表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/26

第三話

 深夜更新申し訳ありません…。


 「おい、八神っつったか?てめえに前衛が務まるのかよ?ランキングも大したことないくせに。」

 秋城から当たり前のような反応が返ってきた。


 「確かに八神君の感覚制御(オーバーセンサー)はあんまり戦闘向きのアウラではない気がするけど。」

 

 「まぁそうかもな。でも俺なら戦わずとも勝てる。」

 自信はある。まぁヤバいやつと当たらなければの話だがな。

 

 「すごい自信ね。理由を教えてもらってもいい?」


 「ああ。」

 俺は今回の作戦について話した…。


◆◆◆

 

 「異論ねぇよ。」

 そう秋城が答えると無野も小さく頷く。

 秋城は無茶苦茶な言動も多いが、その裏、しっかりと考えてものを言っている。

 こういうところが名門和泉野宮学園に入学できる素質の一つなのであろう。威圧的なのは間違い無いが…。


 「私も。なんだか本番が楽しみね。」

 

 「感謝する。本番はベストを尽くそう。」


 「おう。目指すはもちろん優勝だぜ!」

 優勝?そんな高い目標だったのか。


 「確認なんだが、俺たちは優勝を目指してるってことでいいんだよな?」

 

 「私はそのつもり。いくら試験とはいえ、こういうのでヘマするとお父様が黙ってないもの。」


 神代はお嬢様中のお嬢様。天下七家の一角である分、求められる水準は高いのだろう。


 「わ、わたしは優勝とはいかなくても…。せめてそれなりの成績が取れれば、いいので。」

 普通の生徒はこれぐらいの感覚だろう。てか、俺もそんな感覚だった。

 

 時刻は夕方の5時を回っている。これ以上話を長引かせるのはまずそうだ。白屋敷まで徒歩で15分ほどかかる。ただでさえイライラしていた上司をこれ以上待たせるわけにはいかないだろう。


 「悪いんだが、このあと予定があってな。そろそろ帰ろうと思うんだがいいか?」

 

 「そうね、明日も学校だし、そろそろ帰りましょうか。」

 神代がすかさず同意してくれた。見かけによらず意外と彼女は気が回る。


 「あっそうだ、もし気になる作戦とか敵の情報とかあったら共有したいし、このメンバーでグループ作ろっか!」

 

 「いいですね。招待お願いします。」

 無野が最初に食いついた。てか、この2人はもう連絡先交換してたのか。女子はやはり恐ろしい…。


 「八神君、連絡先教えて。グループ招待するから。」


 「お、おう…。」

 慣れないやり取りに慌ててしまう。

 お互いに端末を近づけて、赤外線で登録完了だ。人生で初めて女子の連絡先を入手した。


 初めて学生らしいやり取りをして胸が高鳴った。放課後、クラスメイトと教室で試験対策。

 仕事での潜入とはいえ出来そうになかった学生生活を送ることができるのはとても楽しいことである。

 この仕事も悪くないと思った一時だった。


 

◆◆◆


 神代たちと別れて、俺は白屋敷への道を歩いていた。あまり遅れると上司に何を言われるか分からないので、早歩きでスタスタ歩く。

 ふと、足元にハンカチが落ちたことに気づく。今すれ違った女の子が落としたようだ。


 「すみません。ハンカチ落としましたよ。」

 俺は落ちている可愛い花柄のハンカチを拾って和泉野宮学園の制服を見に纏う女子に声をかける。


 「へっ?あっ!すみません!ありがとうございました!」

 女子高生は俺に勢いよくお辞儀をするとハンカチを受け取り走り去っていった。

 と、思った矢先、Uターンして俺の方まで戻ってきた。


 「……………。」

 顔を近づけて俺の顔をジロジロ見ている。

 近い近い近い近い。

 

 「あの…、俺に何か?」

 

 「…………、こー君?」

 そう呟く彼女を見て俺もはっと気がついた。


 「……ゆり、か?」

 女子高生の顔がぱあっと明るくなる。


 「やっぱりこー君だ!そうだよ!ゆりだよっ!」


 「……久しぶりだな。」


 俺をこー君と呼ぶ少女、樫時(かしどき)ゆりは俺が小学生のころの幼なじみだ。薄桃色の髪を揺らした彼女は7年前よりも女の子らしくなっている。


 「7年ぶりだね!もしかして、こー君も和泉野宮に入学してたの?偶然だねっ!」

 元気な話しっぷりは昔と変わっていない。


 「そうだな。ゆりこそ、アウラが発現したんだな、こっちこそビックリだよ。」

 アウラを発現する人間は全体の約0.01%。かなり珍しいだろう。


 「うん!て言っても、歌が上手に歌えるっていう大したことないやつなんだけどね。こー君はあの頃からアウラ持ってたから、もしかしたらって思ってたよ!」

 あの頃。そう、あの頃が最後だった。俺の平穏で楽しかった日常は。


 「転校したきりで全然会えてなかったから嬉しい!改めてこれからよろしくね!こー君!」

 

 「おう、よろしく。ゆり。」

 久しぶりなのに緊張せずに話せている。やっぱりゆりは不思議な子だ。こうして会えたのは俺にとって、本当に嬉しいことであると実感する。


 「ねぇこー君。せっかくならこの後、2人でどっかご飯行かない?話したいこと、いっぱいあるんだ!」

 

 「ほんとにすまん。これからバイトがあるんだ。また今度にしてくれないか。」

 

 「そっかぁ。ま、同じ学校ならいつでも会えるよね!」

 

 ゆりと連絡先を交換し、今日のところは別れた。本日2人目の女子の連絡先。今日の俺はやたら運がいいらしい。

 感慨もそこそこにして、日が沈みかけている夕方6時過ぎにようやく白銀の守り人(ホワイトナイツ)の拠点、白屋敷に到着した。

 


 


 本作を読んでいただき誠にありがとうございます。

 もし、本作に興味を持ってくれた方はぜひブックマークや評価をしていただけると嬉しいです。  

 また、誤字脱字の報告、感想や気になることなど、バシバシ受け付けておりますのでご気軽に感想やレビューお待ちしております。

 本編タイトルと同様に「できるだけ」ご感想には返信していきたいと思いますのでよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ