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霊力には自信があるが、戦い慣れていない慧花には厳しい戦闘になるかもしれない。
それでも自由を手に入れたい。
「なら、とっとと始めようか。彩斗、あなたの紋章は?」
「ココ」
彩斗は胸の中心を指さす。
確かにそこから何かの力を感じる。
慧花は左手に紋章を浮かび上がらせ、彩斗の印のある場所へと重ねた。
「さあ、私の武器よ。その姿を見せよ!」
ニヤッと彩斗が笑うのと同時に、その姿が霧と化す。
霧の中心に紫色の魂命石が浮かび、慧花の掌の紋章へと飛び込んできた。
異物感はあるけど、イヤではない。
グッと握りしめると、水晶のような棘が左腕に巻きついていく。
左手を天に向けると、棘はどんどん伸びていき、とある武器へとその姿を変えた。
「コレはシックル属のサハカリ、か…」
紫色の魂命石が刃と柄の間で煌めき、武器自体は黒い。
柄は170センチはあり、刃は1メートル近くはある。
(これではまるで、死神の大鎌だな)
慧花は自分の左手と一体化した武器を見て、苦笑した。
神社の娘が、死神の武器を手にするなんて、とんでもない皮肉だと思う。
「……けど本当に霊力と気力の消費が激しいな」
一度に消耗する力は大きく、疲れる。
慣れないと厳し過ぎることを実感した。
『おいおい、大丈夫か?』
頭の中に直接響く彩斗の声で、慧花は意識を保つ。
「まあ…な。ところでコレじゃあ海まで飛べないぞ?」
『飛ぶことなんてないさ。向こうの方からやって来るだろう。もう夜が近いし』
「……その前に、私の意識が途切れそうなんだが」
『頑張れ』
(無責任な…。だが業魔と戦えるのは、私だけだからな)
慧花はサハカリを構えた。
業魔はここからでも見える。
夜が迫っていることで、海から上がってこようとしているのだ。
自分に向けられている殺意を感じて、向こうも殺意を抱きながら近づいてくる。
冷や汗が背筋を伝い、喉が渇く。
(けれど何でだろう? 負ける気がしない)
霊力は消費しているのに、気分は上昇している。
(…そうか。私はようやくあるべき存在へと変われたのだ)




