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シスター・マリエッタの事件簿  作者: 東 空塔
事件一 高級住宅バスルーム殺人事件
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松島健の場合

「警察? 僕の疑いは晴れたのではなかったですか?」

 松島は警察という響きには敏感だ。2014年に児童ポルノ禁止法が施行されて以来、児童ポルノを持っているだけで処罰の対象となるからだ。

 だが小川はあえてそのことには触れず、あくまで情報収集に努める。

「いえ、完全に晴れたと言うわけではありません。こちらも捜査を洗いなおしているところでして、もう一度お話聞きたいと思います。ご協力下さい」

「冗談じゃないですよ。警察に疑われてから殺人犯呼ばわりですよ。バイトもクビになるし、近所も堂々と歩けなくなったし、どうしてくれるんですか」

 松島の態度は終始非協力的だ。

「では、只今から家宅捜索を始めますが、よろしいですね?」

 あまり使いたくない手だったがあまりに態度が悪いのでやむを得ない。

「わ、わかりましたよ。でも本当にやってないですから聞いても無駄だとおもいますけど」

「無駄かどうかはこちらで判断します。質問にだけ答えてください」

「はい。どうぞ」

「では、事件当時あなたはどこにいましたか?」

「ちょうどその時間はレンタルビデオ屋にいました。タカヤ勝小田店です」

 タカヤ勝小田店の防犯ビデオの映像でその時間に松島がいたのは確認済みであった。

「ちなみにそのことを証明できる人はいますか?」

「店員とは話しましたので、彼らが覚えていれば証明できると思います」

 しかし、店員で松島のことを覚えている人はいなかった。

「被害者である佐々木裕子とは会ったことはありますか」

「いいえ、会ったことはないです」

 小川はシスター・マリエッタの方を振り返った。松島の発言の真意を確かめるためである。マリエッタは首を縦に振った。松島は嘘をついていない。

「その他、事件に関することで何か見聞きしたことはありますか?」

「いえ。特に」


 松島家を出た時、マリエッタが言った。

「松島さんて……何というか、幼児であれ大人であれ現実の女性には興味がないようなのですね。あくまで2次元の映像の中だけ……。人間的には歪んでいますが、彼一人で現実の幼女に乱暴する危険性は少ないように思えます」

 マリエッタは冷静且つ客観的に持論を述べて言った。

「なるほどね……。愛せるのは2次元だけ……か」

 小川は松島家を振り返って言った。

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