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死と再生

ごふっ、と口から血を吐き出し、少女は虚ろな眼でぼんやり思う。


(…ああ、私はここで死ぬのか?) 


本来なら夕日に照らされている時刻だが、今は雨が降り出しそうな灰色の空が倒れている少女の視界いっぱいに映る。


少女が倒れている場所は華羅臨海工場跡地。


海が見渡せる陸地に、その体はあった。


ここは滅多に人が通らず、声を張り上げても誰も助けに来てくれないことを、既に少女は分かっていた。


(自業自得とはこのようなことを言うのだな…)


少女の実家は神宮地域にある神社だった。


小さな神社で、華羅皇神社から業魔関係の仕事を紹介されて、生活は成り立っていた。


少女の父親が神主、兄がその後を継ぐ予定で、姉は巫女の役目を母から受け継いでいた。


三人目の子として生まれた少女は、上の二人ほど神社の仕事には関わらせてもらえなかった。


―しかし、それには大きな理由があった。


少女は普通の人間なのに、霊視の力が生まれた時から備わっていたのだ。


宵闇の者でもないのに、持ってしまった力は災いとしか言い様がない。


『人型業魔』と呼ばれる可能性もあり、家族は外部に洩れることを酷く恐れ、少女を神社関係の仕事からわざと外した。


余程のことがない限り、外にも出してもらえなかった。


しかし学校へ通う歳になると閉じ込めておくわけにもいかず、仕方なく実家から学校へ通うことを許された。


けれど部活をすることも許されず、学校が終わればすぐに家に帰るように言いつけられた。


おかげで友達と遊ぶこともままならず、不満が溜まっていく日々を送っていた。


そんな中、少女は担任の先生から気になる話しを聞く。


それは今日の帰りのホームルームで告げられた。


「警察署から最近、華羅臨海工場跡地近くで行方不明の人が増えていると言う話しをされました。あそこは危険地帯ですし、くれぐれも近付かないように」


険しい表情で語り、担任は教室から出て行った。


生徒達の間に不安の色が浮かび、口々に事件のことを小声で話し出す。


「あそこ、不良達が時々行っているんだってな。ところがそこで続々と姿を消しているらしいぞ」


「やだぁ。怖ーい」


(それってまさか…)


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