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第二話

第一話を読んでくださった方々、ありがとうございます!

引き続き第二話です!


 「ようこそ未来ある学生の皆さん。」


 芯のこもった声音で老婆はそう切り出した。

 「私が皆さんがこれから入学する国立和泉野宮学園の学園長である酒々井香乃(しすいこうの)でございます。」

 

 このお婆さんが学園長だったのか…。


 「皆さんはこれから3年間、この学び舎、和泉野宮学園で貴方達が天より授かったアウラを活かすために、学んでいただきます。」

 「アウラ、それは貴方達がご両親、もしくは先天的に天から授かった祝福でございます。それは戦であり、工業であり、人間関係であり、様々なところで皆さんを助けてくれる能力です。それを活かすも殺すも貴方達の努力次第。ぜひ、このご縁を大切にして、ご学友達とともに切磋琢磨していってください。」


 酒々井学園長はそう締めくくり、ゆっくりとステージ裏へと消えていった。

 

 酒々井香乃と言えば少し前に聞いたことがある。数十年前の異能界を支えた英雄的異能師である。年老いて現役を引退した後は後身の育成に力を入れているとは聞いたがまさかこんなところにいたとはな。


 学園長の挨拶も手短に終わり、その他諸々の儀式もつつがなく済み、もうそろそろ終わりかな、早く帰りたいなと思っていたところ。


 「在校生代表の言葉。」


 そう銘打って、一人の女子生徒が登壇してきた。

 艶のある黒髪の美人である。しかし、彼女もまた少し小柄なイメージで隣の妖精さんよりは少し大きいが、か弱そうなイメージは変わらなかった。


 「新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。生徒会長の観月奏(みづきかなで)と申します。入学したての皆さんには少し重い話になってしまうかもしれませんが、私はこの学園の本質は競争にあると考えています。」


 自分を生徒会長と名乗った彼女は見た目とは裏腹にきっぱりと語った。

 国立の高校ともあって、和泉野宮学園は教育カリキュラムが謎に包まれていることが多い。それでも入学希望者が絶えないのは、日本を代表する異能師はほとんどがこの学院出身という実績あってのことなのだが…。


 「皆さんはこれから同じクラスの友人、他クラスの生徒、はたまた学年の異なる生徒とも凌ぎを削って行かねばなりません。」


 なるほど、予想はついていたが、やはり生徒同士を競わせることによって異能の力を磨く方針なのか。


 「当校の厳しい入学試験を合格した皆さんです。ぜひ自らの力を極限まで高めて、()()()()()()()()頑張ってくださいね。」


 最後は不穏な笑顔を俺達に向けてステージ裏へと消えていった。

 

 式が終わり、俺の教室である1年H組に移動する。

 教室は思ったよりも普通の教室で、黒板にそれぞれの机、また、鍵付きロッカーなど一般的な学校のそれと近いようだった。

 俺は特にすることも無かったので自分の席に座った。隣の席は…先ほども隣に座っていた妖精さんだ。

 彼女も誰かに話しかけたり、もちろん俺にも話しかけようとせず、真っ直ぐ前を見ていた。

 

 クラスの雰囲気はぼちぼちと各々で話しかけたり、自己紹介したりなど会話が出てきている。

 同年代の友人がほとんどいない俺は誰かに話しかけることができない。もし嫌がられたらどうしよう、とかそんなことを思ってしまう。ヘタレでごめんなさい。

 

 しかし、今日の俺はいつもとは違う。そう、せっかくの学生生活だ。友人の1人や2人や3人は欲しい。もしかしたら恋人だって…とそんな期待さえ芽吹く。

 

 まずは隣の席の妖精さんに話しかけてみることに決めた。まぁ一回話したし、もう一押しでしょこれ。


 俺は彼女のほうをチラチラっと見る。多分、というか絶対かわいい部類に入ると思う。

 神秘的な雰囲気に見入っていると、彼女もこちらをじっと見ていることに気がついた。


 「あー、えーとその…」


 「私に何かご用ですか?」

 俺が言葉に詰まっている間に彼女のほうから問いただしてきた。


 「いや、なんでもない。ごめん。」

 よく分からないが謝ってしまった。俺ってやつは…

 

 「要もないのに人をチラチラ見るの、やめた方がいいと思いますよ。」


 思ったよりもバッサリ言われた。何この子以外と辛辣な妖精ちゃんなんだな…。


 「………」

 完全に言葉を無くした俺は1人机に突っ伏していた。あぁ恥ずかしい…。

 彼女も何事もなかったかのように前に向き直った。

 コミュニケーションって難しいんだな。


 その時、がらがらと教室の扉が開いた。入ってきた男性は教師用の緑のペンダントをしている。どうやら担任のようだ。

 先生が入ってくると、教室は一気に静まりかえった。担任と思しき人物は、「体育会系」という感じの中年男性だった。


 「俺が今日からこのクラスの担任になる。剣持上(けんもちのぼる)だ。皆、これからよろしくな!」

 そう軽く挨拶した担任はそそくさと話を進めた。


 「まぁ俺の自己紹介はいいとして、そろそろあれだろ、お前らの自己紹介だろ!」


 その言葉を聞いた俺は生唾をごくりと呑んだ。これめっちゃ緊張するやつじゃん…。

 

 


 本作を読んでいただき誠にありがとうございます。

 もし、本作に興味を持ってくれた方はぜひブックマークや評価をしていただけると嬉しいです。  

 また、誤字脱字の報告、感想や気になることなど、バシバシ受け付けておりますのでご気軽に感想やレビューお待ちしております。


 第一話を読んでくださった方、また感想や評価をしてくださった方、本当にありがとうございます!皆さんが読んでくれているという事実が作者の励みになります。本編タイトルと同様に「できるだけ」ご感想には返信していきたいと思いますのでよろしくお願いします!


 さて物語ですが、今回は主に学校の説明がメインでしたね。「暗躍者とか言っといて全然暗躍してないじゃん!」と思った読者様、ご安心を。次話では日吉がその片鱗を見せてくれるやもしれません。

 その第三話ですが、作者の気まぐれで本日の夕方に投稿しようと思います。興味のある方は是非チェックしてみてください!

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