔力とラフティ王子の魔力の色が同じように見える。

「似てたら、何故狙われるのだ」

『その魔力は王家特有の魔力で、王になる者が持つと言われている』

「では、王子が殺された動機はそれだと言うのですか?」

『そうだ。俺に王になってもらいたくない者がいたようだ』

「その者とは、さっき魔女が言っていたドーラン侯爵だと・・・」

『それは分らない。俺は魔女との約束で外に出る時間が制限されている。今は時間が無い。重要な事だけ伝える。あそこにいる聖女達では結界を維持するだけの魔力が足りない。母ともう一人の聖女の力が弱くなってきている。だから、結界に綻びが出てきている。魔女を最近ちょくちょく見かけるのもそのせいだ。そのうち、魔女だけでなく魔獣も町の中に入ってくるだろう。何処かに本当の聖女がいるはずだ。それをお前に探して欲しい』

「どうして俺に頼む」

『さっきも言っただろう。お前は王の魔力を持っていると。王の魔力が聖女を探してくれるはずだ。次に会うときは良い返事を聞かせてくれ』

 そこまで言って、ラフティ王子は忽然と消えた。王子と一緒に来ていた鎧の騎士達も消えていた。残ったのは、魔女と悪霊だ。

 魔女と悪霊は、聖女隊と戦っている。

 私たちは、魔女は聖女隊に任せてパーティ会場を出た。


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