まごころケーキ
昔、あるところにたぬきのコンがいました。
畑のものを盗んだり、皆に悪さをしてました。
そんなコンは皆から嫌われてます。
コンにとっての悪さは、楽しい遊びの1つだったのです。
そんなコンは皆とはいつか仲良くできる日がくると思ってました。
村の中に頭が良くて、皆からもしたわれているうさぎのピッピがいました。
コンはなぜかピッピの事は大好きでした。
そしていつも考えてました。
「ピッピみたいに人気者になりたいなぁー。」
って…。
でも人気者になる方法がわかりません。
何度考えてもわかりません。
ある日ピッピが心配した顔で言います。
「コンくんもとてもいいやつだし、皆と仲良くできるかなー。」
それは彼に対して心から心配してたのです。
それはとても優しくて大きな心でした。
コンは、
「わかったよ。」
というものの、心の半分しか伝わっていませんでした。
ある日のことです。
たまたまピッピの家の近くを通りかかったコンは、その家からケーキの焼けた香りがします。
その香りに誘われて、ピッピの家に入っていきます。
「ごめんください。」
台所に行くと、なんとオレンジの丸くてふわふわの人参ケーキ。
人参ジュース…など美味しそうな物がたぁくさん。
コンはそれを見て
「美味しそう、食べたいなぁー。」
いつもの僕なら盗んで食べるけど…。
その時、ピッピがいつも言っていた事を思い出しました。
「コンはとてもいいやつだなぁー。」
って…。
コンは考えました。
そしてあわてて大きな声で呼びます。
「ピッピ!ちょっときてください!たぬきのコンです。」
コンはピッピに会いたいのもあり、大きな声で呼びます。
すると慌てて台所に来ます。
「おう、コンくん。どうしたのかな?」
「ピッピくん。この人参ケーキ、少し分けてくださいな。」
「それでは一緒に食べましょう。」
ピッピは皿に分けてあげました。
「はい、どうぞ。」
と皿を差し出しました。
「わー、美味しそう!!ありがとう。」
喜んだコンはたっぷりのはちみつをつけて食べ始めました。
「美味しいな。」
「美味しいな、このたっぷりのはちみつもまた最高だね!!」
「よく来てくれたね。前から一度ゆっくり話がしたかったんだ。」
ピッピはニコニコと話しかけた。
コンも嬉しそうに答えた。
「美味しいケーキありがとう。ピッピくん、少し話を聞いてくれるかな。」
僕は今までいたずら好きで、皆から嫌われていること。
仲間はずれになっていることなど。
「僕…、本当は人気者になりたいんだ。」
とピッピに打ち明けた。
ピッピはゆっくりとうなずくとコンの肩をたたいた。
「そうだなぁー、いい事を教えてあげよう。
コンくんは今まで一人っきりで淋しくなかったかい?
人の気持ちになって考えてあげてくれるかい?
たくさんの人の話を聞いてくれるかな…。君は僕より体も大きいし、人を助けてやってくれるか?」
「うん、わかったよ」
とうなずいた。
コンはピッピの気持ちの半分しか伝わってませんでした。
ピッピは嬉しそうに言った。
「ケーキを少し分けてあげるので持って帰りなさい。」
コンは飛び上がり、
「ありがとう、もらって帰るよ。」
と喜びました。
「今日は色々とありがとう。」
と言うとケーキをいただいて大急ぎで帰っていきます。
ずっーと歩いていると赤い屋根のたぬきのミミちゃん家が見えてきました。
「何してるのかな…?ミミちゃん。」
と少し気になり、そぉっと窓から覗いてみました。
ミミちゃんはベットにしんどそうに寝てます。
「あれれ…元気ないなぁ…。」
窓をコンコンと叩いて開けます。
「ミミちゃん、大丈夫?」
と話しかけると
「コンくん…、私、風邪で何日も寝てるの…。おまけに何も食べてないの」
と言いました。
コンは、さっそく手に持っている人参ケーキを見ました。
(これをあげたらどうなるのかな…。僕が食べる分がなくなっちゃうぞ…。)
と考えあぐねてましたが、ミミちゃんのしんどそうな顔を見ると
いても立ってもいられなくなり分けてあげることにしました。
「コンくん。ありがとう、美味しいパンケーキだわ。」
ミミちゃんはペロリと食べました。
「ありがとう。」
とミミちゃんは言ってくれました。
コンは照れくさそうに帰っていきました。
家に帰ってから思うと、ミミちゃんの笑顔を思い出すと同時に
胸にあったかいものを感じたのです。
これがピッピが言ってた、やさしい心でした。
ある日ミミちゃんから手紙がつきました。
゛たぬきのコンさんへ
おかげさまで今ではすっかり元気になりました。
今までコンさんはいたずら好きと思ってたけど、誤解
してました。
実は心の優しい持ち主だったのですね。
今度、皆で森のパーティーがあります。
よかったら来てくださいね。
ミミより゛
次の日、森のパーティーを開いてました。
そこにははちみつたっぷりのパン。
森の木のみ、いちごなどなど…。
コンも森の影からそぉっと様子をうかがってました。
ピッピもミミちゃんもコンを呼びます。
「さぁ、皆で楽しいパーティーの始まりだ!!」
「コンくん、君はもう一人ぼっちじゃないぞ!」
そこには優しいピッピとコンがいました。
おわり。