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新たなゲーム

 トコトコと小さな5人組が礼拝堂の中を進む。

「小さくなると、礼拝堂が大きく見えるわ」

 ヒラリーは天井を見上げた。

「ヒラリーは可愛いですね」

 グレッグはヒラリーの話しを聞いていたのか、少し的外れの返事をした。

「まあ、グレッグ様は小さくなっても素敵ですわ」ヒラリーは頬を染めた。

 当事者以外は醒めた目で見ているのに気付かない二人は見つめ合っている。確かに小さくなるとみんな可愛く見える。

「そういえば、イルカは小さいと本当に座敷童のようね」

 周りの雰囲気に気付いたのか、突如ヒラリーはグレッグから私に視線を移して言った。

 それを聞いたサーシャリアが「そう言われるとそうだね。何故いつも着物を着ているのか不思議だったんだけど、座敷童と聞いてわかったよ。それでイルカはいつも着物を着ているんだね」と納得した様に頷く。

 ヒラリーとサーシャリアが何を言っているのか分らないアルとグレッグは不思議な顔をした。

「座敷童?」

 アルが首を傾げた。

「前の世界で昔からいる家の守り神みたいな子供の霊よ」

 ヒラリーが説明をするけれど、二人は理解できない。だけど、そういう者なんだと思ったようだ。

「戦闘シーンでないときは普通のサイズに戻して欲しいな」

 話題を変えるかのように、サーシャリアが小さな身体に文句を言った。

「サーシャリアのゲームは、戦闘の時は小さい姿になるの?」

 ヒラリーは興味をもったようだ。

「そうだよ。でも建物に入っただけで小さくはならなかった気がする」

「そうよね。どっちかと言いうとビジュアルは大切だものね」

 その時、先頭を歩いていたアルが何かを見つけた。礼拝堂の片隅に箱が置かれていた。外見からどうやら宝箱のようだ。

「どうしてここに宝箱が?」

 アルの疑問にヒラリーが答える。

「やっぱり!それはイルカのよ」

 私の?なぜ?私は突然話しを振られて驚いた。

「だって、今朝からイルカのゲームが始まったみたいなんですもの」

 ヒラリーが興奮したように言った。

「イルカのゲーム?」

 サーシャリアはイルカのゲームと聞いて驚いた。

「イルカのように経験値を上げて強くなるのはRPGのキャラなんじゃないかと、以前から不思議に思っていたんだけれど・・・そしたら、今朝から金貨が出て来てそれを拾っているっていうのよ。これって完全にRPGの設定と思わない?」

 ヒラリーはサーシャリアに同意を求めた。

「じゃあ、イルカは他のゲームのキャラと言うこと?そして、そのゲームも始まったと・・・」

 サーシャリアは驚きにポカンと口を開けている。そんなバカなと思っているようだ。

「そうとしか考えられないのよ」

「ああ、そうか。そうすると僕たちが小さくなったのも分る気がする」

「そうでしょう。サーシャリアもそう思うでしょう」

 ヒラリーはサーシャリアと意見があって喜んだ。

 それを見ていたアルはとグレッグは不機嫌になった。二人が何を言っているのか分らないからだ。

「どういうことなんだ?」

「つまり、ヒラリーの乙女ゲームと私のゲームが同じ設定上で動いているのは知っているよね。それと同じように、どうしてだか分らないけれど、イルカのゲームも始まったらしいんだ」

 ゲームが何なのかも分らないアルやグレッグに(私もだが)説明するのは難しい。

「RPGはロールプレイイングゲームと言って、ある目的があって経験値を積んで、ラスボスを倒して目的を達成するゲームなんだ。ところで、イルカのゲームって、どんなゲームなんだ?」

 サーシャリアはヒラリーに尋ねた。

「それが分らないのよ」

 ヒラリーはお手上げというように首を竦めた。

「何かヒントになるような物はないの」

 サーシャリアは今度は私を見た。

「私は孤児院に入るまでの記憶が無いので何も分りません」

 ゲームを知らない私はそう答えるしかない。

「イルカに聞いても無駄よ。だって本当に何も知らないんだもの。ふつうRPGだとステータス画面で、自分が今どういう状態か分るんだけど、イルカの場合何も出てこないのよ。きっと何かしらのバグがあってイルカだけこの世界に飛ばされたんじゃないかしら」

 ヒラリーなりの意見だ。

「そういうことがあるんだろうか?」

 サーシャリアは納得がいかないようだ。

「分らないものをいくら考えても分らないんじゃないか」

 アルがしびれを切らしたように言った。

 確かにゲームを知らない者からしたら、二人が何を話しているのかさっぱり分らない。パソコンやスマホのないこの世界では想像すら出来ないだろう。パソコンとスマホの時代にいてもゲームをしたことのない私も理解できないのだから・・・

「とりあえず、宝箱を開けてみよう」

 アルがグレッグに宝箱を開けるように促した。グレッグは慎重に宝箱に手をかける。宝箱は鍵が掛っていなかった。宝箱の中には小さなナイフが入っていた。

「ナイフだ」

「やはりゲームのようだね」

 サーシャリアが確信した様子で言った。

「何故ナイフでゲームが始まったと思うんだ」

 アルはグレッグからナイフを受け取った。ごく普通の小さなナイフだった。

「ゲームの始まりに出てくる武器は、そのナイフの様に簡単な武器から出てくるんだ。ゲームが進むにつれて経験値が上がり、経験値にあった刀や剣や防具が出てくるんだ」

 サーシャリアが説明する。

「へえ」アルが感心したように頷く、「イルカはすでに騎士の剣を持っているからいらないと思うが、このナイフはこのまま箱に戻すのか」

「戻さないで売るのよ」とヒラリーが言った。

「売る?何処で?」

「武器屋に持っていって買ってもらうの」

「買ってもらってどうするんだ?」

「他の武器や武具やポーションを買うのよ」

「ポーション?」

「そうよ。私たちが1つのパーティとすると、回復系の魔法を使える者がいないでしょう。そうしたときに状態を回復したりする為のポーションが必要になるわ」

「ポーションを買うために金貨が必要ということだよ」とサーシャリア。

 サーシャリアはそろそろ帰りたいようだ。そわそわと居心地が悪そうだ。

「サーシャリア様、お帰りになってもいいですよ」

 サーシャリアの様子を見ていたヒラリーが言った。

 サーシャリアはホッとしたようだ。

「じゃあ、私は帰らせてもらうよ」

 アルもグレッグも引き止めなかった。私たちの目的は地下通路で、サーシャリアがいると邪魔になるだけだった。

 サーシャリアは礼拝堂から出て行った。

 私たちは邪魔者がいなくなったので、礼拝堂を見て回ることにした。


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