第八話
お待たせしました!
放課後、俺はある人を校門で待っていた。俺もとうとう校門前で待ち合わせする時が来たなんてな…。
「こー君!お待たせ!」
そう元気な声を上げてこっちに走ってくるのは先日、衝撃の再会を果たした樫時ゆりである。
「じゃ行こっか!」
そう、今日俺はゆりと一緒に下校する約束をしていたのだ。久しぶりで緊張はしているが、それと同時に楽しみな感情もあった。
「ゆりは試験大丈夫そうか?」
「え…。」
ゆりの顔が青ざめる。大丈夫じゃなさそうだな…。
「試験のことは言わないで!忘れようとしてたのに!こー君は頭良さそうだから羨ましいよ。」
「別に頭が良いわけじゃない。ただしっかり勉強してるだけだ。」
「な、なにそのあたしがあたかも全く勉強してないみたいな言い方!」
「え、違うのか?」
少し意地悪に言ってみる。
「ち、違うわけじゃないけど…。いいもん!あたしは明日実技で挽回するもん!」
「実技、自信あるのか?もしかして。」
そんなに幼なじみのアウラがヤバかったとは俺知らなかったよ。
「いや別にあたしは凡の凡なんだけど、チームメイトに黒崎くんっていう強い人がいるんだよね。」
黒崎…、聞いたことないな。ゆりはBクラスに所属しているらしいが、Bクラスの実力者なのだろうか。
「そいつはそんなに強いのか?」
「そりゃそうよ!なんだって一年の実技ランキングでは6位にランクインしてるんだよ!」
確かにそれは優秀だな。神代が同ランキングで4位であることを考えるとほぼ同じくらいの実力を持っている可能性がある。まぁまだ一年のこの段階なので、ランキングの完成度が高くないのも事実ではあるが。
「こー君は実技はどうなの?」
「俺も凡の凡だ。ただし、同じチームに天下七家の神代がいる。」
チームメイトの豪華さはゆりのところにも引けを取らないだろう。
「えぇー!あの神代さん?それこそこー君ラッキーじゃん!」
「まぁな。目指すは優勝だ。」
一応チームではそういうことになっている。
「おー頼もしいねー!」
そう言うとゆりは少し歩く足を早めて俺の前に立つ。薄桃色の髪が風に揺れる。
「ねぇこー君。これからも一緒にこうやって帰ろうね。あたし、こー君にこの学校で会えて本当に嬉しい!」
俺の心が騒ついた。
今まで、ここでの学校生活を任務の一環と俺は考えていた。
しかし、ゆりの一言は俺がこの和泉野宮学園で生活していく一つの理由となりうるのではないか。
ゆりは俺と会えて嬉しいと言ってくれた。きっと俺も一緒なのだろう。
7年前、ゆりと一緒にいた頃、それが俺の、俺という人間を形作っている大半なのである。
楽しかったあの頃を取り戻せたような気がして、だからこそ俺はこの学校生活を始めて手放したくないと、そう感じた。
◆◆◆
中間試験の概要発表から早一週間、とうとう試験本番がやってきた。まずは筆記試験である。これは事前にしっかり学習していたため難なくこなすことができた。
明日に控えた実技試験に向けて各チームが最終調整を行っていた。
「それじゃもう一回確認するよ。前衛は私と八神君、後衛は無野さんと秋城ってことで。1回戦はDクラスだけど目立った生徒はいないから問題ないと思う。」
放課後、俺たちHクラス第一チームも最終確認を行っていた。
「だからって油断は大敵だ。おい八神、しっかり敵の頭とって来いよ。」
「ああ、任せろ。神代もいるしな。」
「あれ?来夏って呼んでくれないの?」
…神代は以前の凪沙とのことを言っているのだろう。
「…あの時のことは忘れてくれ。」
もうマジで勘弁してくれ。
「俺らの第一グループは勢力的にはどうなんだ。」
一回戦のDクラスに目立った生徒がいないのは分かったが、それ以外のクラスはどうなんだろうか。
ちなみに俺たちHクラスチームは10チーム中6チームがもらえるシード権がもらえず、一回戦からの出場もなる運悪きチームだ。
「まぁDクラスが大したことないのはさっき言ったけど、問題は2回戦で当たるFクラスと決勝までいったらに当たるかもしれないBクラスね。」
Bクラスか、ゆりのクラスだな。
「Fクラスには優秀なサポート能力を持った生徒がいるらしいよ。」
「あぁ、吉良点豪だろ。あいつはムラっけあるから運良ければ試験に出ても来ないかもな。」
どうやら秋城が知っているらしい。試験に出てこないってそんなのアリなのか?
「そしてBクラスの第一チームには学年ランキング6位の黒崎君がいるのよね。彼のアウラ瞬間移動はこの試験ではかなりの脅威になるわ。」
確かにこの試験でフィールドを自由に動き回ることが可能なアウラではあるな。
…ん?黒崎?なんかどこかで聞いた気が…。
ゆりとの会話を思い出し、俺はゾッとした。
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