決意の未来
「無意味な戦いはやめろ…死神」
姿を見せた高坂の言葉に、すべての新真悟が動きを止めると、一人だけになった。
「無意味?何も無意味ではありませんよ。大人しくあなたが、その銃を我々に渡し、その力を彼女に譲渡すれば、総てが終わりますよ」
ゆっくりと近づいてくる新真悟に向かって、高坂は肩をすくめて見せた。
「それも、無意味だと言っている」
高坂は、新真悟を見つめながら、装飾銃を突きだしだ。
「あなたがその銃で、何度我々を撃とうと、我々は無限にいる!それこそ、無意味ですよ」
笑う真悟に、高坂は笑い返すと、装飾銃を回転させ、銃口を自分に向けて、引き金を弾いた。
「な!」
絶句する真悟に向かって、高坂は光を喰らいながら、告げた。
「もう死神は、我の世界にはいらない」
「ば、馬鹿な!」
後退ろうとした真悟の体が消えていく。
「我こそが…テラだ!」
高坂が叫んだ瞬間、装飾銃が分解し光になると、高坂の体に吸収された。
「馬鹿兄貴が…これでよかったんだろ?」
高坂は、ふうと息を吐いた。
「て、テラ!?」
あっという間に、事態が収集され、目を丸くする光が輝。
「フン」
鼻を鳴らすと、和幸はジャンプし、高坂の前に着地した。
そして、片足を地に付け、膝間付いた。
「新しきテラよ。マスターから、伝言を頼まれておりました。また何時でも、コーヒーを飲みに来て下さいとのことです」
「お見通しでしたか」
高坂は、苦笑した。
「では、これで」
和幸は立ち上がると、もう一度アタマを下げ、歩き出した。
「待って!」
緑の手を払いのけると、真理亜は叫んだ。
「…」
和幸は足を止めたが、すぐに地面を蹴りジャンプすると、その場から姿を消した。
そんな和幸の後ろ姿を振り返り、高坂は静かに見送った。
「一件落着というか…ぶ、部長がテラ!?」
部室に戻った輝は、天を仰いだ。
「まあ~いつも無理しますし、神の力があった方が少しは安心できます」
コーヒー片手に、部室を歩く緑。
「テラになったといっても、何の変化も実感もない。装飾銃を貰った時と同じだ。使い方がわからない」
ソファーに腰かけると、緑からコーヒーを受け取る高坂。
「またですか!」
輝は、髪をかきむしった。
「だからこそ、テラになれたのかもしれんがな」
高坂は、コーヒーを一口すすった。
「部長のお兄さんも、部長を心配して、テラの力を授かるように仕組んだんですかね」
パソコンのキーを叩きながら、舞が言った。
「いや…」
高坂はコーヒーカップを、テーブルに置いた。
「案外、本当の地獄に叩き込む為かもしれんな。アイツがいる…同じ地獄にな」
フッと高坂が笑った。
高坂の言葉に、部員達の動きが止まる。
「しかし、でないと…地獄にいる人達を救えない」
高坂は立ち上がった。
「我々は、学園情報倶楽部だ。神も悪魔も相手にする」
その言葉に、部員達は頷いた。
高坂も頷くと、動き出した。
「さあ~次の依頼だ」
チェーン-クラッシャー(運命破綻者)完結