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奇跡の力3

「お金の代わりに使えるのは魔石だけみたいですね。あと、購入可能物資に木材と石材と土が増えました」


 家の前の開けた場所で行った実験で、魔石支払いで購入した物資を地面を置いてユヅキが教えてくれた。


「鉄はないの~?」


「ごめんなさい、金属系はまだないみたいです。たぶん何かきっかけがあれば増えると思うんですけど……」


「う~ん、じゃあ仕方ないからこっちを先に作るかな~」


 ユヅキが購入した物資――大量の“粘土”を手にしたミユが能力を使った。


「【作成】発動、窯になれ~!」


 たったそれだけでミユの腰丈と同じくらいの大きさの窯が出来上がる。


「もう一回【作成】~! 炭になっちゃえ~!」


 そして、今日伐りだしてきた木材を持ってミユが能力を使うと、一瞬で真っ白な炭が出来上がった。

 両手に一本ずつ持った白炭を手に持ってぶつけ合わせると、コンコンとよく焼き固められている音がした。


「う~ん、いい音~♪ これで火をつけても煙たくないね~♪」




 今にも潰れそうだった古ぼけた猟師小屋が、たった一日で変貌してしまった。

 隙間風の吹き込む壁や雨漏りがする屋根はしっかりと補強が施され、家具のほとんどなかった室内にテーブルや椅子、棚などが設置された。

 薄い塩味しかついておらず具もほとんど入ってなかった麦粥の食事も、今では焼きたてのパンと暖かい煮込み料理にとって代わり、しかも食材の残りを心配する必要もない。

 職人ミユ商人ユヅキの力で俺の生活はあっという間に変わってしまった。


「凄いな二人とも……はぁ、このクリームシチューという料理も凄く美味い……」


 生の牛乳を贅沢に使った料理なんて高くて普段は食えないのに、本当に聖女様々だ。


「あ~。ティナちゃん不機嫌になってる~」


「……ふん」


「ん? どうしたんだ?」


「も~、カイさんのせいだよ~」


「あの、多分、私たちだけ褒めて、ティナさんのことを褒めなかったからだと……」


 ぷい、とそっぽを向いたティナを見て二人に責められた。


「ええぇ……マジか……。えーと……さすが忍者だな……?」


 何て言えばいいのか悩んで、咄嗟に適当な誉め言葉出てしまった。


「……本当にそう思う?」


「え? あ、うん……あの量のモンスターを一人で対処したんだから凄いと思うぞ……?」


「そうそう~。さすが忍者~!」


「さすがです!」


「……ま、まあ、忍者すごくて当然だから」


 俺の誉め言葉に乗っかった二人が口々にティナを――正確には忍者を褒めるとすぐに機嫌を治してくれた。とりあえず忍者を褒めておけばいいらしい。ちょろいな。



 というわけで、ティナがモンスターを狩って魔石と素材集め、その魔石でユヅキが物資を購入し、ミユが加工するという流れが出来上がった。

 モンスターを狩るだけならティナ一人でできるが、遺骸をその場に残してしまうのも勿体ないのでユヅキのアイテムボックスに入れて運ぶ。そしてミユも二人について毎回森に入ったので、日中は小屋から一人もいなくなってしまう状態である。


 そんな無人の猟師小屋に近寄る三人の怪しい人影が存在した。

 怖い知らずの若者たちが

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