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1. 追放

『縺翫>縺ッッグウ>縺?♀縺?キHシェh縺翫#$%&Vッ』


 地下牢を出た瞬間、耳障りな鳴き声が聞こえる。


 ブチッ……バキバキバキッ……クチャァ……


 見知った人間が、そこら中で喰われていた。

 建物はほとんど倒壊し、一面が焼け野原になっている。


 その日、俺の街は崩壊した。


 醜い異形の怪物達によってーーー


◆◆◆


「……きて……起きて……クロム……」


「……う゛っ……あと五分………」


「…………起きなさい!!!!!!」


「ごはっ!!!!!!!」


 布団越しに、腹を本気で殴られた。


「はぁ……やっと起きた……いつも母さんが起こせると思わないでよ?」


「息子の腹殴る母親がいるかよ……」


 しぶしぶ、俺は支度を始める。母さんは、朝食の準備を済ます為、キッチンへと戻っていった。


 着替えと荷支度を済ませて、食卓につく。


「今日もモンスター狩りに行くの?」


 母さんは俺の目の前でコーヒーをすすりながら、俺に聞く。


「……そうだけど」


「あんま無茶しないでよ……?」


「わかってるよ……」


「パーティの人たちとは上手くやってる?」


「……母さんには関係ない」


「そっ……まあいいけど」

 

 これ以上ずけずけと自分のことについて聞かれるのにたえられなくて、席を立つ。


「………もう出る」


「あっ、ちょっと待って…!」


 玄関のドアを開けようとしたところで母さんは俺を呼び止めた。


「いつもの」


 そう言ってミサンガをつけている右手をこちらに向ける。


「はいはい…」


 面倒だなと思いつつ、俺も同じ様に、ミサンガを付けた右手を上げて、ハイタッチした。






ガキィィィィン!!!


俺達のパーティ、ゲオル、ミハル、アデルートは、街の外の草原で二体のゴブリンと戦闘していた。


「ぐっ……ぐぬっ……!」


重騎士のアデルートが、魔術で硬化させた盾でゴブリン一体の攻撃を受け止める。


「ガアアァァァッッッ!!」


 しかし、目の前の一体に集中しすぎて、二体目のゴブリンに背中を取られる。


「危ない!!!!」


危機一髪、アデルートに致命傷が入る寸前で、後方支援のミハルが風魔術でゴブリンを吹き飛ばした。


「うぐっ……! おい、無能野郎!! 早く薬持ってこい!!」


「はっ……はいっ!!!」


俺は背負っていたカゴから回復薬を取り出し、アデルートに投げ渡す。


「……ったくおせーんだよ対応が!!」


アデルートは文句を言いつつ背中の傷を回復させた。


「ゲオル、今!!!」


 ミハルが風魔術でゴブリンの動きを封じながら、攻撃役のゲオルに合図を送る。


「了解! 

共鳴(レゾナンス)》―――【火炎斬り(フレイムスラッシュ)】!!!!」


その瞬間、ゲオルは炎を纏った剣でゴブリンの体を真っ二つに焼き斬った。


「よっしゃ!ミッション成功!」


共鳴(レゾナンス)》。自身と魔導具を文字通り“共鳴”させることで発動する、強力な魔術。人にはそれぞれ固有の“魔術特性”があり、その特性と合った魔術を使用することが出来る。

 ゲオルは【火】、ミハルは【風】、アデルートは【硬化】、そして……


「じゃっ、ゴブリンの死体運びはヨロシクな!クロム!」


俺の魔術特性は【無】だったーーー


親父が死んでから、俺は稼ぎを得る為に冒険者になる事を決めた。しかしその為の特性鑑定で自身の特性を初めて知り、落胆した。

魔術特性は先天的なもので、努力などで変化させることは出来ない。そして、基本的に両親のどちらかから遺伝的に受け継ぐ物なのである。


俺は母親の魔術特性を受け継いでしまった。


「はぁ〜、クロム、荷物持ちのお前が羨ましいよ。命掛けて戦わなくていいんだもんなァ? 薬草と死体だけ運んでりゃあ給料が入るんだもんなァ!?エェ!?」


「アデルート、その辺にしておけ。クロムは特別に、俺たちより少ない報酬で頑張ってくれてるんだぞ?」


 クソっ……なんで俺ばっかりこうなんだ……! 魔術特性を継がせた母親、常に嫌味を言ってくるアデルート、ゲオルやミハルだって、内心俺を見下している。自分より優っている人間が全て憎い。


「アデルート、そういう事ばっか言ってると、“龍人”に襲われても誰も助けてくれないよ?」


「ハッ、 街を喰い潰すっていう怪物か? あんなの只の噂だろ?」


 ミハルの言う“龍人”、俺も聞いたことがある。普段は人間の姿をして街に潜んでいるが、人を襲う時には鱗が現れツノが生える、半分龍の特徴を持った人間の事らしい。

 だかこの街でそんな奴が出たと言う話は聞かないし、もし居たとしても人一人で街を崩壊させるなんて非現実的だ。そもそも“龍”自体伝説上の生き物であるし、やはり只の噂なのだろう……

 でも、もしそんな奴がいたらーーー


 ドンッ!


「あっ……す、すみません!」


 しまった、一人で考えごとをしていたら通行人にぶつかってしまった。


「い、いやこちらこそごめっ……」


 その姿を見た時、俺は言葉を失ってしまった。

 真っ白なローブに身を包んだ白髪の少女、年齢は自分と大差無いだろうが、背丈は俺より少し低い。華奢な右手には槍型の魔導具を握っていて、ローブの下からは細くて美しい脚が見えている。肌は雪のように白く、その綺麗な金色の瞳に吸い込まれてしまいそうだった。


 俺が放心している間に、彼女は俺達と反対側にに走り去っていった。


「おー、スッゲェ綺麗だったなあの子……」


「何かから逃げてる様にも見えたけど……」


 俺はただ黙って、美しい白髪をたなびかせ走る彼女を目で追っていた。


『繧ッ繧ス縺ウ縺ゥ縺ギ後▲ゴ溘s縺?』


 なんだ……? 今の音……?

 

 振り向くとそこには、見たことのない奇妙なバケモノが立っていた。

周りの住民達が一斉に悲鳴を上げ、その瞬間、俺達の警戒心は一気に高まる。


「なっ……? モンスターは街には入れないはずだろ……?」


 珍しく、いつも笑顔のゲオルの顔が引きつっている。


ドクンーーー


 突然、自分の鼓動が速くなるのを感じた。


なんだ……? 


その鼓動に合わせる様に、恐ろしい程の嫌悪感がドクドクと胸の内から湧き上がってくる。

こいつを今すぐに殺せと心臓が訴えかけてくる。身体が焼けるように熱い。自分の肉体から蒸気の様なものが噴き出す。


「……? クロム、大丈夫?」


 殺す……殺す……こいつを……


「コロスウウウウゥゥウうううううあうあああああァァァあああ!!!!!!!」


 瞬間、理性が飛んだ。拳で“奴”の首を吹っ飛ばす。これではまだ死なない。俺は“奴”の原型がわからなくなるまで、ただひたすらに殴り続けた。

 

「キエロ……オレノマエカラ…………キエロ……!!!!!」

 



気づいた時、“奴”はただの肉塊と化していた。


「俺がやったのか……?」


間違いない。俺は初めて自分の力だけで敵を倒した。

やったぞ……これであいつらも……!

そう思って振り向くと、彼らは見たことの無い顔で俺を凝視していた。


「自警団っ!こいつ、“龍人”だ!こいつがモンスターを街の中に入れたんだ!早くっ……早く捕まえてくれぇぇ!」


 アデルートの言葉を聞いた時、やっと彼らの表情の意味に気づいた。―――恐怖。さっきの謎の怪物に向けていたものと同じ、いや、それ以上のものが俺に向けられていた。

 直後、俺は二人の自警団兵士に拘束された。ゲオルもミハルも、街の人も、それを止めようとはせず、ただただ恐怖の目を向け続けていた。

 なんでだ……? 俺は今お前らを助けたんだぞ……? 奴は普通のモンスターじゃなかった、それを俺一人で倒したって言うのに、どうして……!?


 その日、俺は追放された。

 

街を喰い潰す“龍人”としてーーー


「面白かった!」


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