第一話
お待たせしました!
あれから1週間、白銀の守り人の白屋敷で療養した俺は入れ替わり立ち替わり面倒を見られまくってやっとのことで普段の生活ができるようになった。
「うわぁ、学校行きたくねぇな…。」
1週間ぶりに帰ってきた自宅で俺は1週間ぶりに登校する学校への支度をする。
普通は1週間も学校を休んだらクラスメイトは不審がられるものである。それがたとえ友達でなくても。
一応宮水が学校での体裁は保てるように計らってくれたらしいのだが、だからと言って誰からも何も言われないとそれはそれで寂しい…。
俺は1週間ぶりの通学路を通り学校のクラスに入っていった。教室中の視線が一瞬俺に向く。
うわぁ、何かすげぇキツい…。
気まずさを隠しながらも自分の席に着く。
「おいおい、何やってくれてんだよ親友!」
そうでっかい声で話しかけられる。てか、俺親友なんていたか?
「おお、久しぶりだな…、長谷。」
クラスで唯一話すことのできる長谷恭二だ。
「今の今まで何をやってやがった!俺ゃ寂しくて毎日枕を濡らす日々だったんだぜ。」
こいつそんなに俺のこと好きだったのか…。
「悪い。ちょっと色々あってな。」
まぁそう言うしかないしな。特にクラスに変わりはなさそうなので少しホッとした。
「てかお前大丈夫か?そろそろ中間試験だぞ?」
「中間試験?ただ勉強すればいいんじゃないか?」
座学に関してはかなり自信がある。1週間程度休んだところで問題ないだろう。
「違えよ!まぁ勉強もそうだが…、実技のほうだよ!」
「実技にも試験があるのか?」
「ああ、日吉がいない間に発表された!内容は今日発表されるらしいが、先輩いわく、毎年結構キツいらしいぞ。」
確かにケガ明けの俺には少しハードになるかもな。
長谷から近頃の学校の情報を得ている最中、教室の扉がガラガラと開いて生徒たちが会話をやめた。
「はいおはようっ!それじゃあホームルームを始めるぞ!」
そう言って入ってきたのは1年Hクラスの剣持先生だ。
「今日は来週に迫った中間試験の概要を発表するぞ!お前ら心して聞いてくれ!」
果たしてどのような内容だろうか。
「今回の実技種目は、至って単純!模擬戦だ!」
うわぁ、とクラスの中に面倒くさそうな雰囲気が漂う。
「しかし、毎週やっている個人の模擬戦とは違い、中間試験では、チーム戦でやってもらう!」
チームか、これは誰と組むかでクラスは色々揉めそうだな。
「チーム分けの心配をしている人間も多いと思うが今回は心配いらん。学校のほうで既に実技の成績を元に、大体どのチームも同じくらいの実力になるようチーム分けを済ませている。」
よかったぁ!これで俺があぶれることもないね!
そう思う自分が惨めで仕方ない…。
「詳しいルール等は端末に一斉送信しておいたのでそちらで確認するように。チーム内での練習等は授業時間外なら許可する。せいぜい頑張れよ!」
剣持先生はそう言って教室を後にした。
俺は1限目が始まる前に端末を起動し、中間試験のルールを確認する。
そこには学校からのルール確認用メールが届いていた。
・今回の試験はチーム対抗の模擬戦である
・1チーム4人構成となる
・チームでは1人リーダーを決め、試験前までにメールで担任まで知らせること
・リーダーには試験当日にリーダー用クリスタルを配布する
・試験場は試験用フィールドを用いる
・今回は全員別クラスの生徒と戦ってもらう
・クラス別で10個のトーナメントに分け、各クラスから1チームずつ10チームで競ってもらう
・試験結果から得られる成績はチーム内では一律、試験中は全てチームとして採点され、個人的な成績は全く関係ない
・リーダー以外にもクリスタルは配布され、試験中に破壊された場合は戦闘不能と見なし、その後一切の試験への干渉は禁止する
・敵リーダーのリーダー用クリスタルを破壊するか、リーダーを実質戦闘不能にすることが勝利条件となる
・その他危険行為や、反則行為が行われた場合、個人の問題であってもそのチームを失格とする
そしてメールの1番下には、Hクラスの各チームのメンバーが記されていた。
どれどれ、俺のチームは…
Hクラス 第1チーム
神代来夏
秋城常
八神日吉
無野灯
俺はどうやら第1チームだったらしく、現在1年生ランキング上位の神代と同チームとなった。
これは好成績を狙う上では幸運といえるだろう。
「はえー。日吉羨ましいな。神代さんと同じチームかよ、これは上位狙えるんじゃね?」
「簡単に言ってくれるな。チーム戦だし何があるかわからない。」
そう言う長谷はどうやら宮水と同じチームだったらしい。
宮水は1年生ランキングでは400人中400位。彼女と同じチームになって喜ぶやつはいないだろう。
「お前、大丈夫なのか?」
少し心配になり、俺は宮水に話しかけていた。
いくら暗躍組織のトップと言えど、高校の試験で失敗していたら面子が保てない。
「確かに私は実技に関しては全くもって力になれません…。ですが、どうにかしてみますのでご安心ください。」
宮水は少し不安そうな瞳をしていた。
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