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別荘への招待

 3年生になった。

 1・2年は3クラスだったが、3年生からは2クラスだ。1・2年から全員が進級するわけでは無かった。王立学校では、魔法や剣術が標準以上の者だけが進級する仕組みになっていた。魔力は300以上有る者。騎士科は1・2年生から騎士科の生徒の他に、授業に於いて運動能力の優れた者が選ばれた。

 学校から出された者は、王立ではない学校に編入することになる。希に他の学校に編入した者が、成長と共に能力が現れる者がいるらしく、その時は再び王立学校で学ぶことが出来るらしい。王立学校に在籍の経験が無くても、能力が現れたら編入出来るとも聞いている。

 そんな王立学園で魔力レベル10の私が何故魔法科に?と疑問に思うのだが、実際に火球や水球を出せるからと言うことらしい。でも、火球や水球は私に限らず魔力があればレベル関係なく出せると思うのだが・・・

 私の思惑とは関係なく、魔法科クラスに進級した。そして、第二王子フェアルートの側近になった。

 アルとしては自分の側近にすることで、他からの臆測に対処しているらしかった。剣の腕前は周知の事実だったので、アルの側近になった事で、魔法のレベル関係なく、魔法クラスになったのだろうと思われているようだった。

 魔法クラスには、聖女はもちろん、例の公爵令嬢も一緒だった。

 担当教師は、私の魔力測定をした先生だった。

 今度は変な席決めはしないだろうと思っていたが、公爵令嬢の親は3年生になっても影響を及ぼしていたようだ。

 目標を第一王子に絞ったらしい。その為、聖女もどきをアルの側に置くような席順を組んできた。でも、それは第一王子の不評を買ったらしく、二月もしないうちに取りやめになった。

 第一王子は聖女もどきに気があるようだ。

 それを面白く思わなかったのだろう。公爵令嬢は1・2年の時と違って、聖女もどきと間を置くようになった。

 表だった意地悪はしないが、近づくこともしなくなった。

 私はアルの側近になった事で、アルの側に寄ることを批判する者はなかったし、ヒラリーは私と一緒に居ることで、いつでもグレッグと話しをすることが出来た。どちらかと言うと、ヒラリーのために、用もないのにアルの側に行かされているような気がする。

 この状態が続けば、ヒラリーが聖女もどきを虐めて国外追放になることは無いだろうと思われた。

 3年生になって変わった事はまだある。

 教室の中でカップルが増えたことだ。

 王子達やその側近、そして聖女もどきと公爵令嬢は相変わらずだったが、婚約者のいないクラスメイトは、それぞれ相手を見つけているようだった。

 卒業までに結婚相手を探す人も多いと聞いている。

 私はアルの側近になった事と、同じくアルの側近のアルトとの仲を誤解されているようで、誰も私に声をかける人はいなかった。

 私はそれで良いと思っている。

 学校のみんなは知らないと思うが、アルトには一つ年下の可愛い婚約者がいる。その婚約者は伯爵家の令嬢で領地の学校で淑女教育を受けていると聞いた。

 王立学校のように、魔法だ剣術だと力を競うことはないらしい。

 アルトも彼女が気に入っているようで、頬を染めて彼女の話をするアルトはとても微笑ましく思う。まあ、実年齢が28歳+12歳だから、この世界ではお婆ちゃんと呼ばれてもおかしくない私から見れば可愛いく感じてしまう。


 魔法の授業は面白い。

 ヒラリーの見よう見まねで風魔法を使っていたけれど、座学によってその原理が分った。そして、自分が勝手に思い込んで実践していたことが、間違っていないことを知った。

 私は忍法帳を見ながら、まず水を出すことから始めた。

 何も無いところから水を出すにはどうしたら良いのだろうか?と考えた時、風魔法が空気を動かす魔法だと気付いた。風は暖かい空気と冷たい空気が動いて風が起きる。そう考えたら、空気中の原子を分解して再構築すれば水は出来るのではないだろうかと思った。空気を分解する方法は知らなかったが、元素記号を考えながらあれこれ試していると、ある日突然水が手のひらに現れた。後はその応用で火を作った。

 魔法の授業では、元素は要素と説明されていた。空気中から水の要素を分解して構築する。分解するときに使用する魔法の陣形。そして変換するときの陣形。

 魔法の属性によりこの陣形は違うらしい。

 私は知らない間に、要素をではなく元素記号の組み合わせを考える事で、この陣形を無意識に発動していたようだ。

 理論が分るとなるほどと思うのだが、闇魔法と白魔法と光魔法の原理は分らなかった。

 闇魔法は人の精神に左右するものらしい。白魔法と光魔法は同じく精神と人体に関与するらしいが、その働きは真逆らしい。

 どうやら私の魔法は攻撃系のような気がする。

 前期の試験が終わった。

 私の魔法の成績は、少し上がった位だと先生から聞いた。

 王立学校は試験の成績を生徒に知らせないルールになっている。

 下手に成績を知って、優越感や劣等感を抱いたりしない為らしい。成績より生徒同士の信頼関係を築くことが第一らしい。

 私も成績で一喜一憂しなくて助かっている。


 前期の試験が終わると、一ヶ月ほど休みがある。その半分をグレッグの別荘に招待された。

 公爵領にある湖の近くに建っているらしい。

 ヒラリーはグレッグから招待されて舞い上がっている。

 アルトも招待されたが、自分の領地に帰ると言っていた。

 側近が皆離れたらアルはどうするのだろうと思っていたら、グレッグの別荘に一緒に行くらしい。

 え、それではグレッグは気が抜けないのでは?と思ったが、昔からその別荘にはアルトも加えて三人でよく行っていたらしい。

 今回はアルの護衛が付いていくので、側近の仕事の心配も無いと言うことだった。

 思いっきり遊んでも良いらしい。

 ヒラリーはグレッグの婚約者として、私はヒラリーの小間使いとして別荘に招かれた。

 公爵家の領地は王都から馬車で3日程の所にあった。

 公爵の領邸で一泊した翌日、アルとグレッグ、ヒラリーと私の馬車二台で別荘に向かった。

 馬車が二台になったのは、別荘近くの道が細くなっていて、大きな馬車だと通れないからだと聞いた。

 ヒラリーはグレッグと二人で乗りたかったようだが、グレッグとヒラリーは婚約者同士だから良いとしても、王子が側近といえど異性と二人で乗るのは良くないと、警備を任された近衛の隊長から注意された。そう言われてしまったら、ヒラリーは私と一緒に乗るしかなかった。

 別荘は領都からまた馬車で1日半程行った場所で、小さな山と湖のある緑豊かな所だった。湖のすぐ側に別荘は建っていた。

 馬車の中から見えたその建物は、バルコニーが湖の上に出ていた。

「ロマンチックな所ねぇ」とヒラリーが言った。

「そうですか?」

 私はロマンチックというより、何か予感めいたものを感じていた。

 この感じは何だろう?

 背中がゾクゾクするような嫌な感じだ。

「まったく、イルカ。あんたときたら雰囲気を壊さないで」

「そうですか?私は嫌な予感しかしないのですが・・・」

 私がそう返事をしたとき馬車が止まった。

 別荘の入り口に使用人が並んでいる。

 アルとグレッグの乗った馬車の扉が開いて、まずグレッグが降りてきた。そしてアルを迎えるように少し頭を下げてアルが降りてくるのを待った。

 アルが降りて、その次に私たちの馬車の扉が開けられた。

 私が先に降りて、ヒラリーに手を差し出そうとしたら、グレッグが横に来て、ヒラリーが降りるのに手を貸した。

 その時鋭い視線を感じた気がした。

 私たちの他には別荘の使用人しかいない。そして、刺すような視線はもう消えていた。

 ここの使用人の誰かだろうか?

 私は疑問を抱えたまま別荘の客人になった。


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