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第十二話

 

 猛烈な痛みが吉良点豪を襲う。クリスタルは無事だったが強い衝撃を受けてしまったため、透過の力が失われて、吉良の姿が露わになった。


 「ど、どうして俺のことが視認できたんだい?」

 こんな時でも、吉良はポーカーフェイスを装い、余裕を見せる。


 「視認?そんな事はしていない。俺はただ吉良、お前がおおよそどこにいるかが分かるってだけだ。」


 「は?いくら視力が良くても僕のことは誰一人として見えていないはずだよ?ハッタリをかますのもいい加減にしてくれ。」

 訳の分からない答えに吉良は動揺している。


 「俺のアウラは感覚制御だ。」

 その言葉で吉良は全てを察した。


 「なるほど…、感覚制御ね…。つまりは音か。」

 確信を突く答えに日吉も頷く。


 「そう言うことだ。俺の聴覚は今や人の何十倍もの拡張が施されている。お前の心拍数でさえこの耳は聞き逃さない。」


 「そりゃ参ったよ。」

 苦笑いを浮かべたFクラスチームリーダー吉良点豪は自らクリスタルを差し出す。


 ふと、吉良に苦笑いとは違う、不敵な笑みが見えた。


 「ぐわっっ!」

 蹴り飛ばされた手と共にクリスタルがバラバラになった。

 日吉はクリスタルを取らずに、そのまま吉良の手ごと蹴り飛ばしたのだ。


 試験終了のブザーが会場中に響き渡った。



 俺はヒヤリとした感情を抑えながら、今度こそ吉良に手を差し伸べる。


 「…っ、あっはっははははは!」

 吉良が大声で笑い飛ばす。

 

 「あっはっはっは!…。いやぁ完敗だよ。最後の最後まで油断しなかったね。」

 吉良は俺をそう褒め称える。


 「お前が俺たちHクラスの座標を移動できないことから予想しただけだ。大したことじゃない。」


 「いやでも、良く気づいたよ。そう!俺は一度手で触れたものしか座標移動はできない。しかも制限時間付きだよ、そんなに便利なアウラじゃない。」

 つまり味方の3人には前々から手で触れておいたのだろう。しかし、俺たちHクラスの人間には触れていなかったので座標移動が出来なかった。

 もしさっき、俺が手渡されたクリスタルを受け取るようなことがあったら、その瞬間に俺に対しても座標移動が適用されて、どこかにテレポートされてしまっていただろう。

 予め予想はしていたが、少しひやっとしたな…。


 吉良は俺の差し伸べた手をがっちりと取り、立ち上がった。


 「今からどっかにテレポートさせてあげようか?」


 「…勘弁してくれ。」


 「冗談だよ。でも、今度戦うときがあったら絶対に負けないよ。」

 そんなことを語らいながら、俺たちは会場を後にしていった。


◆◆◆


 Fクラスに勝った俺たちは、そのままGクラスをほぼ神代一人の力で粉砕し、決勝まで残った。

 どうやら決勝の相手は…、Bクラスらしい。望んでいなかった事態になってしまった。


 決勝まで進むと、他会場で負けたチームなどが観戦しに俺たちのスタジアムまでやってくる。客席も結構埋まって来て、少し不安になってくる。


 「おい!マジでこのまま俺たち優勝しちまうんじゃね?」

 秋城が意気揚々と高ぶっている。


 「油断は出来ないわよ。Bクラスには黒崎くんがいるんだから。」


 「確かに準決勝も観たが、黒崎がほぼ一人で決着させてたな。」

 リーダーのクリスタルを破壊するというルール上、相手の虚をつけることができる瞬間移動はかなり厄介だ。とは言え、自分以外を何でもテレポートできる吉良のほうが、アウラとしては優秀な感じも否めない。


 「決勝でも期待してるぜ、八神。」

 秋城が俺の肩を組んでくる。二回戦での活躍で、少しは認めてもらえたのだろうか。


 「本当にその通りね。八神くんがいなかったらあの時負けてたかもしれないもの。」

 神代は落ち着きを取り戻し、サバサバ感が戻って来ている。

 そう言った神代は突然俺の耳元まで顔を近づけてきた。

 近い近い近い。


 「…八神くんは、とっても頼りになる人だものね。」

 甘い吐息が耳に触れてくすぐったい。神代の顔は心なしか少し赤い気がした。


 「…っ、」

 俺は少し恥ずかしくなり、何も言えなかった。

 神代との距離も先ほどの二回戦で少し縮まった気がする。…正直ちょっと嬉しい。


 しかし、差し当たって俺だけは問題がある。決勝のBクラスだ。先ほどの準決勝でしっかりと確認した。ゆりがいる。きっとあっちも俺がいることはもう気付いている。

 正直、ゆりに蹴りや剣をお見舞い出来るとは到底思えない。ていうか絶対無理。ちょっと前に運命の再会をした幼なじみに試験とは言え暴行などもっての外だ。


 「あの、こーくん…」

 

 「……。」


 「こ、こーくん!」

 ん?なんだか俺を呼ぶ声がする。もしかしてあの世からの迎えが来たか?とくだらない事を思って振り返ると、そこには少ししょんぼりした顔をした幼なじみ、樫時ゆりが立っていた。




 

 

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