9. 戦闘
火災現場に到着すると、そこにはあの時と同じ光景が広がっていた。倒壊する建物、燃える瓦礫、飛び散った血痕、そしてーーー
『莉ギコヲ縺ッ菴ぎ□雋エLコ倥!“”眠具#』>縺ョ縺』
忌々しい無数のヴァリアント達。何で奴らがここにいるんだ……!? どこかで侵入を見逃していたのか……!? それとも……
「おいクロム! ぼうっとしてる場合じゃねぇぞ!」
「……! ああ…………みんな、昨日の作戦通りに行くぞ!!!」
「「了解!!!」」
「《共鳴》!!!」
―――【金剛牙城】―――
アデルートが叫んだ瞬間、煌びやかな宝石が彼の体を包み込む。その輝きが、奴らのヘイトを買って、一地点に敵が集まる。
「う、うあああああああ!!!!」
「《龍醒》!!!!」
俺は龍人に変身する。もう前のように理性が吹き飛ぶことは無い。強固な宝石がアデルートを守っている間に、俺は集まった敵を一掃する。
敵の攻撃で少しヒビの入ったアデルートの宝石を、リナが魔術で回復させる。
これが、俺たちの考案した作戦。住民への被害を最小限に抑え、俺の魔力消費も抑えながら敵を殲滅していく。
第二波、第三波と来ても、紫炎の刃がたちまち焼き尽くす。が、しかしーーー
「数が多すぎないか……?」
倒しても倒しても、どんどん次の敵がやってくる。段々と、アデルートが集めきれなかった奴らが散開して、別の人間を襲い始める。
「うあああああ!!!! 何で!!! 何で死なないんだ!!!!」
果敢にも立ち向かっていった自警団兵士や冒険者は、皆未知の生物になすすべも無く死んでいく。
その時、衝撃的な光景を目の当たりにした。
兵士を喰らったヴァリアントが、たちまち二つに分裂し始めたのだ。
どうりで数が減らないわけだーーー
ファーヴニル市は、ナーガ市よりも圧倒的に人口が多い。つまりそれだけ、奴らも“増える”ことが可能なのだ。しかも、ナーガ市での戦闘の時は、すでに街中の人間が喰い尽くされていたが、今は違う。奴らは“増え続ける”ことが可能なのだーーー
なら、もう躊躇している暇は無いーーー
「レゾナ……!!」
「待て!!! クロム!!!! 今使っちゃ駄目だ!!!!!!」
「……奴らは人を喰って増え続けてる……! 今やらなきゃ、更に数が増える!!!!」
「今、リナはお前の回復に回れない!!!! お前が無双するには、彼女の回復が必要なんだろ!!??」
アデルートを見ると、ヒビがさっきよりも増えている。回復が追いついていないのかーーー
「自分一人で……なんとかする……!」
「駄目だ!!!!!!!!!」
さっきよりも一層大きな声で怒鳴られる。
「お前が死んだら、この街は終わるぞ!!! 奴らを倒すには、お前の力が必要不可欠なんだ……!!」
どんどん、人の悲鳴が増えてくる。
「クソッ……!! どうすればいいんだ……!!!」
「……! クロム、後ろ!!!!!」
リナの声が聞こえたとき、俺はすでに背後を取られていた。
しまったーーー
ここで……終わるのか……?
目的も果たせず、また何も守れないまま、死んでいくのか……?
ああ、やっぱ俺、無能だーーー
ドオンッ!!!!
その瞬間、巨大な爆発音と共に、敵の首が吹き飛んだ。
奴はすぐに頭を再生させたが、また同じ爆発で吹き飛ばされる。
一体何がーーー
ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ!!!!!!
直後、巨大な羽音のような音が空から聞こえてきた。
見上げると、大量の虫達が、空を覆い隠している。そして、虫達はヴァリアントの方へ向かい、張り付いた途端爆発して、奴らを一時的に無力化する。
アデルートの周りの敵も、連鎖爆発を起こし、絶命には至らないまでも、体の半分以上が消滅していた。
このチャンス、無駄にできないーーー!!
「《共鳴》!!!!!」
龍の如くほとばしる紫炎が、俺の体を一瞬包み込む。そして、剣から壮絶な炎が解き放たれる。
「俺は敵陣に突っ込む!!!! リナ……任せたぞ……!!」
「了解……!!」
まずアデルートの周りの敵を一掃する。そして、街に散開しているヴァリアントを、疾走しながら、片っ端から焼き尽くしていく。
奴らも俺に気づいたのか、今度は一斉に俺を囲みながら襲ってくる。逃げ道はない、がーー
タイミングよく現れた虫が足元で爆発する。俺は高くジャンプしながらその爆風を翼で受け止めて、滑空しながら大量の敵を薙ぎ払っていく。爆発で脚が欠けてしまったが、リナが魔術で回復してくれている。
建物の上に、数体のヴァリアントが蔓延っている。あれが最後かーーー
俺はまた爆風を利用し、一気に飛び上がって、最後の一撃を決める。
「消えろ、害獣共があああああああああーーー!!!!!!」
―――【龍撃・爆炎虚無】―――
やった……今度はちゃんと、守ることが出来た……
もちろん、全てじゃ無かったけれど……
「うっ……!」
急に激しい頭痛、目眩、足元がふらつく。もう倒れそうな所で、リナが俺の体を受け止めてくれた。
「……お疲れ、クロム」
「ああ……ありがとう……」
だが、まだやるべきことがあるーーー ここで倒れるわけにはーーー
直後、大人数の足音が聞こえてくる。
「……! これは……全て君たちがやってくれたのか……?」
「……あなたは……?」
「ファーヴニル自警団長、バルデン・グライスだ」
「……団長さん……お願いがあります……壁の周辺を調べて、奴らが侵入してきた形跡がないか……確認していただけませんか……? もしかしたら……奴らは外からじゃなくて……中から……」
そこまで言った後、団長の表情は一変し、すぐに自分の部下へ指令を送った。
リナに担がれながら、アデルートとも合流し、宿の方向へと向かっている最中。
見覚えのある少女が、おぼつかない足取りでこちらへ向かってきた。
「……ルミス……?」
よく見ると、ルミスは片手に短剣型の魔導具を握っていた。
「あの虫は……ルミスがやってくれたのか……?」
「……はい……クロムさん……私……役に立てましたか……? 守られるだけじゃなくて……私……みんなを助けられましたか……?」
「……ああ……みんな……君に助けられたよ……」
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