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九話 強襲

「ガレオン、行けそうですか?」

「いつでも」


 彼の返事を待たずに、自分の影から鉄の傘と箒を取り出す。

 私の獲物だ。


「ガレオンは前衛の四人を、私が後衛の四人を、それでいいですか?」

「構わねーよ」

「それじゃあ、行ってきます」


 そう言って、動く場所のドアの扉を開けて、飛び降りた。

 箒を地面に突き刺して、そのまま体を持ち上げて前宙の要領で木に飛び乗る。

 お嬢様に頂いたお召し物だ。

 馬車が巻き上げる砂埃の汚れの一つも付けたくない。

 ガレオンは飛び降りて、そのまま地面に着地した。

 私の動きに比べて、精彩さがない。


「では、しくじらないように」

「お前こそ」

「私はミスをしませんから」


 そう言って、太い木の枝を飛び移りながら、素早く敵の後方へと移動する。

 ガレオンがミスをするとは思えないが、相手に逃げ惑われたりすると厄介だ。

 小さな目的よりも、まとまった的を一気に片付ける方が楽。

 だから、迅速かつ正確に敵を無力化しないと。

 傘を変形させて、柄の部分をトリガーに変えて、先端に砲身を展開。

 箒の穂先が一束にまとまり、鋭く尖る。

 敵の数も少ないし、これだけで十分だろう。

 そう言っている間に、熱源が近づいていることに気が付いた。

 それから数秒後、何本か木の枝を渡っていると、四人の男が馬に乗って移動していた。

 さて、誰がリーダーなのか。

 見た目は全員男。

 人間基準で考えると、強面でいかつい、かもしれない。

 そう考えると見た目が一緒に見えてくる。

 彼らに並走するように木の枝を渡っていくしかないが、あまり時間をかけられない。

 こうしている間にガレオンが足止めしているのと合流するか撤退する判断を下されてしまう。

 何か会話でもしてくれればそれで判断が付くのだが、それもなし。

 しょうがないと溜息をついて、リーダーに当たったらそれまでだと、傘のトリガーを引いた。

 砲身から弾丸が打ち出されるが、火薬を使っているわけではない。お嬢様と神造兵装を合わせた素晴らしき一品だ。

 打ち出された弾丸は静かに進み、四人のうち一番先頭にいた一人の頭を消し飛ばした。

 三人の男が急に馬を止める。

 それと同時に木の上から、私が男たちの前に降り立った。


「だ、誰だ! お前!」


 一番後方にいる男が私に向かって怒鳴ってきた。

 煩い。

 トリガーに指をかけたままにしていたせいで危うく撃ち殺してしまうところだったのを何とか抑え込む。

 まずはこいつらに聞かないといけないことがある。


「あなた方の中に今回の襲撃のリーダーはいますか?」

「な、何言ってやがる! 貴様!」


 あぁ、煩い。

 私がした質問に答えないのが腹立たしい。

 こんなにも懇切丁寧に聞いてあげてるのに、下等な人間が口答えなど言語道断。

 本当に怒りが湧いてきた。


「あ」


 そして、気が付いたら喚いていた男の頭が吹き飛んでいた。

 しまった、やってしまった。

 もし、あれがリーダーだったらどうしようか。

 数瞬悩んだが、気持ちを切り替えた。

 けど、まだ二人いる。どちらかが、その可能性もある。


「貴方たちのどちらかリーダーでしょうか?」


 そう聞くと、突然のことに気が動転でもしていたのか、口がきけなかった男が顔を赤くしてこちらに怒鳴りつけてきた。


「お、お前!な、ど、どうしてくれるんだよ!」


 そう言って、二人の男は腰に手を回すと、こちらに短銃を向けてきた。


「そうなりますか」


 溜息を吐く間に、真っ赤な花が二つ咲くことになったのは言うまでもない。



 馬車から降りて木の枝を駆けていくマリアを見て、動物か何かだと思った。

 ま、それよりも、久しぶりに体を動かせられる。

 あの人形は口は悪いし、お嬢と自分以外の人を見下し態度をとってくるから、腹が立つけど、腕は立つ。

 お嬢といる奴らはみんな腕は立つが。

 さて、そんな事よりも仕事だ。

 このまま待ってるのもいいが、暇だ。

 だから、来た道をそのまま疾走する。

 そして、そんなに走ることなく遠くにそいつらの姿を確認できた。

 馬で駆けてきた奴らを前に堂々と立っていれば、


「邪魔だ! 退け!」


 そう言って一番後ろにいる男が怒鳴ってきやがった。

 どうやらこっちを引こうとしている。

 ひでー奴らだ。

 だから、数歩大きく踏み込んでその男の前に飛び込んだ。


「なっ!?」

「お前が一番偉い奴か?」


 そのままその男の頭を掴んで馬から引きずり落とした。


「そうだと言ったら、な、何だって言うんだ!」

「当たりだ」


 腹に思いっきり一撃を加えて、とりあえず行動不能にしておく。

 その男が悶えている間に次の行動は残りの始末だ。


「ほら、来いよ。一瞬だけど遊んでやるよ」


 俺が一人殴り倒したせいか他の奴らは立ち止まってしまっていたらしい。

 勿体ねぇな。

 もうこいつらの時間の終わりだ。

 三人それぞれ一撃で頭を吹き飛ばす。

 そして、倒れ込んでいる男の首根っこを持って馬車まで向かった。

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