表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
543/563

鮮血の紅い瞳

「く、くそ!」


アルテミアの姿になった三藤明と戦う魔物。


「…」


その様子を少し離れた場所から観察しているのは、カレンだった。


カレンは腕を組みながら、目を細めた。


(この世界は何だ?)


よくよく魔力を探ると、本物の女神程の魔力はない。


(偽者か?)


と考え悩んでるでいるカレンの耳元で声がした。


「この前、逃がした…小娘」

「!」


カレンは目を見開きながらも、ピュアハートを取りだし、後ろに斬撃を放った。


「クス」


ピュアハートは、ネーナの鉤爪に受け止められていた。


「お前は、誰だ?」


カレンは地面を蹴り、後方にジャンプし、距離を取った。


「…」


ネーナはじっと、カレンを見つめていた。


「お前は、ネーナではない」


カレンは、ピュアハートを水平にした。


「フッ」


ネーナは、口許を緩めた。


(試すか)


カレンの脳裏に、昨日斬った男の姿が浮かぶ。目の前に立つネーナと感じる雰囲気が似ていた。


(いくぞ)


ピュアハートの能力を使おうと、カレンが決めた瞬間、ネーナは力を抜いた。


「どうやって来たのかわからないけど、あなたは普通の人間のようね。いえ…言い方を間違ったわ」


ネーナの姿が変わった。


「強い力を持つ人間」


「!」


カレンは、ピュアハートの能力を発動するのを止めた。


「ネーナのことを知っている貴女は、恐らく…ブルーワールドの住人ね」


ネーナは、学生服姿の少女に変わった。


「あんたは一体」


カレンは、ピュアハートを下ろした。


「私の名は、矢木千鶴。クラーク・パーカーの血筋」


千鶴の口から出た名前に、カレンは絶句した。


クラークは、カレンの師匠であるジャスティン・ゲイの友であった。この世界で、出る名前ではない。


(何者だ?)


カレンは、千鶴の全身を凝視した。


そんなカレンに、千鶴は微笑みかけると、


「私はこの世界の力で、ブルーワールドの魔王を倒したいの?」


逆に、カレンの目を真っ直ぐに見つめ返した。


「貴女…。私と組まない?」


そして、カレンに向かってゆっくりと、手を伸ばした。






「須佐!」


リンネにやられ、地面に倒れる須佐に、天照が駆け寄った。


「くっ!」


須佐は指で地面を抉ると、すぐに立ち上がった。


「こ、殺す‼」


血走った目で、リンネを探す。


「いいですね」


突然、須佐達の目の前にタキシードの男が現れた。


「あちらの方も上手くいっているようですし」


タキシードの男は須佐を見つめ、


「人殺しの赤の王。これはレアだ」


微笑んだ。


「邪魔だ!どけ!」


須佐は顎を上げ、タキシードの男を睨んだ。


「程よく闇がブレンドされている」


「退けと言っている!」


須佐の背中から炎の翼が生えた。


「しかし、まだ熟成が足りない」


「邪魔だ!」


須佐は手刀をつくると、タキシードの男に襲いかかった。


「最後のスパイスを入れましょうか?」

「え」


須佐の翼から離れるように無意識に移動した天照は、何かに引っ張られるような感覚を味わった後、体の奥から内側までを燃えつくすような熱を感じた。


「さぁ~どんな料理が出来るのか。楽しみです」


タキシードの男は、その場から消えた。


「あああ」


須佐の口から、嗚咽に似た声が洩れた。


「す、須佐…」


須佐の腕が、背中から天照の体を貫いていた。


「あ、あたしの…か、神様」


天照の口から、血が流れた。


「あああ」


無意識に腕を抜いた瞬間、須佐の体に天照の鮮血が大量に降り注いだ。


「うわあああ!」


絶叫する須佐の目が、天照の血に反応して紅く染まる。


スローモーションのように倒れる天照。


しかし、その体は地面につくことはなかった。


須佐の背中の炎の翼が膨張し、爆弾のように破裂すると、周囲を吹き飛ばし、火柱のように天に向かって、炎が暴走した。





「何?」


須佐達から少し離れた場所にいた幾多は、爆風に飛ばされながら熱に身を焼かれていた。




「火柱!?」


学園からその様子を見た高坂は、装飾銃を握り締めると、その場から走り出した。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ